あらゆるスキマ時間で集中学習! 無駄ゼロ独学術

コスパ最強の学習法は「通勤中に勉強する」である

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移動時間での学習のススメ

これまでの連載で書いたように、社会人は専業受験生に比べて時間がありません。独学の場合は勉強時間を管理してくれる人もいないので、自分でスケジュールを作り、合格までのロードマップを確立する必要があります。

社会人は、通勤や出張などで、電車や飛行機に乗る機会があります。その時間を、スマホを見たり寝たりして過ごせば、得られるものは多くありませんが、意志をもって取り組めば有効な学習時間にすることができます。
移動時間を意識的に有効活用し、合格に近づきましょう。

1日平均1時間の移動があるとすれば、1年で365時間です。
インターネットで検索すると、不動産業界などで重宝される宅地建物取引士に合格するための一般的な勉強時間が200~300時間程度とされています。
うまくスキマ時間を活用すれば、それだけでメリットのある資格を取得できる可能性もあります。目標とする試験があるなら、移動時間の勉強を検討してみてください。

移動中にできることとは?

それでは、移動中の勉強を効率化する方法について考えてみましょう。
資格試験の勉強にはテキストを読んで内容を理解するインプットと、理解した内容を使って問題を解くアウトプットがあります。最終的には、「本番で制限時間内に必要な知識をアウトプットし、合格点を上回る得点を得る」ことが目標です。

移動中にできることは限られています。
このうち、インプットに該当するテキストや法律を読むことは可能です。また、アウトプットとしては、択一問題を解いたり、文章で解答する種類の理論問題に取り組んだりすることもできます。
一方で、計算問題を解くことは難しいです。

合格までに必要な勉強内容を決め、1日あたりのスケジュールに落とし込んだら、移動時間はインプットや理論問題を中心に取り組みましょう。

暗記するのではなく理解する

前回までにも書いた通り、インプットの大前提は、覚えることではなく理解することです。難易度が高くなるほど、試験範囲は膨大になるからです。
記憶力に恵まれたごく一部の天才を除いて、これらの内容をすべて覚えることは不可能です。また、暗記に頼って趣旨や前提にある考え方をわかっていないと、問われ方の角度が変わった応用問題に対応できない可能性があります。

そして、テキストは漫然と読んでいても理解できません。
内容を頭の中でかみ砕きつつ、少しずつわかりやすい言葉に変換していくことが求められます。最終的に、内容を自分の言葉で表現できるようになれば、その論点は理解したといえるでしょう。

膨大な試験範囲に対応するには、記憶の中に目次を作ることが大切です。
テキストや条文の順序どおりに覚えることは必要ありません。特定の論点について、どのあたりに内容が書いてあって、ほかの論点とどのように関係するかを、自分なりに整理することが目標になります。問題を見た瞬間に、「これはあの辺に書いてあったな~」と思い出せれば十分です。そうすると、問われている内容を記憶から取り出しやすいので、解答にかける時間を減らすことができます。
試験本番までに、自分なりの目次を作り、瞬時に記憶を取り出せるようになることを目標にしましょう。

試験の傾向をつかみ、取捨選択しよう

また、資格試験の種類によっても、インプットの精度を変えるべきです。私が受験したものでも、試験によって合格水準が異なります。

例えば、行政書士試験は絶対評価です。科目ごとに足切り基準が設定されるほか、試験全体の得点が、300点満点中180点以上を取ることが条件になります。つまり、6割の問題に正解すれば合格できることになります。

それに対し、司法書士試験や公認会計士試験は相対評価です。どちらも、受験生全体の得点によって、合格基準点が変わります。

そのなかで、司法書士試験は比較的高い正答率が求められます。最近は受験者が減少傾向にあり、難易度が落ちているような印象ですが、私が受験していた2013年前後までは、択一試験では9割近く正解しないと合格が難しい状況でした。
実際、私が合格したときは、午前・午後とも、35問中32問正解しました。これでも、合格者の中では上位ではなかったので、精度の高い知識が求められていたことがわかります。

一方、公認会計士試験のうち、二次試験にあたる論文式試験は、年度や科目によっても異なりますが、体感では、半分ほどの問題に正答できれば、合格者の平均とそう変わらないような印象です。詳細な採点基準は公表されないので正確なことはわかりませんが、少なくとも2~3割の問題に不正解であっても、合格は可能であるように思います。

このように、資格試験と一口にいっても、正答すべき問題の割合が異なります。そうすると、求められる知識の精度も変わるので、勉強方法にも影響します。
高い正答率を求められる試験であれば、試験範囲のなかで捨てる論点を作ることは難しくなります。一問の失点が合否に大きく影響するからです。
逆に、それほど高い正答率を求められない試験であれば、出題可能性が低いと判断する特定の論点については、まったく勉強しない選択も考えられるでしょう。万が一、その分野から出題があっても、他の問題に時間をかけてカバーすることが可能だからです。

例えば、私が受験したときは、公認会計士試験の範囲に、「手書きで簿記を行う場合の帳簿の付け方」が含まれていました。パソコンで会計処理を行う時代にその論点を理解するメリットは実務上小さく、出題可能性も低いと判断したので、その分野についてはまったく勉強しませんでした。

このように、試験の傾向をつかみ、取捨選択を行ったうえで、移動時間のインプットを行いましょう。事前にこれを行うと、本番までに求められるレベルを把握することができます。そうすると、必要な知識の精度もわかりますし、捨てる論点があればほかの頻出論点に時間をかけることができます。

何度か述べてきたように、独学の社会人受験生には時間がありません。
よほど頭の良い人でなければ、一回テキストを読んだり、問題を解いたりしただけで、論点を理解することはできません。
知識を自分の血肉にするためには、同じところを何度も何度も繰り返し読み、同じ問題を解いて、自分の言葉で説明できるようにすることが必要です。なぜそのようなルールになっているかの背景を考えながらテキストを読み込むと、理解が早まるでしょう。

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プロフィール

石動龍
石動龍

青森県八戸市在住。公認会計士、税理士、司法書士、行政書士。読売新聞社記者などを経て、働きながら独学で司法書士試験、公認会計士試験に合格。石動総合会計法務事務所代表。ドラゴンラーメン(八戸市)店長、ワイン専門店 vin+共同オーナー、十和田子ども食堂ボランティアとしても活動している。趣味はブラジリアン柔術(黒帯)と煮干しラーメンの研究。

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