伝わる文章術

刺さる企画書の書き方――「財布は忘れてもメモは忘れるな」

2018.06.14 公式 伝わる文章術 第5回
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よい企画書(提案書)の条件

企画書や提案書は特定の人に読んでもらうものですから、相手が何を考えているのかと悩むことはないはずです(まったくないとは言い切れませんが)。したがって、企画内容や提案内容を伝えるための関門は次の2点に絞られます。

とにかく読んでもらうこと。読んでもらうには工夫も必要です。読んだら、何らかの関心を相手に抱かせること。企画書や提案書には、心にひっかかるフックが必要です。フックとは、まさに着想の斬新さにほかなりません。読んでもらうための工夫として、エグゼクティブ・サマリーがあります。

文章のみならず、図表やイラストも一枚のペーパーに収めることがエグゼクティブ・サマリーの条件です。エグゼクティブである社長・役員は忙しいですから、分厚い企画書や長々とした提案書ではデスクの隅に積まれるだけとなります。これではどんな労作でも日の目を見ることはありません。ですから、エグゼクティブ・サマリーが必要なのです。

膨大な資料は、一枚のエグゼクティブ・サマリーを読んだ後で見てもらえばよい。場合によっては、資料は読まなくてもよいくらいにエグゼクティブ・サマリーの完成度を高めることが、できるビジネス・パーソンの条件です。

つまり、よい企画書(提案書)の条件とは、冒頭で短くコンパクトに伝えたいことがまとまっていることであり、そこにユニークな着想のアイデアがあれば最強です。

アイデアはメモに書け

企画書や提案書の核心とは、言うまでもなくアイデアにあります。いくら企画書づくりが上手でも、肝心のアイデアが陳腐では企画としてはボツです。いくら一枚のペーパーになっていたとしても、アイデアがきちんと表現できていなければ、エグゼクティブの心の琴線に触れることができません。

よいアイデアをゲットするには、アイデアの仕入れ段階から守るべき基本があります。アイデアの仕入れとは閃(ひらめ)きです。閃きは街の広告を見たときや人と話をしているときなど、ときと場所を選びません。記録は手書きでも、スマホでもいいですがメモに残すことが肝心です。したがって、ビジネス・パーソンたるもの、常にメモ(手帳でも、スマホでも)を身に付けていることが基本中の基本と言えます。

しかし、アイデアを記したメモを後でしげしげと見ると、意外につまらないと思うことがあります。アイデアが閃いたときの高揚感がメモから伝わってこなければ、メモの表現が悪いのか、アイデアそのものがあまりよくなかったのです。アイデアそのものに問題がある場合は、すべて白紙に戻すしかありませんが、アイデアの表現がいまひとつというときは、何度でも練り直すことです。

よい企画書・提案書をつくるには、このアイデア段階でのアセスメント(評価)が欠かせません。

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プロフィール

亀谷敏朗
亀谷敏朗

1984年中堅ビジネス書出版社だった中経出版に入社。本づくりのかたわらセミナー事業、コンサルティング・ビジネスにも携わる。また、在職中は中小企業から一部上場企業までを横断した、企業内の教育担当者の異業種交流会を主催した。
2004年フリーの出版プロデューサーとして独立。主にビジネス書作家のデビューを支援する。
支援の一環として、新人作家の原稿づくりのアドバイスを手掛けたことから、改めて伝わる文章の研究を始める。
「名文は要らない」、「読者と編集の立場から見たわかりやすい文章」に軸足を置いた方向で、新人作家には文章の書き方をアドバイスしている。

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