伝わる文章術

企画書は見出しひとつで伝わり方がグッと上がる

2018.07.12 公式 伝わる文章術 第7回
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エグゼクティブたちが目をつけるところ

企画書において、エグゼクティブサマリー(事業計画書の要約として、短時間でビジネスプランの要点をまとめたもの)と表紙のヘッドラインで読み手の関心をつかむことができたなら、いよいよ企画の中味に入ることとなります。

ところが、企画書の本文へと進んでもエグゼクティブは文章を丹念に読み込もうとはしません。おそらくエグゼクティブが企画書の中味に目を通す時間は短くて数秒、長くても数分くらいと思います。この時間について、あるコミック作品で面白いことが書かれていました。

私は「月刊少年マガジン」に連載されている『かくしごと』(久米田康治)がわりと好きなのですが、同作品中に読者が我慢して作品を読めるのは何ページくらいかという話が出てきます。結論は、読者が我慢して読めるのは、読者が息を止めている間に読めるページまでだということでした。

エグゼクティブが、企画書や提案書の中味に目を通している時間もほぼ同じです。しかし、エグゼクティブが息を止めている間に、企画書や提案書の中味を最後までに読み切ることはあり得ません。したがって、この短い時間の中で相手にこちらの意図をわからせる方法が必要となります。

結局、企画書・提案書はどこまで行っても時間との勝負になるわけです。しかし、表紙をめくっても、やはり表紙と同じようなことしか書いてない企画書や提案書では、最後まで見てもらうことはできても、評価させることはまずないはずです。

企画書の中味は小見出しで読ませよう

企画の中味について、ていねいに本文で説明していることは必要条件に違いありません。その点をないがしろにしてよいということではなく、文章以外でも企画の意図を伝える備えをしておくべきということです。

では、その備えとは何か。「小見出し」です。こうした長めの文章では、小見出しがないと文面にリズムが出ず、形の上でも非常に読みづらさを覚えます。しかし企画書や提案書の本文には、小見出しは必ずしもなくてはならないものではありません。それでもあったほうが読者にとってより効果的であるならば、かたくなに小見出しを嫌う必要もなかろうと思います。

では、効果的な小見出しとはどんなものかということです。小見出しの要件は二つあります。一つは、そのブロックに書かれていることが短く要約されていること。もう一つは、そのブロックに書かれていることに興味を持たせる文言であることです。後者のことは惹句(じゃっく)とも言いますね。

理想の小見出しとは、ふたつの条件を兼ね備えていることです。前々回に例として挙げた、「コンビニで売られている1回で飲みきれる量に小分けされたインスタントコーヒー」という新製品の開発企画で、企画の中味に小見出しをつけるとするとこうなります。

例文A
小見出し1 わが社の現状 量販店主体の売り上げは頭打ち
小見出し2 消費者動向 増加する単身世帯と高齢者世帯
小見出し3 新製品のコンセプト 単身世帯と高齢者世帯が使い切れる製品
小見出し4 新市場の開拓 新製品の投入は中堅食品スーパー・コンビニへ

これを見たエグゼクティブは、量販店で頭打ちになっているわが社の業績を打開するために、単身世帯と高齢者世帯向けの使い切り型の新製品を開発し、その販路として既存の量販店ではなく、中堅食品スーパーおよびコンビニを開拓する企画だということをつかめます。

4本の見出しを読むだけなら、息を止めている間でも楽々とできますね。

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プロフィール

亀谷敏朗
亀谷敏朗

1984年中堅ビジネス書出版社だった中経出版に入社。本づくりのかたわらセミナー事業、コンサルティング・ビジネスにも携わる。また、在職中は中小企業から一部上場企業までを横断した、企業内の教育担当者の異業種交流会を主催した。
2004年フリーの出版プロデューサーとして独立。主にビジネス書作家のデビューを支援する。
支援の一環として、新人作家の原稿づくりのアドバイスを手掛けたことから、改めて伝わる文章の研究を始める。
「名文は要らない」、「読者と編集の立場から見たわかりやすい文章」に軸足を置いた方向で、新人作家には文章の書き方をアドバイスしている。

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