伝わる文章術

絶対に読まれる「企画書」は参考資料がシンプル!

2018.07.26 公式 伝わる文章術 第8回
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熱意とわかりやすさを両立させる方法

企画書に参考資料はつきものですが、参考資料のメリットとしては企画書本文が短くて済むという点があります。具体的には次のような形です。

<文例A 企画書本文>
商品・サービスAについてのユーザーアンケートは、「好ましい」が55%「好ましくない」は35%「どちらともいえない」が10%であった。このことから商品・サービスAは半数以上のユーザーに指示されていることがわかる。

参考資料を付けることで、次のように文章は省略できます。

<文例B 企画書本文>
商品・サービスAは、半数以上のユーザーに支持されている(参考資料「ユーザーアンケート」参照)。

企画書は、シンプルなほうが読みやすい。これが原則です。参考資料を添付することにより企画書のクオリティを担保しつつ、読みやすさもレベルアップするという一挙両得がねらえます。

それでは、参考資料に求められる要件とは何でしょうか。我々には、企画書の添付資料は厚ければ厚いほどよいというイメージがあります。たしかに添付資料が何十枚と付いていると、そこに熱意と努力を感じます。したがって企画書の添付資料の厚さも、相応に効果は発揮しているのです。しかし厚ければ厚いほど、資料は読まれる確率が低くなります。その点は、企画書の本文と変わりありません。

では、熱意と努力をアピールしつつ、さらに資料の肝心なところを見てもらうという方法はあるでしょうか。

ひとつの方法としては、やはり添付資料にも冒頭にシンプルな「まとめ」を一枚付けておくことです。「労働白書」「外交白書」「防衛白書」といった、政府が毎年発行する「白書」がありますが、白書には細かいデータの紹介、説明の前に全体のあらましが冒頭で示されています。

特に注目してもらいたいデータは、冒頭のサマリーに持ってきてくるのが基本です。同様に、企画書に添付する参考資料も、冒頭で意図をもって選択、編集されたデータをシンプルに示すこと。それが添付資料の「まとめ」の条件です。

ラッキーナンバーは3

では、どうすればわかりやすく、かつ印象深くデータをまとめられるのでしょうか。方法のひとつは「3つに分類すること」です。よく3つのポイントとか、3大原則などというように、3という数字は何かをまとめるときの最大公約数でもあります。

たとえば、ある商品・サービスについてのアンケート結果が資料にあったとします。そこで、そのまとめを資料の冒頭で次のように示すことにしました。

<例文C>
商品・サービスAのユーザーアンケートの結果は、「好ましい」20%、「どちらかといえば好ましい」35%、「好ましくない」10%、「どちらかといえば好ましくない」25%、「どちらともいえない」10%であった。

こうして5つの項目を順に並べただけでは、わずかに好ましいという人が多いくらいかなという印象です。ところが、これを3つに分類すると違いがもっと鮮明になります。3つの分類とは、「好ましい・どちらかといえば好ましい」「好ましくない・どちらかといえば好ましくない」「どちらともいえない」と傾向別にグルーピングすることです。

3つに分類するとこうなります。

<例文D>
商品・サービスAのユーザーアンケートの結果は、「好ましい・どちらかといえば好ましい」が55%、「好ましくない・どちらかといえば好ましくない」は35%、「どちらともいえない」10%であった。

これならビジュアルとしても、円グラフにすれば3つの面積で比べられますから、見た目でもすっきりとわかりやすくなり効果的です。グルーピングでまとめるやり方のほかにも、ある意図でカテゴライズする方法というのもあります。

ちなみに、いま郊外でアパートや賃貸マンション経営を考えている人が多いようですが、そういう資産家に賃貸マンションの企画を持って行くとしましょう。しかし、参考資料のデータが下記のような状況だったとします。

<例文E>
アンケート「マンションを選ぶときどこを重視しますか(複数回答)」
第1位 立地60%
第2位 賃料40%
第3位 築年数・デザイン30%
第4位 宅配ボックス30%
第5位 オートロック10%
第6位 防犯・防災設備8%
第7位 家具付き5%

賃貸マンションは、もっぱら立地条件と賃料で選ばれるので、郊外では立地で不利となり、資産家に投資を促すには説得力に欠けます。

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プロフィール

亀谷敏朗
亀谷敏朗

1984年中堅ビジネス書出版社だった中経出版に入社。本づくりのかたわらセミナー事業、コンサルティング・ビジネスにも携わる。また、在職中は中小企業から一部上場企業までを横断した、企業内の教育担当者の異業種交流会を主催した。
2004年フリーの出版プロデューサーとして独立。主にビジネス書作家のデビューを支援する。
支援の一環として、新人作家の原稿づくりのアドバイスを手掛けたことから、改めて伝わる文章の研究を始める。
「名文は要らない」、「読者と編集の立場から見たわかりやすい文章」に軸足を置いた方向で、新人作家には文章の書き方をアドバイスしている。

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