

営業が苦手な人が、一番イヤだと感じる場面って、どの部分だと思いますか?
これは、多分みんな同じ場面だと思います。それは……、
「出会って一番最初、完全アウェイの雰囲気を一体どうすれば突破できるのかわからないこと」
「とりあえず、教えられた商品の特徴を伝えなくては」。そう思って覚悟を決めて喋ろうとはします。
しかし……、そんなときに営業が苦手な人には“勝手に発動してしまう”特殊能力がありますよね。
それが、
1.自信がないから、相手に反論されるのが怖くて早口になる。
2.相手に突っ込む隙を与えないために、なるべく息継ぎせずに一気に話しきる。
昔の僕も、この能力者でした。相手の前で大きく息を吸ったら、
「あの、えっと。ウチの商品はこんなに素晴らしくて、それであんなこともできて、えーと、それとこんなコトももちろんできます! あそうだ、こういうこともありませんので心配いりません!(ふぅ、なんとか、突っ込まれずに言い切れた……)」
みたいな感じで。
『とりあえず全部言いきれば、もしかしたら奇跡で買ってくれるかも……。でも途中でツッコまれたら絶対買ってもらえない。だからお願い! 最後まで言わせてー!』って思っていましたね(笑)。もちろん、全部言い切ったところで売れることはなかったですけど……。
きっと営業が苦手と感じているあなたなら、似た経験があるはず。
そんなあなたに朗報です! 実はこのド頭の完全アウェイな修羅場を簡単に突破できる方法があるんです。
しかも、ずっと使えるし、相手に合わせて何パターンも量産できるやり方です。
そもそも、なぜ僕たちがそのアウェイな雰囲気をいつも突破できずにいたのかというと……、
実は、自分たちで事態をややこしくしていただけなんです。どういうことかというと、
「ひと息で自分のセリフを言い切る」
この行動が逆によくないのです。
一方的な説明になっちゃうことで、会話が生まれない。会話が生まれないことで、お互いを知る機会を潰してしまっている。この負の連鎖が起きてしまっていたというわけです。
とはいえですよ、営業が苦手なのに、自分から会話をリードするなんてできっこないですよね?
安心してください。実は、そんな口下手なあなたでも、自然と会話が生まれるようなトークを組み立てる方法があるんです。
この最初の場面を突破する「オープニングトーク」を用意できれば、もはや変な能力も発動しなくなります。
実際に使っていたオープニングトークの実例
ここで、僕が実際に使っていたオープニングトークを紹介します。
トークの相手は先輩社員も行かないクレーム客や、はるか昔に疎遠になった顧客リストの相手です。まぁ新規客とほぼ同じですね、これは。といっても当時の僕が与えられた唯一の顧客リストです(苦笑)。
提案する商品は、パソコンのウィルスやハッキング対策のセキュリティ装置です。当時としては認知度がすごく低く、必要性も感じてもらいにくい商品でした。ただ徐々にコンピューターウィルスが流行り出して、パソコンがクラッシュする事例が出はじめた頃でもあったんです。
そのあたりの動向とお客さんの現状を結びつけながら、こんな感じのオープニングトークをしていました……。
僕「こんにちは○○の中尾です。お世話様です!」
A社「あぁ、はい」(疎遠な顧客リストなので当然テンションは低い)
僕「最近コンピューターウィルスの被害が流行っているみたいで、ウチのお客さんでも結構被害が増えているんですが、A社さんのところは大丈夫ですか? 最近パソコンのスピードが遅くなったり、ネットにつながらくなったりとか、迷惑メールが一気に増えたりとかないですか?」
A社「あぁ、迷惑メールとかはすごく多いよ」(当たり前の質問なのでとりあえず答えてくれる)
僕「おぉ、やっぱり迷惑メールあるんですね。それっていつぐらいからですか?」
A社「そういえば、最近増えた気がするなぁ」(突っ込んだ質問につい答えてしまう)
僕「そうですよね、最近多いですよね。この前もウィルス対策ソフト入ってるのに、突然パソコンが立ち上がらなくなったお客さんが最近ちらほら出始めてます」
A社「えっ?ソフト入れてるのに?」(想像と違う話題に少し興味が出ちゃう)
僕「そうなんですよ、更新していなかったり期限が切れていたりとかもあって。それで、ソフト以外にもセキュリティ対策をちゃんとする会社が増えてます」
A社「たしかに、ウチも更新とか見てないかもなぁ」(いつのまにか話にのっている)
僕「そうですよねぇ。なのでこうやって一軒一軒回って無料でウィルスチェックさせていただいているんです。A社さんのパソコンもどれか一回チェックしてみましょうか?」
A社「いいの? 結構時間かかるの?」(とりあえず、悪いやつじゃなさそうと警戒を解く)
僕「いえいえ、あくまでも簡易的なチェックなので5分位ですかね」
A社「そうなんだ、じゃぁ,お願いしようかな」
こんな感じでオープニングを突破して、サービスを導入してもらっていました。「なーんだ、こんなトーク普通じゃん!」
多分そう思ってますよね。あまり、想像を超えないような流れに感じるかもしれませんが、実はココには相手の心の扉を”無理なく開ける”ための仕掛けが散りばめられているんですよ。
だから一見「ザ・普通」に見えるこのトークは効果テキメンで、オープニングを突破した見込み客の成約率は8割を超えていました。そう言われると、この次もどうやって契約につなげるのか気になりますよね? もちろん、その組み立て方も後々ご紹介しますので安心してください!
オープニングトークの作り方には手順がある
このオープニングトークは、あるルールに則って作成したものです。なので、商品が変わったり、別のタイプの見込み客になれば当然、別バージョンのトークを用意します。全部手順に沿って組み立てているので、簡単にいろんなバージョンをつくることができます。ただし! この強力なトークをつくるには、あらかじめ手に入れるべき情報があります。これがないと相手の心を揺さぶるトークをつくるのはまず無理。
その手に入れるべき情報というのが……、
1.相手の悩みやストレス
2.あなた(自社)の強み
3.他者とどう違うのか?
この3つが必要です。「あれ? この言葉?」
どこかで見たような気がしよね。
そうです、実は前回までのお話でこの3つの情報を知る方法を、既にあなたは手に入れています!
もし、まだ前回までの記事を読んでない人は、是非チェックしてみてくださいね。
これから紹介する「相手に響くトークのつくり方」が簡単に実践できるようになるはずです。