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人事のプロが語る! 「この会社しんどいから転職しよう」の前に考えるべきこと

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転職しても必ず年収が上がるとは限らない

がんばっているのに評価されない。昇進できない。給料が上がらない。
そんな不満があって転職を考えている人もいると思います。

たしかに今いる会社がすべてではありません。自分の能力をより発揮できる会社、より評価してくれる場所を求めて転職するのもキャリアアップのひとつの方法です。

ただし転職を考える際に大切なのは、その目的です。中途採用の求人広告でよく見かける「転職で年収アップ」といったフレーズに惹かれて安易に転職することはすすめられません。

これまで多くの転職者を見てきた経験を根拠に言わせていただくと、転職したからといって必ずしも年収が上がるとは限りません。もっとはっきりいえば、年収アップを転職の目的にすると、だいたい失敗します。

「鳴り物入りで入社した中途採用は鳴らない」

これは人事の間では、半ば常識とされています。年収アップを目的に入社した中途採用は、年収に見合った働きができないことが多いもの。そのため採用する場合は、年収に見合った働きをしなければ、2年目からは年収を落とせるように準備しているケースも多々あります。

企業側のニーズと転職者側の希望が100%マッチすることはまずありません。年収アップを目的に転職してしまうと、企業側が求めるニーズと自身が求める方向性が大きくズレてしまうことが多く、長続きしないのです。

転職を考えたときは「年収」よりも「理念」を優先する

ですから、仮に転職をしようと思うのならば、「年収」よりも「理念」を優先したほうが成功しやすいと言えます。

企業には、それぞれの理念があります。理念とは、その会社の目的であり、存在意義であり、世の中にどのような価値を提供するのかを示すもの。会社は、その理念を実現するための場所なのです。

理念とは、いってみれば会社の思想のようなものです。年収だけを目的にして、共感できない考え方の会社に入ってしまうと、たとえ年収はアップしても長続きしません。理念を見ないで転職すると、次の会社でもまた同じ失敗を繰り返します。

逆に、理念に共感できる企業に転職すれば、働く目的も会社と一致するため、自身の能力を発揮しやすくなり、継続的に成果を出しやすくなります。

リーダークラスの評価基準として「理念浸透」という項目を設けている会社も数多くあります。会社の理念に共感し、理念に基づいた行動をとっているか。理念の浸透をメンバーに働きかけているか。これは昇進に大きく影響する評価項目なのです。

よって年収を下げてでも、その会社で働きたい、その仕事をしたい。そんな「自分が本当にやりたいこと」を実現できる場所が見つからないのであれば、一度立ち止まって考えてみたほうがいいでしょう。

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プロフィール

西尾 太
西尾 太

人事コンサルタント。フォー・ノーツ株式会社代表取締役社長。「人事の学校」「人事プロデューサークラブ」主宰。
1965年、東京都生まれ。早稲田大学政治経済学部卒。いすゞ自動車労務部門、リクルート人材総合サービス部門を経て、カルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)にて人事部長、クリエイターエージェンシー業務を行なうクリーク・アンド・リバー社にて人事・総務部長を歴任。これまで1万人超の採用、昇進面接、管理職研修、階層別研修を行なう。パーソナリティとキャリア形成を可視化する適性検査「B-CAV test」を開発し、統計学に基づいた科学的なフィードバック体制を確立する。中でも「年収の多寡は影響力に比例する」という持論は好評を博している。
著書に『人事担当者が知っておきたい、10の基礎知識。8つの心構え。』(労務行政)、『人事の超プロが明かす評価基準』(三笠書房)、『働き方が変わる、会社が変わる、人事ポリシー』(方丈社)、『プロの人事力』(労務行政)などがある。

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