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離職率が高い部署の上司が、必ずしも「ダメ管理職」とは限らない理由

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ダメな社員が辞めるなら、会社にとってはいい上司

ビジネスパーソンにとって、大きな悩みのひとつが「上司」です。ダメな上司の部下になってしまい、悩んでいる人も多いでしょう。私も先日、このような相談を受けました。

「うちの部署は離職率が高い。上司がダメ管理職なので困っています」

人材育成は、管理職の重要な役割。上司が本当にダメな管理職だったら、然るべき対処が必要です。ただ、その前に知っておいてほしいことがあります。

離職率の高い部署の上司がダメな管理職とは限りません。問題はどんな人が辞めているのか。ダメな社員が辞めているのなら、それはよい管理職です。

世の中全般で「離職率が高い=悪い」「離職率が低い=よい」といった認識が一般的になっていますが、一概にそうとは言えません。

たとえば、離職率の低い会社は「いい会社」と思われがちですが、働かない社員でも自動的に給与が上がる、ぬるま湯のような会社なのかもしれません。
こういう会社では、若手がいくら頑張っても評価されず、給与も上がらなかったりします。

逆に、離職率の高い会社は「ブラック企業」のようなイメージがありますが、成長意欲の高い社員が多く集まり、適切な新陳代謝が行われている場合もあります。

これは管理職にしても同じです。部下の評価を適切に行う上司だからこそ離職率が高く、適当な評価しかしない上司だからこそ離職率が低い場合もあります。離職率の高低だけで、管理職としての優劣を判断することはできないのです。

成績上位者、中位者、下位者といた場合に、下位者から辞めているとしたら、会社にとってこれほどよい管理職はいません。問題のある社員にちゃんと課題をフィードバックし、自ら別の道を考える機会を与えて円満退社に導いているのなら、人事としてもこんなにありがたいことはありません。

しかし、会社にとって「辞めてほしくない社員」が次々に辞めているのなら、それはやはり大問題です。そういう上司は、たしかにダメな管理職でしょう。

ダメな管理職にありがちな2つのタイプ

有望な社員を辞めさせてしまうダメ管理職には、大きく分けて2つのタイプがあります。

ひとつは、パワハラ上司。これは、仕事ができない人とは限りません。むしろ仕事ができる上司が「なんでこんなことができないんだ!」と部下を一方的に叱責するなどして、過度なプレッシャーをかけて社員が辞めてしまうケースが多くあります。

名プレイヤーが名コーチになれるとは限りません。上司自身は仕事ができても部下のフォローができず、部署全体が疲弊し、部下がうつ状態になって辞めてしまう。こういうタイプは、たしかにダメな管理職といっていいでしょう。

もうひとつは、それとは真逆の、仕事ができない上司です。仕事が遅い、決断ができない、案件を通してこない、上ばかり見ている、部下がミスをしてもフォローしない……。

こうした仕事ができない上司の場合は、優秀な部下ほど「やってられない!」と自ら会社を去ってしまいます。年功だけで出世できる会社に多く見られる傾向ですが、こういう上司もダメな管理職といっていいでしょう。

このような管理職の情報は、人事も常に把握するように努めています。たとえば、自己申告制度を行なっている会社では、異動希望率が極端に高い部署があったりすれば、「ああ、あの人のところね」とすぐにわかります。

そして、有望な社員が次々に辞めてしまう原因が上司にあることが、ほぼ客観的に確認できたら、その上長もしくは経営者に客観的事実を伝え、「このままにしておいていいのでしょうか」「異動をさせた方がいいのでは?」と伝え、異動や降職を検討するよう働きかけをすることになります。

もしあなた自身が上司なら、ダメ管理職になっていないか、自分の行動を振り返ってみてください。有望な部下が何人も辞めているようだったら要注意です。

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プロフィール

西尾 太
西尾 太

フォー・ノーツ株式会社
代表取締役社長

1988年
いすゞ自動車株式会社入社。人事部門配属
1990年
株式会社リクルート入社。企業の採用・教育に関する営業を担当
1998年
カルチュア・コンビニエンス・クラブ株式会社入社。最終役職人事部長
2005年
株式会社クリーク・アンド・リバー社 人事・総務部長
2008年
フォー・ノーツ株式会社設立

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