人事はあなたのココを見ている!

仕事ができても「育成」ができない上司を、人事は驚くほどシビアに評価している

Getty Images

部下を育てることが「仕事」だと理解していない上司

昇進、昇給、ボーナス、異動、進退……。これらは何によって決まるのでしょうか?
そう、人事評価です。その評価を決めるのは、あなたの上司です。

ところが、この評価をきちんとやらない上司が少なくありません。

「そんなことやっているヒマはない」「面倒くさいことやらせやがって」と人事に文句を言う人も多く、中には部下の自己評価をコピペして提出する管理職もいます。

いうまでもありませんが、人の上に立つ立場になったら、部下やメンバーを育てることが重要な任務です。

課長クラスは、部下の能力開発を支援する「人材育成」が重要な評価基準になります。個別の目標や課題設定を促して、業務遂行を支援し、そのうえで評価を行い、部下それぞれの課題点を明らかにする。伸ばすべき点と改善すべき点のフィードバックを行い、適切な「気づき」を与えて成長の機会を与える。

これらが「人材育成」として求められることです。「評価者」になることは、「部下の育成責任を負う」ということになります。

部長クラスになると、社内の優れた人材を見出して引き上げ、社外からも優秀な人材を引っ張ってきて入社させるなど、優秀な人材を見出し、成長の機会を提供する「人材発掘・活用」が評価基準に加わります。
また組織全体の人材育成を働きかけ、将来性のある人材を育てる仕組みを構築することが求められます。

しかし、そういう立場になっても、いつまでもプレイヤーとして振る舞い、人を育てることをしない。あるいは、部下を雑用係のように扱っている人が少なくありません。

30代以上で「困った人」と呼ばれ、社内で問題視されるようになるのは、このような、部下を評価し、成長させることが自分の「仕事」だと認識していない上司です。

マネジメントに必要な「3本の矢」

部下が悩んでいても、励ましや助言ができない。弱点や課題を指摘しない。個々のキャリアビジョンを把握せず、何を目指しているのかも知らない。個別の目標設定もできない。相談にも乗らない。そして、部下が突然の退職者を出す……。

このような管理職は、個人としては高いパフォーマンスを発揮していても、人事はもちろん、経営者からも、部下からも「困った人だ……」と思われています。

そもそも、なぜ、そういう管理職が多くいるのでしょうか?

それは管理職とは「何」をする仕事なのかを理解していないことに原因があるのでしょう。私は管理職研修の講師を務める際には、いつもこんな質問から研修を始めます。

「みなさん、管理職って“何”を管理する仕事だと思いますか?」

すると、多くの管理職が「部下、ですか?」「数字とか?」「時間?」「進捗?」と、自信なさそうに答えます。

管理職になっても、何をすればいいのかわからない。マネジメントの基本を学ぶ機会がなく、勘や経験にたよった自己流になりがち。そのため優秀なプレイヤーだった人が、管理職としてはなかなか力を発揮できず、評価も評判も落としていく。
そんな悲劇が多くの会社で起こっています。

マネジメントに必要なのは、「経営資源を効率的に活用し、最大の成果をあげること」。経営資源とは、「モノ・カネ・情報・時間」、そして「人」です。

すなわち「人」の管理を通じて「モノ・カネ・情報・時間」を管理し、最大の成果をあげることが、管理職の仕事なのです。そのため「タスクマネジメント」「ヒューマンマネジメント」「リスクマネジメント」の3本の矢が必要になります。

タスクマネジメントとは、仕事を段取りよく行い、成果をあげること。
ヒューマンマネジメントとは、人を育てること。
リスクマネジメントとは、ハラスメントや不正、重大なミスなどをしない、させないこと。

これら3つのどれかが欠けていても、管理職として高い評価は得られません。パワハラやセクハラなどは論外ですが、人を育てることができない管理職に対しては、今後ますます厳しい目が向けられていくでしょう。

ご感想はこちら

プロフィール

西尾 太
西尾 太

フォー・ノーツ株式会社
代表取締役社長

1988年
いすゞ自動車株式会社入社。人事部門配属
1990年
株式会社リクルート入社。企業の採用・教育に関する営業を担当
1998年
カルチュア・コンビニエンス・クラブ株式会社入社。最終役職人事部長
2005年
株式会社クリーク・アンド・リバー社 人事・総務部長
2008年
フォー・ノーツ株式会社設立

出版をご希望の方へ