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ジョブ型の落とし穴! リモート時代の評価方法とは?

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成果主義・ジョブ型を偏重することの危険性

リモートワークの浸透によって、日本の雇用制度のあり方が大きく変わろうとしています。中でも最近目立つのが、以下のような論調です。

・社員を「時間」で管理するのは難しくなった
・これからは「時間」ではなく、「成果」で評価すべきだ
・だから「ジョブ型」を導入すべきだ

富士通、日立、資生堂、KDDIなど、すでに運用を開始したり、今後の導入を宣言している企業もあり、今後さらに増えていくことが予想されます。

「成果」を評価することは、リモートワーク時代におけるマネジメントの方向性として正しいと思います。「成果」は、そこに至る「プロセス」によってもたされますが、リモートワークにおいて「プロセス」が見えにくいとすれば、「成果」を重視せざるを得ない、ということは間違いないでしょう。

評価される側の人は、前回の記事でお伝えしたように、自分の「職務(ミッション・役割)」と「成果」を明確に定義し、ジョブ型の導入に備える必要があります。

しかし、評価する側の人、経営者やマネジメント層、人事担当のみなさまには「ちょっと待った!」と申し上げたいです。
成果主義を偏重しすぎることは、危険かもしれません。そもそも「成果を重視=ジョブ型」ではないのではないでしょうか。

すべてを捨てる覚悟はありますか?

ジョブ型とは、欧米で浸透している「職務主義型」であり、「仕事」に値段をつける雇用制度です。仕事を「ジョブディスプリクション(職務定義書)」によって定義し、たとえば営業部長なら1000万、人事部長なら800万と、ポストによって年収を定め、誰がその仕事をしても、誰がその職務についても、同じ給与になります。

日本の多くの企業のように、年功や定期昇給で給料が上がるという考え方は一切ありません。ジョブ型は、ポストが空かないと、下の人が上にあがることもありません。

では、どうやって昇進・昇給をするのかというと、以前外資系企業の人事マネージャーに伺った話ですが、「たとえばオセアニア地区の人事部長のポストが空いたとします。そこに立候補するのです。選考を受けて選ばれれば、ポストに応じた年収がもらえます。ポストが空かない限り、その会社で給料が上がることはありません」ということでした。

ジョブ型に対比する雇用制度は、日本で浸透している「メンバーシップ型」です。要は「この会社の所属員としてどんな仕事でもやってくださいね」という制度です。

人事異動を前提としているのがメンバーシップ型ですから、職務を限定してしまうと、ジョブ型の運用は難しくなります。たとえば、営業部長が年収1000万で、人事部長が年収800万といったジョブディスプリクションを定義しても「営業部長を人事部長に異動させたらどうなるの?」といった問題が起こります。

営業部長から人事部長に異動したら、これまで1000万だった年収を800万に下げる。そんなことが可能でしょうか?

本当に欧米型のジョブ型を導入しようとするなら、これまでの日本型の考え方をすべて捨てる必要があります。その覚悟はあるでしょうか?

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プロフィール

西尾 太
西尾 太

フォー・ノーツ株式会社
代表取締役社長

1988年
いすゞ自動車株式会社入社。人事部門配属
1990年
株式会社リクルート入社。企業の採用・教育に関する営業を担当
1998年
カルチュア・コンビニエンス・クラブ株式会社入社。最終役職人事部長
2005年
株式会社クリーク・アンド・リバー社 人事・総務部長
2008年
フォー・ノーツ株式会社設立

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