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「ちょっと待って、今忙しいから」はダメ上司の典型例

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部下が困っていたら、手を止めていますか?

仕事の最中に何かにつまずいた。上司の意見をちょっと聞きたい。上司の確認がないと先に進めない……。そんな部下から「ちょっといいですか?」と声をかけられたとき、あなたはどうしていますか?

「ちょっといいですか?」が「ちょっと」だった試しはありません。おそらくそれなりに時間がかかる案件なんでしょう。こちらだって忙しいですよね。

「ちょっと待って、今忙しいから」

そんなひと言で遮って、部下の相談を後回しにしてしまうこともあります。管理職が忙しいのはわかりますが、人事の立場から見ると、上司のこうした対応はNGです。部下を持つ上司は、以下のようなコンピテンシーが求められ、人事評価のポイントにもなっています。

  • メンバーを気遣い、励まし、やる気が落ちている人を適切にフォローする
  • チームメンバーの考え・意見を積極的に傾聴している
  • チーム運営を円滑に行い、部門全体に安心感を与えている

これらはマネージャーには不可欠となるヒューマンマネジメントの基本中の基本です。部下を持つ立場になったら、メンバーを気遣い、困っている度合いや案件の重要度によって、きちんと手を止める上司でなければなりません。

自分の仕事だけで手一杯になってしまい、部下の相談に耳を傾けようともしない管理職は、ダメ上司の典型といってもいいでしょう。

コミュニケーションのルールをつくる

とはいえ、上司が忙しいのもまた事実です。日本の管理職は、プレイングマネジャーが基本。自身の案件と部下の管理で時間に追われている人がほとんどです。部下に声をかけられても毎回、相手をしているわけにもいかない人も多いでしょう。

そこで必要なのは、コミュニケーションのルールづくりです。たとえば、重要度と緊急度で分類し、声がけのルールをつくりましょう。

例えば、以下のように分けると、仕事がスムーズに回ります。

① 緊急かつ重要な案件
② 緊急だが重要ではない案件
③ 重要だが緊急ではない案件
④ 重要でも緊急でもない案件

部下に声をかけられたときは「それって何番?」と確認します。①や②なら、即座に対処することが必要ですが、③や④だったら「1時間だけ待って。15時からなら時間取れるから」などと返答すればいいのです。

部下の相談に乗ることは、管理職の大事な仕事。「いつでも声をかけていいよ」という姿勢が大前提ですが、上司にも当然スケジュールがあり、いつでも部下の話を聞けるわけではありません。だからこそ、ルールが必要なのです。

ルールを決めておけば、部下も上司に声をかけやすくなります。どんなに忙しくても①②はすぐに対応する、③④は別の日や時間帯にゆっくり時間を取るなど、部下と判断基準を共有して、対応の仕方を選べるようにしましょう。

もちろん③や④でも、「後にして」と部下の相談を遮ってしまうのはダメです。それでは部下が声をかけにくくなってしまいます。「じゃあ○時ならいいよ」「明日の○時でもいいかな」と、必ず具体的な日時を指定してあげてください。

また、上司から部下に声をかける場合も、同じルールにしましょう。時間がないのは、部下も一緒。上司から「ちょっといい?」と声をかけられたら断わりにくいものですが、部署やチームでルールを決めておけば、「今日は納期なので、③だったら明日でもいいでしょうか?」と部下も断りやすくなります。

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プロフィール

西尾 太
西尾 太

人事コンサルタント。フォー・ノーツ株式会社代表取締役社長。「人事の学校」主宰。
1965年、東京都生まれ。早稲田大学政治経済学部卒。いすゞ自動車労務部門、リクルート人材総合サービス部門を経て、カルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)にて人事部長、クリーク・アンド・リバー社にて人事・総務部長を歴任。
これまで1万人超の採用面接、昇降格面接、管理職研修、階層別研修、また多数の企業の評価会議、目標設定会議に同席しアドバイスを行う。
汎用的でかつ普遍的な成果を生み出す欠かせない行動としてのコンピテンシーモデル「B-CAV45」と、パーソナリティからコンピテンシーの発揮を予見する「B-CAV test」を開発し、人事制度に活用されるキャリアステップに必要な要素を体系的に展開できる体制を確立。これまで多くの企業で展開されている。また2009年から続く「人事の学校」では、のべ5000人以上の人事担当者育成を行っている。
著書に『人事担当者が知っておきたい、10の基礎的知識。8つの心構え』(労務行政)、『人事の超プロが明かす評価基準』(三笠書房)、『プロの人事力』(労務行政)、『人事の超プロが本音で明かすアフターコロナの年収基準』(アルファポリス)、『超ジョブ型人事革命 自分のジョブディスクリプションを自分で書けない社員はいらない』(日経BP)などがある。

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