リーダーは“空気”をつくれ!

部下に造反されるリーダーの典型的な行動

2017.09.15 公式 リーダーは“空気”をつくれ! 第7回
Getty Images

実行が伴わないリーダーに対する反感

リーダーに必要なものは何かと尋ねると、「率先垂範(そっせんすいはん)」という人が大勢います。人の先頭に立って模範を示すことが率先垂範ですが、理想のリーダー像としてよく挙げられるのは、「先頭に立つ」「手本になる」「真っ先に取り組む」「背中を見せる」などというもので、まさに「率先垂範」がリーダーのイメージそのものだといえるでしょう。

ただ、リーダーシップの取り方にはいろいろなスタイルがあり、それを場面によって使い分ける必要があります。先頭で引っ張るばかりではなく、後ろから支えることも、メンバーと一緒に協働することもあります。リーダーはそのすべての場面で、それぞれ違う形の率先垂範を求められ、その行動次第でチームの雰囲気は大きく変わります。今回はあるリーダーの例から、「率先垂範」で考えておかなければならないことをお伝えします。

これはある会社の技術開発チームでのことです。リーダー以下、メンバーのまとめ役となっているサブリーダー格の中堅社員が一人、あとは20代の若手社員が中心のチームです。このリーダーは、「うちは自由なチームだ」というのが口癖です。確かにこのチームでは、メンバー同士の情報共有やコミュニケーションを促すための仕組みがいくつも導入されています。例えば、メンバーの意見を取り入れるための提案制度、メンバー同士がお互いに感謝を伝え合うサンクスメールのほか、チームの収支状況を示す会計資料もメンバー全員に公開されています。

リーダーは、このような新しい取り組みにとても熱心で、社外セミナーや書籍などから他社事例の情報を集め、それがよいと思えば自分のチームにどんどん取り入れます。現場で奮闘するメンバーは、ついつい目先の日常業務ばかりに集中しがちですが、そうやって視野が狭くならないように、メンバー全員が新しいことにも目を向けられるようにと、リーダーとして「率先垂範」しています。

しかし、こういう新しい取り組みが、始めてすぐ期待通りに動き出すかというと、それほど簡単なものではありません。始めた当初はメンバーにその意義が理解されず、積極的に取り組まれないことも多いですが、そんな時にこのリーダーが必ずやるのは、「ノルマを決める」ことでした。例えば、提案制度であれば、月あたりの提案件数を決め、サンクスメールであれば送信するメールの数を決めます。守らないメンバーには当然何らかの指導があったり、時には罰則があったりします。

ただし、このリーダーは制度の導入には熱心ですが、実行する段階になると、とたんに自分がかかわろうとしなくなります。提案制度はただメンバーに「やれやれ」というだけですし、サンクスメールも自分でメールを送ることは一切ありません。サブリーダーから「リーダーも率先してやってほしい」との要望が出ましたが、「自分がやる必要はない」と宣言し、そのかわりに罰金と称してポケットマネーを渡して、メンバー同士の懇親を勧めたりします。自分とメンバーの間に一線を引いている様子が見て取れます。

また、収支状況の資料は、財務諸表などの会計資料そのままなので、若いメンバーはきちんと読み取ることができません。しかしリーダーは「決算書ぐらい読めないとビジネスマンとして失格」といい、資料の確認をメンバーたちに求めます。かといってメンバーに読み取り方が説明される機会はありませんし、当然資料もそのままで改善はされません。

新しいことを始めるところは率先垂範するリーダーですが、実行段階となると、なぜか「自分はいいだろう」となってしまい、率先して自分が動く意識がほとんどありません。メンバーから「自分に甘い」「自分だけ特別扱い」と見られても仕方がない状況です。

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プロフィール

小笠原隆夫
小笠原隆夫

ユニティ・サポート代表・人事コンサルタント・経営士
BIP株式会社代表取締役社長

IT企業で開発SE職を務めた後、同社で新卒中途の採用活動、人事制度構築と運用、ほか人事マネージャー職などに従事。二度のM&Aでは責任者として制度や組織統合を担当。
2007年2月に「ユニティ・サポート」を設立し、同代表に。以降、人事コンサルタントとして、組織特性を見据えた人事戦略や人事制度策定、採用支援、CHRO(最高人事責任者)
支援など、人事・組織の課題解決に向けたコンサルティングをさまざまな企業に実施。
2012年3月より「BIP株式会社」にパートナーとして参画し、2013年3月より同社取締役、2017年2月より同社代表取締役社長。

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