リーダーは“空気”をつくれ!

優れたリーダーは「理屈」と「感情」で部下を動かす

2018.03.02 公式 リーダーは“空気”をつくれ! 第18回
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理路整然と説明をしても
不満を持たれたリーダー

チームとしての力を高めるためには、それぞれのメンバーがチーム全体の意図に合った行動をしなければなりません。リーダーはチームの方針や目標に基づいて、各メンバーの仕事内容や行動のしかたを指示しますが、すべてのメンバーが100%の納得感を持って仕事をするのは、なかなか難しいことです。命令という形で無理にでもやらせるしかない状況は、多くのリーダーが経験していることでしょう。しかし、メンバーが納得しないままの命令や強制を繰り返していると、それぞれのメンバーの行動力は徐々に鈍り、いつしか自分たちで考えることをやめ、チームとしての力はどんどん低下していってしまいます。

いかにメンバーが納得感を持って仕事をするかということは、チームづくりのうえではとても大切です。しかし、メンバーから納得を得られるリーダーに共通しているのは、指示や命令の際の「論理」と「感情」の使い分けが絶妙だということです。今回はリーダーとして、メンバーの納得感を高めるために必要なことをお伝えします。

あるIT会社のリーダーYさんは、技術知識やスキルの高さが認められ、最近チームリーダーの役割を担うようになりました。理系大学出身で何でも論理的に考える、いかにも技術者といった雰囲気のリーダーです。メンバーへの接し方もこの雰囲気通りで、どんな些細なことでも丁寧に、理解しやすいように論理的に話をします。リーダーになってからは、メンバーとのコミュニケーションも積極的に意識し、できるだけ多くのことを話し合うように心がけています。

チームが担当するプロジェクトは、頻繁な顧客要望、突発的なトラブル、その他事前に予定を組むことが難しい仕事も多く、対外的な調整事項もあり、仕事としてはなかなか厳しいものです。しかし、Yさんは何かある度に関係するメンバーには細かく状況を説明し、メンバーたちからも状況を聞き、そのうえで業務指示をしています。常に説明をしてコミュニケーションをとっていたので、チーム運営はうまくいっていると思っていました。

そんな中、ある日起こったトラブル対応に関する業務指示の際に、メンバー数人がYさんに対する不満をぶつけてきました。その内容はこんなことでした。

「Yさんはいつも一方的で話を聞いてくれない」
「強引に抑えつけようとする」
「自分たちの大変さをわかっていない」

Yさんとしては、メンバーからの話も聞いていたはずですし、十分な説明もしていたつもりです。しかし、その後さらに話してわかったことは、メンバーが「理屈だけで一方的に抑えつけられてきた」と感じている気持ちの問題でした。確かに理路整然と説明され、そのうえでの指示命令でしたが、メンバーにとっては大変な作業もあり、そのことに反論してもやはり理屈で返されてしまうので、そんな自分たちの気持ちがリーダーには理解されていないという不満が積み重なっていたのです。

その後Yさんが心がけるようにしたのは、今までのようにきちんと説明することは続けながら、それにプラスしてメンバーへの期待、引き受けてくれたことへの感謝やねぎらいなど、相手の気持ちに寄り添う言葉をかけることでした。仕事がひと区切りつけば、たまには食事やお菓子をご馳走することもありました。それを始めてから、メンバーは大変な仕事であっても前向きに取り組んでくれるようになり、たまに出てくる不満などについても、チーム内で話し合って解消することができるようになりました。

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プロフィール

小笠原隆夫
小笠原隆夫

ユニティ・サポート代表・人事コンサルタント・経営士
BIP株式会社代表取締役社長

IT企業で開発SE職を務めた後、同社で新卒中途の採用活動、人事制度構築と運用、ほか人事マネージャー職などに従事。二度のM&Aでは責任者として制度や組織統合を担当。
2007年2月に「ユニティ・サポート」を設立し、同代表に。以降、人事コンサルタントとして、組織特性を見据えた人事戦略や人事制度策定、採用支援、CHRO(最高人事責任者)
支援など、人事・組織の課題解決に向けたコンサルティングをさまざまな企業に実施。
2012年3月より「BIP株式会社」にパートナーとして参画し、2013年3月より同社取締役、2017年2月より同社代表取締役社長。

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