
子育てや仕事など、これまで必死にやってきたことがある程度落ち着き、自分の手から離れたとき、ふと自分の過去を振り返ることがあると思います。
そのときに感じることや考えることは人それぞれだと思いますが、それらを突き詰めてみると、自分にとっての「幸せ」が何だったのかということに行き着くのではないでしょうか。
たいていの場合は、自分の思い描く理想と現実を照らし合わせながら、改めて「幸せ」とは何なのかを自問自答することが多いと思います。
人によっては、理想と現実の差があまりに大きく、落ち込んでしまう方もおられるのではないでしょうか。
また、予期せぬことが起こり、これまで信じていたことが崩れ、一体「幸せ」とは何なのかわからなくなってしまった方もおられると思います。
事情は人それぞれとして、自分にとっての「幸せ」が疑わしく、不安を感じている方に、今回は「落ち着き」を取り戻すことに役立つ考え方を紹介したいと思います。
自分にとっての「幸せ」がわからなくなったときの心情は、おそらく落ち込んでいるときの方が多いと思います。できれば避けたい状況でしょう。
しかし、先に結論をお伝えすると、この時間を「自分自身を見つめ直し、これからの人生の指針を考える、またとない貴重な機会」にもできると思います。
このように受け止めるために、次のような考え方をしてみて下さい。
人は皆、これまで漠然としていても自分なりの「幸せ」の定義を持ち、それに向かって生活してきたことだと思います。その過程では、忙しく動き回り、言葉では表現できないほどの苦労もあったと思います。
このようにして過ごし、追い求めてきた「幸せ」がわからなくなったということは、それはこれまでの自分の生き方を「疑う」ということでもあります。
一生懸命に築いてきた自分の基盤を崩すことになるので、不安になるのも当然です。しかし、だからこそ、この機会が大切だと思うのです。
人は物事を深く考えるときには、時間と場所が必要だと思います。しかし、もう一つ必要不可欠なものがあります。それは、「心情」です。
不安や危機感のような「心情」がなければ、真剣に物事を考えることはないのではないでしょうか。
例えば、大きな病気をして不安や恐怖を感じて、初めて自分の健康と向き合うということがあると思います。
同じように、自分の「幸せ」を考え直すということは、これまでの自分の価値観を崩すことにも繋がり、そのときの「心情」は複雑なものだと思います。
しかし、だからこそ今後の人生の指針に関わることを真剣に考えることができると思うのです。このような機会は滅多にあることではないのではないでしょうか。
これまでの人生を振り返ると、「幸せ」の感じ方は年齢やそのときどきで違ったと思います。しかし、多くの人生経験を重ねたうえで「幸せ」を考え直すということは、これまでとはまた別次元のことなのではないでしょうか。
これは一回り大きな人間へ進化する段階と言えると思います。
昔と今では、課せられる責任や考え方も異なるはずです。そのうえで、今後の人生の指針を考えることは、とても重要なことなのではないでしょうか。