人生100年時代を幸せに生きる明日への一歩

本当の意味での「優しさ」とは何か?

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誰も自分のことをわかってくれない

家族、友人、周囲の方々と生活する中で、「誰も自分のことをわかっていない」と嘆きたくなることはないでしょうか。

ある話題に対して、本心は違うけど遠慮して曖昧な答えを口にしたり、つくり笑いをしてその場をやり過ごし、結局は自分が嫌な気持ちになり、疲れてしまうことに心当たりのある方も多いと思います。

昔は、言わなくてもわかる、コミュニケーションの中で表情・声のトーン・雰囲気などから、周りが本心を察してくれるというのが、日本語の会話の特有性や強みだったはずです。しかし今日では、明確に意思表示をしなければ何も聞いてもらえなかったり、「何も考えていない」と誤解されるような風潮さえあります。

自分の意見をはっきり言えたり。明確に気持ちを伝えられる人はよいのですが、そうできない人も多いはずです。結果、誰にも本心を言えず、寂しさ、辛さ、悔しさを感じている方もおられることでしょう。
もちろん何かを言ったり、何らかの方法で伝えなければ、自分の意思や気持ちは伝わりませんが、それにしても誰も自分を理解しようとしてくれないと「悲しい思い」をされている人もいると思います。

そんな方に、気持ちを楽にしていただける心の在り方をご紹介します。

~プラスに転換する考え方~
今後も自分の姿勢を貫く

まず、周囲に自分の意見を明確に伝えることができないことの理由から考えてみたいと思います。この問題の根底には、性格や恥ずかしさなど、さまざまな理由があると思いますが、おそらく一番多いのは「遠慮」だと思います。

「遠慮」とは、一般的には言葉や行動を慎み控えることですが、もう少し掘り下げて考えると別の意味もあります。
それは、先のことを予測し、物事を考えることです。これは「遠謀(えんぼう・遠い将来までを見通したはかりごと)」とも言います。

つまり、自分の意見を何も言わないのではなく、いろいろなことに思いを巡らせ、結果的に何も言わないという選択をしているということになると思います。
この「遠慮」、実は深い優しさの表れと言うこともできます。

例えば、「こう言うと相手が気にしたり傷つくかもしれないから」「こういう判断をすると後に周囲に迷惑を掛けるかもしれないから」など、周囲に思慮をすることで、自分の意思表示を我慢したりすることも多いのではないでしょうか。これは優しさ以外の何ものでもありません。

そうである以上、今後もこの優しさという名の遠慮の姿勢は貫き通すべきではないでしょうか。これは口先ではなく、本当の優しさが体現されたものだと思います。誰もができることではありません。

しかし、そうは言っても周囲から「外面には見えない優しさ」を理解されずに過ごしていくというのは辛いことです。
結果的にどうしても「誰も自分のことをわかってくれない」という気持ちになってしまうのは仕方のないことだと思います。できることならば理解してほしい、自分のことを受け止めてほしいと願うのは、ごく自然のことです。

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プロフィール

大來尚順
大來尚順

浄土真宗本願寺派 大見山 超勝寺 住職
著述家/翻訳家

1982年、山口市(徳地)生まれ。龍谷大学卒業後に渡米。米国仏教大学院に進学し修士課程を修了。その後、同国ハーバード大学神学部研究員を経て帰国。僧侶として以外にも通訳や仏教関係の書物の翻訳なども手掛け、執筆・講演・メディアなどの活動の場を幅広く持つ。2019年、龍谷大学 龍谷奨励賞を受賞。著書に『あなたは、あなた。』(アルファポリス)『超カンタン英語で仏教がよくわかる』(扶桑社) 『小さな幸せの見つけ方』(アルファポリス)など多数。

著書

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