人生100年時代を幸せに生きる明日への一歩

「プライド」と上手に付き合う方法

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弱みの見せ方がわからない。

本当は辛い、しんどい、泣きたい、誰かに頼りたいという思いがある。しかし、それを過去の経緯やプライドからか、素直に他人に伝えたり、相談することができず、人前では毅然とした態度をとっていたり、何気ない顔をして誤魔化していたりする傍ら、陰で人知れず苦しんでいる方も多いのではないでしょうか。

例えば、少し前のことですが、私のところに相談にやって来た方の一人は、生理現象に関するお悩みを打ち明けられました。その方は、足腰の老化が進み、夜中に一人ではトイレに行けず、家族からはオムツを履くことを進められているけれども、どうしてもそれはできないと仰っていました。

これまで家族の大黒柱として胸を張り、強く生きてきた自分が、家族に格好悪いところを見せることはできない。しかし、それで家族に迷惑をかけていることは事実であり、いたたまれない気持ちで辛いというお悩みでした。

本当は頼りたいけれども、今さら頼れない。人に甘えることができれば、弱い自分をさらけ出すことができたらどんなに楽でしょう。
しかし、それができないというような心情は、誰もが大なり小なり一度は経験したことがあるのではないでしょうか。

このような複雑な気持ちを和らげるのに役立つ考え方を紹介したいと思います。

~プラスに転換する考え方~
難しく考えない

まず、明確にしておくべきことが一つあります。それは、自分にとっての「弱みとは何か」ということです。

人にはそれぞれ「弱み」があるものです。それはきっと、人には知られたくない素顔、性格、事実、過去だったり、おそらく無数にあることでしょう。
しかし、それらの「弱み」をつくりだしている根本的なものの正体とは、一体何なのでしょうか。

それは、今の自分を守りたい、かわいく思いたいという「プライド」なのではないでしょうか。こうなると、話は簡単です。この「プライド」を捨てるなり、手放すなりすればよいということになります。
しかし、それができたら誰も苦労しないはずです。

大事なのは、ここからの「プライド」の受け止め方です。
私は、「プライド」は大事だと思います。それがあるからこそ「生きる」ための活力が生まれるからです。
一般的には「プライド」は否定的に捉えられることが多いと思いますが、長年にわたり蓄積されてきた「プライド」に関していえば、守るべきものだと私は思います。

そのうえで受け止めるべき事実もあります。それは、すでに自分の「弱み」という名の「プライド」は家族や近い関係にある方々には周知のことだということです。
自分では必死に隠してきたつもりでも、とうの昔にバレており、実はもう今さら隠しようがないのです。

これは換言すれば、「弱み」をひっくるめた存在として、その人が認められていることになります。このことを事実として受け止めると、少し気持ちが楽にあるではないでしょうか。

肩に力を入れて、無理に「弱み」を見せまいとしたり、変に周囲に気を使わなくてもいいのです。大前提として、今の自分のままで安心していいのです。

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プロフィール

大來尚順
大來尚順

浄土真宗本願寺派 大見山 超勝寺 住職
著述家/翻訳家

1982年、山口市(徳地)生まれ。龍谷大学卒業後に渡米。米国仏教大学院に進学し修士課程を修了。その後、同国ハーバード大学神学部研究員を経て帰国。僧侶として以外にも通訳や仏教関係の書物の翻訳なども手掛け、執筆・講演・メディアなどの活動の場を幅広く持つ。2019年、龍谷大学 龍谷奨励賞を受賞。著書に『あなたは、あなた。』(アルファポリス)『超カンタン英語で仏教がよくわかる』(扶桑社) 『小さな幸せの見つけ方』(アルファポリス)など多数。

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