すぐに使える営業の心理学

営業マンのスランプ脱出には「視点を変える」のが一番 ――「空間的な視点取得」

2018.12.06 公式 すぐに使える営業の心理学 第17回
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自分の立ち位置を変える

スランプに陥ったときは、自分の立ち位置(視点)を変えることが、問題解決の近道です。本来は、他人からアドバイスをもらうのが一番早いのですが、「的確なアドバイス」をもらえる人ばかりではありません。アドバイスをもらったとしても、いろいろなことを言われ、「頭が混乱する」こともあります。

そんなことを避ける意味もあり、自分の修正点は、自分で気がつくスキルを持っておいた方が、ビジネスにも人生にも役立ちます。自分で自分に気がつかないと、失敗を人ごととして捉えてしまい、人のせいにすることから抜け出せません。

自分で自分に気がつくコツは、自分の目線だけで物ごとを見ないように、イメージの中で工夫をすることです。そこで、自分の立ち位置(視点)を変えるために効果的な4つの要素を紹介します。

1:視点の位置(高さ)を変える
自分の見ている位置、高さを変えてみることです。ジャンプして上から見てみる、はしごに登って上から見てみることから、しゃがんで下から見てみるなど、物理的に高さを変え、目線を動かすだけでも効果があります。一番大切なのは、自分の「意識」を動かすことです。できれば意識を上の方に持っていき、建物の天井から、自分や置かれている状況を客観的に見てみるのです。

例えば、子どものころ、野球をしていてボールをなくしたことはないでしょうか。自分の見える目線、すなわち同じ目線で探していても見つからなかったのが、柵に登ったり、木に登ったりすることで、急に見つかることがあったと思います。

仕事がうまくいっていないときは、営業先企業のある特定の部署しか見えていなかったりしますが、自分の置かれている状況を、意識的に上から俯瞰して見ることで、営業先の会社全体を見ることができ、実は、攻める部署が違っていたことに気づいたりするものです。

2:視点を自分以外の人に移す
これは、視点を自分以外の第三者に移す方法です。第三者とは、お客さまであったり、上司であったり、競合他社の営業マンなどで、その人たちに意識を向けてみるのです。自分の提案した企画が採用されないときなどは、お客さまになりきってみると、また違った視点から答えが見えてきます。

例えば、自分が提案した企画をお客さま側になって考えてみると、営業マンの説明不足で上司に上げにくかったことに気づいたり、提案するタイミングが遅かったために、早くから提案しにきた同業他社で話が進んでしまっていたかもしれないと気づいたりします。

何かがうまくいかないときには、必ず何らかの理由があります。自分ではいいと思って行動していたことが、他人にはいいと思われていない行動だったりするのです。

3:視点を事実に向ける
営業マンは成績が上がらないと、環境のせいにしたり、会社の商品力や技術力のせいにしたり、人のせいにするようになります。他人を責めて人間関係が悪くなることがありますが、これは絶対に避けなければなりません。

真面目な人は、自分の営業力がないことが原因だと、自分を責める人もいます。日頃の営業活動の中で足りない部分に気づき、足りない部分を修正できる人であればいいのですが、自分を責めるだけで終わってしまうとテンションが下がり、さらに売れないスパイラルに陥りかねません。

そんなときは、視点を事実だけに向けるのです。事実は、提案した商品が受注できなかったということだけです。環境のせいでも、商品力のせいでもありません。ここで「自分が悪いのだ!」と、自分を責めないことです。

事実を見失うと、だんだん論点がズレていってしまい、お客さまや自分の会社のことをネガティブに考えるようになってしまいます。これも、やってはいけないことです。なんであれ、事実は1つだけです。その事実を受け止めて、どう次に活かすかが大切なのです。そこに視点を絞って考えてみましょう。

4:視点の時間軸を変える
過去からの視点に立ったり、未来からの視点に立つなど、時間軸を変えて、自分を俯瞰してみます。過去からの視点に立って今を見てみると、自分の営業の方向性が変わったことが原因で、うまくいっていないことに気がついたりします。

逆に、未来からの視点に立って今を見てみると、営業成績が悪くて落ち込んでいることは、未来から見ると、たいしたことではないことに気がついたりします。

例えば、自分が6ヶ月間お客さまと話を詰めてきた案件が、競合他社に取られたとします。当然、売上を失いますし、今まで自分が使ってきた時間のことを、悔やむかもしれません。これを未来の視点に立って考えてみると、今回の失敗から学んだことを修正すれば、今まで以上に価値のある商品を設計し直して、さらに魅力的な商品になることが分かったり、この案件を他社に持っていくことが可能だと気づくことができます。

このように、営業でうまくいかないときは、多くの場合「視点が固まって」いる状態です。ぜひ、意識的に視点を動かして、自分を客観的に見直してみましょう。

次回に続く

 

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プロフィール

大岩俊之
大岩俊之

理系出身で、最新のエレクトロニクスを愛する元営業マン。
大学卒業後、電子部品メーカー、半導体商社など4社で法人営業を経験。いずれの会社でも、必ず前年比150%以上の営業数字を達成。200人中1位の売上実績を持つ。
独立起業を目指すなか、「成功者はみな読書家」というフレーズを見つけ、年間300冊以上の本を読むようになる。独立起業後、読書法やマインドマップ、記憶術などの能力開発セミナー講師をしながら、法人営業、営業同行、コミュニケーション、コーチングなどの研修講師として7,000人以上に指導してきた実績を持つ。年間200日以上登壇する人気講師として活躍している。
主な著書に、『格差社会を生き延びる“読書”という最大の武器』(アルファポリス)、『読書が「知識」と「行動」に変わる本』(明日香出版社)、『年収を上げる読書術』(大和書房)、『1年目からうまくいく! セミナー講師超入門』(実務教育出版)などがある。

著書

口下手でもトップになれる営業術

アルファポリスビジネスの人気Web連載「入社1年目の営業スキル」を書籍化。「上手く話せない」「説得できない」「物が売れない」など、自身の営業スキ...

格差社会を生き延びる〝読書〟という最強の武器

現代社会で本当に必要とされる人間になるためには、実は「読書」が不可欠。というのも、読書をすることで「知識」と「教養」を得ることができ、これが昨今...
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