すぐに使える営業の心理学

敏腕営業マンに共通する「コスト意識」とは――「経済的合理性、コスト意識」

2019.01.17 公式 すぐに使える営業の心理学 第19回
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時間も出張費用もコストである

こんにちは、ロールジョブの大岩俊之です。営業マンは、売上をあげることが仕事なのですが、当然ながらそれだけではいけません。なるべく一つひとつの仕事で利益が増えるように、徹底したコスト意識を持つことが重要になります。

今回のテーマは、「経済的合理性、コスト意識」です。コスト意識というと「なるべく値引きをしないように売る」であったり、「少しでも高い値段を提示する」などと考えてしまいがちですが、それだけではありません。実はビジネスの現場で取引するために必要なコスト、すなわち「取引コスト」というのも、営業マンは意識しなければならないのです。

取引コストとは、まさに取引を進めるときのコストのことです。情報収集コストや交渉コストのことを指します。移動時間、打ち合わせ時間、書類をまとめる時間など、時間管理もコストになります。同じ働くのであれば、より効率的で実りのある時間の使い方をすることも、実は目に見えない重要なコストなのです。敏腕といわれる営業マンに共通しているのは、こうした「取引コスト」への意識が非常に高いという点です。

他には、車移動にかかるガソリン代や高速代があります。車以外での移動の場合は、電車代、特急料金代、新幹線代などがかかります。遠方への出張の場合は、宿泊費用や日当などの出張代もかかります。さらには、飲食などの接待費用、お客さまに提出するサンプル費用、デモ機貸し出し費用など、すべてにおいてコストがかかっているのです。商品の原価を下げる、人件費を抑えるのが限界に来ている今、あらゆる面でのコストダウンの意識が求められているのが実情なのです。

私は会社員時代、営業活動でなるべくコストをかけないように意識をしていましたが、会社から、出張費や会議費など「経費削減」の指示があると、面倒だなーと思ったものです。

コストに対する意識を強く持つようになったのは、結局、自分で独立してからでした。現在は、名古屋に住んでいるため、遠方(東京や大阪)での仕事も多く、交通費や宿泊費がそれなりにかかります。お客さまのところに、何度も通ったにもかかわらず、割に合わない仕事しか受注できなかったりすると、トータルで赤字になります。会社員のように安定した収入は入ってこないのです。出張で移動している時間は、読書ができますが、いつものように仕事はできないので、拘束時間も大きなコストになります。

私のような研修講師、営業コンサルタントの仕事は、どうしても、東京、大阪などの大都市に仕事が集中する傾向にあります。独立したての頃は、仕事欲しさに、東京や大阪ばかりに出張をしていました。ですが、取引コストを考え、出張費を抑えるため、あまり脈がない会社への訪問や、付き合いだけで遠方の人に会いに行く回数を減らしました。今では、なるべく地元の名古屋にいても、仕事が安定して受注できるように工夫しています。

このような経験もあり、営業マンのみなさんには、商品やサービスの利益を得ることだけではなく、私の営業研修では、こうした「取引コスト」も意識してもらうように教育指導するようにもなりました。

もちろん、私が接してきた中で本当にできる営業マンは、いわずもがな、この「取引コスト」をきちんと意識して動いています。いわば、敏腕営業マンに共通する現代ビジネスに必要な考え方と言っても過言ではありません。

では、どのようにしてこの「取引コスト」を、自分の営業活動に取り入れればよいのでしょうか?

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プロフィール

大岩俊之
大岩俊之

理系出身で、最新のエレクトロニクスを愛する元営業マン。
大学卒業後、電子部品メーカー、半導体商社など4社で法人営業を経験。いずれの会社でも、必ず前年比150%以上の営業数字を達成。200人中1位の売上実績を持つ。
独立起業を目指すなか、「成功者はみな読書家」というフレーズを見つけ、年間300冊以上の本を読むようになる。独立起業後、読書法やマインドマップ、記憶術などの能力開発セミナー講師をしながら、法人営業、営業同行、コミュニケーション、コーチングなどの研修講師として7,000人以上に指導してきた実績を持つ。年間200日以上登壇する人気講師として活躍している。
主な著書に、『格差社会を生き延びる“読書”という最大の武器』(アルファポリス)、『読書が「知識」と「行動」に変わる本』(明日香出版社)、『年収を上げる読書術』(大和書房)、『1年目からうまくいく! セミナー講師超入門』(実務教育出版)などがある。

著書

口下手でもトップになれる営業術

アルファポリスビジネスの人気Web連載「入社1年目の営業スキル」を書籍化。「上手く話せない」「説得できない」「物が売れない」など、自身の営業スキ...

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