欧米エリートが使っている人類最強の伝える技術

たった一人で会社と交渉!? 意見を通すために押さえておくべきポイントとは?

Getty Images

組織を説得するためのコツ

今回は、個人ではなく組織を相手に説得を試みる際に、まずなにをするべきか? そこで意識するべきこと、事前にするべきことについて解説したいと思います。

例えば、あなたの勤める会社に「飲み会には強制参加」というトンデモルールがあったとします。

どんな会社にも一つや二つは不合理なルールがあるものですが、これを廃止しようと社内を説得する場合、まずなにをするべきか? 

こう聞かれると、大半の人は「ルールが不合理だという根拠を探す」「どんな言い方をすれば相手に受け入れてもらえるのか考える」「話を切り出す際、どんな順番で話をするのか工夫する」などといったことを、とっさに思い浮かべるかもしれません。

しかし、実はそんなことよりも真っ先にするべきことがあります。それが次の二つについて事前に探ることです。

1、キーパーソン・キー集団を探る
2、聞き手の考え・好みを探る

それぞれを見ていきましょう。

1、キーパーソン・キー集団を探る

まずは、説得・交渉相手の意思決定のプロセスを把握すること。要は、誰が結論を出すのか、キーパーソンを把握するのです。

これは、国家間の極めて高度な交渉でも同様で、そうした場合においても最初に行うのが、相手国の意思決定のモデルを見極めることだそうです。

国内の話し合いで合理的な決定をする国なのか、複数の勢力の縄張り争いの結果として意思決定がされるのか、独裁者の一存なのか。意思決定のモデルによって交渉の仕方も変わってくるといいます。

そして、これは我々が、仕事で交渉・説得をする場合でも同様です。

こちらの提案の内容さえよければ受け入れてもらえるのか、あるいは特定のキーパーソン・キー集団が反対したら、内容がどんなによくても却下されるのか。例で言えば、「飲み会には強制参加」というルールを廃止するには誰の決定が必要なのか? そこを考えるということです。

もし、特定のキーパーソンはおらず、会議などで多数決的に納得してもらえればいいのであれば、説得の内容は、より多くの人が納得しやすい客観的根拠と一般的な常識に訴えるようなスタンダードな説得をすればいいでしょう。

しかし、そうしたスタンダードな説得が通じないキーパーソンやキー集団が明確にあるのならば話は別です。

その個人、その集団が喜ぶような根拠や論理、話し方をする必要がありますし、話をしている最中も、そのキーパーソン・キー集団の反応を気にする必要があるのです。極端な話、場合によっては会議などで話すよりも個人的に会って、一対一でキーパーソンを説得した方が効果があるかもしれません。

これが事前準備の第一。キーパーソン・キー集団を把握する。まずここを明確にしなければ、誰に向けて話をすればいいのかも分からないことになるのです。

ご感想はこちら

プロフィール

高橋健太郎
高橋健太郎

横浜生まれ。古典や名著、哲学を題材にとり、独自の視点で執筆活動を続ける。近年は特に弁論と謀略がテーマ。著書に、アリストテレスの弁論術をダイジェストした『アリストテレス 無敵の「弁論術」』(朝日新聞出版)、キケローの弁論術を扱った『言葉を「武器」にする技術』(文響社)、東洋式弁論術の古典『鬼谷子』を解説した『鬼谷子 100%安全圏から、自分より強い者を言葉で動かす技術』(草思社)などがある。

出版をご希望の方へ