その仕事、誰かに任せなさい!

部下の「やらされ感」は「外向き目標」で解消せよ!

2019.08.16 公式 その仕事、誰かに任せなさい! 第4回
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なぜあなたの部下は
「やらされ感」が強いのか

「やらされ感」の正体とは、何なのでしょうか?

あなたが仕事を任せたときに、部下が「やらされ感」を抱いていれば、上司としてはいささか傷つくのではないでしょうか。
「やらされ感」を与えるようでは、「任せ下手」と指摘されても仕方ありません。

しかし、部下に「やらされ感」を持たせるのが得意な上司はたくさんいます。
「とにかくやれ」とか、「決まったことだから」など、半ば強引に指示し、部下が自分で考え、決めるチャンスを奪ってしまう。
そうすると、部下の「やらされ感」は避けられません。

態度を見れば、その度合いは一目瞭然。
ふてくされたり、嫌な表情をしたり、生返事をしたり……。
当然、任せた仕事のパフォーマンスやスピードも著しく悪化します。

とはいえ、これを解消するにはどうしたらいいのでしょうか?
せっかく仕事をするのですから、
「生き生きとやってほしい」
「任せた仕事をやらされ感で取り組んでほしくない」
それが上司の本心でしょう。

そんな上司にお教えします。
このやらされ感の正体……、それは以下の3つの状態によって引き起こされます。
①「自己決定不可」状態
②「目標不燃」状態
③「内向き目標」状態

この3つの状態があるまま仕事を任せると、ほぼ確実にやらされ感が発生します。
いかにこの3つの状態を解除するか。ここが重要です。

①「自己決定不可」状態
→「自分で決めていない」からやらされ感になる

自己決定不可状態とは、何をやるか、どうやるか、いつまでにやるか、を部下が自分で決めることができていない状態です。

そもそも、どんな仕事でも「自己決定」しているなら「やらされ」はなくなるはずです。

「やらされ感」とは、この「自己決定感」の逆といって差し支えありません。

とはいえ、あなたの部下はさまざまな物事を自分で決めることができるでしょうか?
決めるというのは、実はとても難しいビジネススキルです。

そして部下が決められない結果、上司が代わりに決めてあげることになります。
まず何をするか、次に何をするか、事細かに先回りして決めてしまい、「さあどうぞ」と仕事を渡すわけです。これではやらされ感から逃れられません。

②「目標不燃」状態
→「目標に燃えていない」とどんな仕事もやらされ感になる

なぜ決められないかというと、目標に燃えていないからです。

目標に燃えていれば、どんな仕事を与えられても「自己決定感」に変わります。
なにしろ、その目標を達成したいのですから、振られた仕事も、上司からのアドバイスも、喜んで受け止めることができます。

つまり、やらされ感を抱かせないためには、部下を目標に燃える状態に持っていけばいいのです。

③「内向き目標」状態
→「誰のために頑張っているか」でやらされ感が生まれる

では、どうすれば目標に燃える状態に導けるのでしょうか。
それには、目標の種類に目を向けると解決の糸口が見えてきます。

目標は、「外向き目標」と「内向き目標」に分けることができます。
「外向き目標」とは、自分の仕事を「お客さま」や「社会的価値」に置いている目標のことです。
例えば、お客さまにもっと喜ばれたい、世の中に意味のある仕事をしたいという目標。外に向かって開かれている目標です。

逆に「内向き目標」とは、「お客さま」や「社会的価値」が一切出てこない目標です。
例えば、自分の給料を上げたい、社内の評価を高めたい、労働時間を減らしたい、もっと休みを増やしたいという目標。つまり、焦点が自分にしか向かっていない目標です。

よく耳にする「自分のスキルを上げたい」という目標も、お客さまにもっと価値を提供したいからスキルアップしたい外向き目標なのか、それともただ自分の給料や評価を上げたい内向き目標なのかで意味合いが変わってきます。

そう、仕事に燃えている人は、「自分」ではなく、「お客さま」や「社会的価値」を念頭に置いているのです。

部下を「内向き目標」から
「外向き目標」に変える

自分の部下が「内向き目標」なのか「外向き目標」なのか判断したいならば、部下に直接聞いてみるといいでしょう。
皆さんは部下に目標をヒアリングしていますか?

改めて問われれば、実は行っていなかったという人も多いのではないでしょうか。
普段、プライベートや日常のさまざまなことを共有するほどコミュニケーションを取っている上司でも、目標に関して全く話題に触れていなかった、というのはよくある話です。

しかし、仕事を任せるうえで、部下の目標を把握しているかどうかは極めて重要です。

聞き方は簡単で、
「これからどうしていきたい?」「今どういう目標を持っている?」
そのような質問をしたとき、出てきた答えに「お客さま」や「社会的価値」の要素が入っている部下は「外向き」です。
つまり、このふたつの要素が入っていない部下は「内向き」と考えてよいでしょう。

ちなみに、内向きの目標は、現状への「不満」が原因で発生しているケースが多いことがわかっています。
ですから、内向きの部下に問題点等を尋ねると、スタッフ間の愚痴や文句などの不満が多く出てくる傾向があります。そこに「お客さま」や「社会的価値」は現れません。

重要なのは、それに気付いたときの上司の対応です。
部下の目標が「内向き」だと感じたら、ぜひ「外向き質問」をしてみましょう。

「外向き質問」とは、「お客さまや社会的価値を目的語にした質問」のことです。
具体的には、
「お客さまに対してもっとこうしたいとか、こうしていくべきだと考えていることはない?」
「どうしたらもっとお客さまに喜んでもらえると思う?」
といった質問です。
こうして「外向き質問」を投げかけると、それまで内向きだった部下も、思いのほか外向きの意見を口にしてくれ、部下はだんだん「内向き」から「外向き」に目標を変換させていきます。

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プロフィール

高野俊一
高野俊一

組織開発コンサルタント。
日本最大規模のコンサルティング会社にて組織開発に13年関わり、300名を超えるコンサルタントの中で最優秀者に贈られる「コンサルタント・オブ・ザ・イヤー」を獲得。研修の企画・講師を年200回、トータル2000社、累計2万人を超えるビジネスリーダーの組織づくりに関わってきた。2012年「株式会社チームD」を設立、現代表。部下に仕事を任せ、一人ひとりが目標に燃える最強の組織を構築する技術に定評がある。

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