その仕事、誰かに任せなさい!

任せ上手の上司は、実は部下にほとんど「期待していない」!?

2019.09.20 公式 その仕事、誰かに任せなさい! 第6回
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「任せられる部下がいない」と思ったら
上司としては要注意!

「仕事を任せる」というテーマで、部下を持つビジネスマン向けに研修をすると、多くの皆さんがこうおっしゃいます。

「任せられる部下がいないんです」

詳しく聞いてみると、「部下はいるのですが、彼・彼女らが未熟すぎるので、任せるレベルにない」というのです。

これは本当によくあるケースで、仕事を任せたいのはやまやま、部下を目の前にして、「この子に任せろと言うんですか?」という気持ちになっているわけです。

「ダメな部下」の方が、任せるのは難しい。
それは事実です。

「デキる部下」なら、あなたの任せ方が雑でも、動機付けが下手でも、何とかやってくれる可能性は高くなります。

「ダメな部下」「デキない部下」に任せようとすると、なかなかうまく行きません。
そのため、「自分の部下がデキるヤツだったら……」と、どうしても上司は部下への不満がつのってしまいます。

ちなみに「任せる」ことをテーマにしたビジネス書を開くと、「任せるべき部下を選べ」というアドバイスが目につきます。
これは効果的な方法なのでしょうか?

部下を選ぶことができたなら、こんなに簡単なことはありません。

デキる部下だけを選んで任せれば、うまく行くに決まっています。

しかし、現実には、上司は部下を選べないことがほとんどです。
「部下は上司を選べない」とよく言いますが、逆もまた真なりです。

にもかかわらず、多くの上司は仕事を任せる前から「任せられる部下がいない」と諦めてしまっています。

部下を目の前にして、
“責任感がない”
“意識が低い”
“やらされ感が強い”
“やる気がない”
“何度言ってもやらない”
“能力が低い”

さまざまな理由をつけて、「この部下には任せられない」と半ば諦め、「もっといい部下をよこしてくれたら」と淡い願望を抱いたり、「なんでオレの部下はダメなやつばかりなんだ」と嘆いたりします。
部下を選べないのに選ぼうとするから、「任せられる部下がいない」という発言が生まれるのです。
しかし、これが間違い。部下を選ぼうとしてはいけません。

実は、任せることができない本当の理由は、上司が「任せる前から任せることを諦めている」からなのです。

部下への「期待値が高すぎる」と
上司は任せるのが下手になる

ここでは、ダメな部下でも任せられる効果的な方法を紹介します。

それは、「部下への期待値を下げる」ことです。

あなたが任せられない、任せてもうまくいかない、任せる前から諦めている、その根本の原因は、あなたの「部下への期待値」が高すぎることです。

あなたは、「部下に期待する」のはいいことだと思っていませんか?
確かに、「あなたには期待しているよ」と言葉をかけるのは、部下を勇気づけ、やる気を起こさせる好ましい行為と言えるでしょう。

しかし、これはあくまで「将来への期待値」です。将来に対してなら、いくら期待値を高くしてもかまいません。
間違ってもやってはいけないのは、部下に対する「現在への期待値」を高くすることです。

現在への期待値が高すぎると、部下は常にあなたの期待値を下回ることになります。

すると、つい、こんな言葉が出ます。
「なんでできないの?」
「前にも言ったよね」
「なんでこんな当たり前のことができないのかな?」
「どうしてわからないの?」
「どうしたらできるか教えて?」

こういった疑問が出てきたときは要注意です。
これらは全て、上司の期待値を部下が下回ったときに出てくるものです(しかも、無意識に言ってしまっていることが多いです)。

期待値が高いとは、当たり前の基準が高いということです。
できて当たり前、できなければ、「なんで?」となります。

部下からすれば、任された仕事をことごとく否定され、一切褒めてもらえず、叱責された挙句、「なんで?」と詰められることになります。当然仕事は面白くありませんし、やる気をなくし、成長が鈍化してしまいます。

そんな姿を見て、ますます上司は「この子には任せられない」と諦めの気持ちが強くなり、自分でやってしまうことになります。
つまり、マイナスのスパイラルに陥ってしまうわけです。

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プロフィール

高野俊一
高野俊一

組織開発コンサルタント。
日本最大規模のコンサルティング会社にて組織開発に13年関わり、300名を超えるコンサルタントの中で最優秀者に贈られる「コンサルタント・オブ・ザ・イヤー」を獲得。研修の企画・講師を年200回、トータル2000社、累計2万人を超えるビジネスリーダーの組織づくりに関わってきた。2012年「株式会社チームD」を設立、現代表。部下に仕事を任せ、一人ひとりが目標に燃える最強の組織を構築する技術に定評がある。

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