その仕事、誰かに任せなさい!

部下の「インプット」さえ変えれば、上司を越える「最強の部下」が育つ!?

2020.04.03 公式 その仕事、誰かに任せなさい! 第19回
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もしも「自分のコピー」がいたら……、上司の願望と部下の本音

「もしも自分のコピー(分身)がいたら……」
そんなふうに考えたことはありませんか?

仕事を任せられず、何でも自分でやってしまう人は、仕事がデキて、責任感があり、能力も高い。
そんな自分がもう1人いたら、もっと仕事の進みが効率化するはず。

そこで「自分のコピーがいたら」と考えるわけです。
しかし、そう願う上司に対して、部下からすれば、上司のコピーロボットになるのは抵抗があります。
そもそも、上司と部下は違う人間ですから、コピーのように一緒になるのはムリですし、それを求められても部下は困ってしまいます。

このように、仕事を任せる際に「自分のコピーを作ろうとする」というのは、実は「部下に仕事を任せる」うえでのよくある失敗要因です。
そう、仕事を任せることとは、自分のコピーをつくることだと勘違いしているリーダーが多いのです。
ですが、このコピーの発想も、少し切り口を変えると、驚くほど育成が上手になります。

というわけで、ここでは「自分の分身をつくるにはどうしたらいいのか」「どうすれば自分と同じように仕事のできる人間を育てることができるのか」を解説します。

自分のコピー(分身)のつくり方

「コピーする」という発想は、自分と相手を同質化させるアイデアです。
同質化させられる部下は、たまったものではありません。

しかし、どこを同質化させるか。ここに着目すると、また違った答えがでてきます。まず、仕事を任せる際は「インプット」と「アウトプット」に分けてみましょう。

●インプット……「情報を入れる」
●アウトプット……「仕事の結果を出す」

仕事を任せるときに、仕事の内容や目的、意味などを相手に伝えます。なぜその仕事をするのか、どうやって進めるのか、どうしたらうまくいくか、情報をインプットしていきます。
部下は、インプットした情報を元に仕事に取り組んで結果を出そうとします。これがアウトプットです。

コピーするという発想は、アウトプットに求めると全くうまくいきません。しかし、インプットを同質化させる発想を持つと、とたんにうまくいきます。

例えば部下に、何か資料を作成してもらうとします。インプットをコピーすると考えてみてください。
部下があなたと同じくらい情報を持っている状態になるまで、情報を与えたとします。
資料をつくる目的、意味、やり方、この資料を必要とする相手は何を求めていて、過去にはどんな資料があったのか、あなたの持っている情報を渡し、あなたと部下との間で情報格差が埋まるまで共有する。

もしもインプットがコピーできたなら、アウトプットはどうなるか。
結論から言うと、良質なインプットからは良質なアウトプットが生まれます。
インプットの情報格差が埋まっていれば、アウトプットの基準はおのずとあがります。むしろ、あなたの発想に加えて部下独自の工夫やアイデアがプラスオンされ、あなたが想像した以上の結果が出るようになる可能性すらあります。

このプラスオンされた部下の工夫やアイデアが部下の個性となり、部下のやりがいを高め、成長を促進させます。
つまり、インプットをコピーすれば、アウトプットはあなたの想定以上の結果がうまれるということです。

人は多くの場合、アウトプットをコピーしたいと考えてしまいます。自分と同じアウトプットを出すように部下に求めてしまうのです。
アウトプットをコピーする発想でいると、出てきた資料を「これじゃない」「これは違う」とダメ出しばかりになってしまいます。

「自分を超える部下」を増やせ!

「コピーする」発想には、もう1つ問題があります。
それは、「自分を超える部下」を想定していないことです。コピーという考えには、「部下は自分のレベルに到達してくれさえすればいい」という基準値が生じます。
もしも部下がこの基準値を超えるアウトプットを出したら、自分の立場がなくなると不安を覚えるかもしれませんが、それは全くの杞憂(きゆう)です。
なぜなら、自分を超える部下を何人も育てられるリーダーを、会社は放っておかないからです。

皆さんも会社の経営幹部ならば、自分の能力以下の人間しか育てられない上司と、部下がバンバン成長していく上司とでは、どちらを優遇するかは自明の理だとわかるでしょう。

むしろ、どうすれば「自分を超える部下」をつくれるのか、ここに注力する必要があります。
自分を超える部下をどうつくるか、皆さんはそういう発想で部下と関わっていますでしょうか?

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プロフィール

高野俊一
高野俊一

組織開発コンサルタント。
1978年生まれ。日本最大規模のコンサルティング会社にて組織開発に13年関わり、
300名を超えるコンサルタントの中で最優秀者に贈られる「コンサルタント・オブ・ザ・イヤー」を獲得。
これまでに年200回、トータル2000社を超える企業の組織開発研修の企画・講師を経験。
指導してきたビジネスリーダーは累計2万人を超える。
2012年、組織開発専門のコンサルティング会社「株式会社チームD」を設立、現代表。
部下に仕事を任せ、1人ひとりが目標に燃える「最強のチーム作り」技術に定評がある。
2019年より、アルファポリスサイト上にてビジネス連載「その仕事、誰かに任せなさい」をスタート。
累計100万PVを記録する反響を呼び、このほど改題を経て出版化。

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