その仕事、誰かに任せなさい!

部下を変えようとしてはいけない。環境を変える仕事の任せ方

2020.06.19 公式 その仕事、誰かに任せなさい! 第24回
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あなたは部下を下に見ている?
それとも上に見ている?

あなたは上司ですから、組織のピラミッドでは部下よりも上に位置します。

そこで、上司は自分の部下に仕事を「落とす」という発想で仕事を任せがちです。
「部下とは、上司から任された仕事をする存在」という考え方です。

しかし、この発想そのものが、「任せ下手」の原因です。

任せ上手のリーダーは、下に仕事を落としていくのではなく、「逆さピラミッド」で考えています。
上司は部下の下に位置し、部下が上司の土台の上で仕事をする。
つまり、「上司は、部下がよりよいパフォーマンスを発揮するために存在する」と捉えています。

ここに決定的な違いがあるのです。

「通常ピラミッド」の発想だと、仕事を任せた際に、「いかに部下が自分の期待に応えるか」がテーマになりますが、「逆さピラミッド」はまさに逆です。
「自分が部下の期待に応えるにはどうしたらよいか」と考えるのです。

部下を変えようとするか、自分を変えようとするか。
皆さんは、どちらの発想で部下に仕事を任せていますか?

部下のレベルに合わせて
リーダーシップのスタイルを変える

部下によいパフォーマンスを発揮してほしいならば、仕事の任せ方も相手に合わせていく必要があります。

ここでは、自分の任せ方を変えることで、部下のパフォーマンスを上げる方法を紹介します。

これは「シチュエーショナル・リーダーシップ」と呼ばれています。
部下の置かれている状況によって、4つのリーダーシップを使い分ける方法です。

具体的には、以下の4つのスタイルが存在します。

①指示型
②提案型
③援助型
④委任型

それぞれ見ていきましょう。

①指示型
「これをやって」「あれをやって」と指示を出します。
何をやっていいかわからない新人には、指示型が最適です。逆に経験を積んだ人に指示を出してしまうと、「信頼して任せてくれない」と不満を抱かせてしまったり、指示待ちの部下しか育たないといった問題が出てしまいます。

②提案型
「これをやったらいいと思うけど、どう?」「こういう選択肢もあるんじゃないかな?」と提案するのですが、決定するのは部下というスタイルです。
自分で考える能力は足りないけれど、自己決定はしたいという部下に大変有効なスタイルです。答えは上司が提示し、あとは本人に選ばせるという点が指示型との違いです。有無を言わさずやらせるのが指示型、本人に選ばせるのが提案型です。

③援助型
「何をしたらいいと思う?」「それでいいと思うよ、やってごらん」と、上司は答えを示すのではなく、質問をし、意見を引き出し、励まして部下のパフォーマンスを高めるスタイルです。
部下に十分考える力があり、結果を出せる力量があるにもかかわらず、決断ができなかったり、自信がなかったりする場合に有効なスタイルです。
自信がない部下は、誰かに認めてもらったり、誰かに背中を押してもらうことでパワーがもらえる、そういった援助を上司に期待しています。
指示型や提案型のように「答え」が欲しいのでもなく、委任型のように丸々任せられて「放置」されるのでもない、「援助」を求める部下もいるのです。

④委任型
自分で答えを見つける力もあり、自信もあるので、放っておいてくれた方が、パフォーマンスがあがるタイプです。この部下とは、「ゴール」だけすり合わせておきます。どこに向かうのか、何を果たすべきなのか、達成基準はどこなのか、納期はいつまでか、ゴールさえすり合わせてしまえば、あとはプロセスを自分で設計し、工夫を凝らし、アイデアを盛り込んで成果をあげられる部下に、細かくマネジメントする必要はありません。
むしろ、委任型を求める部下にマイクロマネジメントをすると、「信頼してもらえていない」「任せてくれない」と不満を抱え、上司を邪魔だと感じることさえありえます。

皆さんは、4つのリーダーシップスタイルのうち、どれを取ることが多いでしょうか?

多くのリーダーが、「①指示型」か「④委任型」に偏ってしまいがちです。

現実は、細かく指示を出して部下のやる気を奪う上司や、放置して「何もしてくれない」とレッテルを貼られ、部下から愚痴と文句を言われている上司が非常に多いのが実情です。

この問題は、「自分の得意なスタイル」「自分のなじみのあるスタイル」を選んでいるということです。
つまり、部下が自発的に動くようにするためには「相手にとって最適なスタイル」を選ぶスタンスが上司には必要なのです。

→<次ページ:部下にとって最適なスタイルを選ぶ「シチュエーショナル・リーダーシップ」~相手の求める「任せ方」を手に入れる具体的な方法~>

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プロフィール

高野俊一
高野俊一

組織開発コンサルタント。
日本最大規模のコンサルティング会社にて組織開発に13年関わり、300名を超えるコンサルタントの中で最優秀者に贈られる「コンサルタント・オブ・ザ・イヤー」を獲得。研修の企画・講師を年200回、トータル2000社、累計2万人を超えるビジネスリーダーの組織づくりに関わってきた。2012年「株式会社チームD」を設立、現代表。部下に仕事を任せ、一人ひとりが目標に燃える最強の組織を構築する技術に定評がある。

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