上司1年目は“仕組み”を使え!

「やる気がない部下」を上手く巻き込む新任上司の必勝法

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部下にやる気がない!
そんなとき、どうする?

はじめて部下を持つ時、その部下にやる気があったなら、どんなに素晴らしいことでしょう。
仮に能力がなかったとしても、やる気さえあれば、育て甲斐もあるというものです。

逆に、部下にやる気が感じられないと大変です。
途端に育成が難しくなり、毎日大いに頭を悩まされることになります。

実際、私もはじめて部下を持った時、部下からやる気が感じられず、ひどく苦しんだものです。
そのうえ、部下のやる気を引き出せていないのは、自分に「上司としての魅力」が足りないからではないかと、自らを責めて自信を失くしたりしていました。

皆さんはいかがでしょうか?

新任上司にとって、「部下のやる気」とどう向き合うかは、非常に重要なテーマです。
部下のやる気を引き出せない上司は、その後のビジネス人生でずっと苦しむことになりかねません。

では、そんなやる気が見られない部下を、どうすれば上手く巻き込むことができるのでしょうか?

ここでも、前回同様、「とりあえず思考」ではなく「仕組み思考」で考えることが重要です。

やる気がない部下に対して、「とりあえず」部下のやる気を引き出す方法から考えてしまいがちなのですが、なぜ部下はやる気がなくみえるのか、どういうメカニズムになっているのか、そこを「仕組み思考」で考えてみましょう。

やる気がなさそうに見える部下は
本当にやる気がないのだろうか?

「部下のやる気が感じられない」という現象を、3つに分けて考えます。

  1. Be:考え方
  2. Do:行動
  3. Have:成果

新任マネージャーは、部下の「やる気」というものが、実に見えにくいものであることを踏まえる必要があります。

「やる気がない」というのは考え方(Be)の話です。
部下の内面である「考え方」について、「やる気がない」とあなたは感じているのですが、それは本当にそうなのでしょうか。

相手の内面のことは、なかなかわかりません。
あなたは部下の行動(Do)を見て、部下のやる気がない(Be)と判断しているわけです。

やる気の感じられない行動とは、どんなものでしょうか?
・あくびをしたりして眠そう
・頬杖をついたり、ふんぞり返って椅子に座っている
・ため息をついて、つまらなそうな表情をしている
・話しかけても表情が変わらず、返事に勢いが感じられない
このような態度を取られると、さすがに上司も、やる気がなく感じてしまうでしょう。

もしくは、能力の問題でやる気がなく見えることもあります。
・メールの返事が遅い
・とりあえず資料を作るが、「もっとよくしよう」という姿勢が見えない
・意見を求めても何も出てこない
・納期遅れを何度も起こす
注意しても直らないことが頻発すると、「やる気あるの?」と疑いたくなるのです。

これらは全て部下の「行動」から「やる気」を判断しているわけです。

では、この部下は、本当にやる気がないのでしょうか?
これはなかなか難しい問題で、上司が「やる気ある?」と部下に質問したとしても、本当のところはわかりません。
「あります」と答えたとしても、本当にあるかどうか判断できませんし、「ないです」と言われても、それはそれで、大問題です。

ただし、そういう部下でも、本当はやる気があるのに、それを表に出せていないだけかもしれません。

逆に、行動だけを見るとやる気があるように見える部下でも、実はやる気がなくて、ある日いきなり退職届を出してくるような人もいます。

そもそも、マネージャーになりたての人(上司)は、たいがいやる気があります。
そんな、やる気みなぎる新任上司からすれば、「相対的に」部下はやる気がありません。
新任上司には、部下のやる気が低く見える構造的な問題があるのです。

このように、「部下のやる気」とは、実に捉えづらいものと言えます。
この捉えどころのない「やる気」をダイレクトに変えようとすることを、「Beアプローチ」と呼んでいるのですが、これが、効果をあげてくれない要因なのです。

やる気がない部下にやってはいけない
4つの間違ったアプローチ

「部下のやる気がない」と感じた時に、上司がやりがちな間違ったアプローチは以下の4つです。
①「やる気あるの?」と責める
②お金などの「ご褒美」を用意してやる気を出そうとする
③仕事の依頼を遠慮してコミュニケーションを減らす
④「やる気がないなら辞めれば」と突き放して切り捨てる

①「やる気あるの?」と責める
態度が悪かったり、なかなか行動しない部下に「やる気あるの?」と責めてしまうのは、よくやってしまうことです。
私も、過去幾度となくこのセリフを言ってきました。
しかしこれは、非常によくないアプローチです。
非常によくないどころか、逆効果ですらあります。
「やる気あるの?」と疑われた部下は、「自分を信じてくれていないんだ」とさらにやる気が下がってしまいます。

②お金などの「ご褒美」を用意してやる気を出そうとする
ご褒美があればやる気が出るだろうと、自腹を切って渡すことを約束したり、「達成したら食事会をやろうね」と、ご褒美で釣ろうとします。
これは、本人たちにやる気があれば、とても有効な手段になるのですが、やる気がない部下にこれをやると、「ご褒美があったらやる、なかったらやらない」と、金銭的メリットでしか動かない部下を作ってしまいます。

「ご褒美がないと頑張れない」というのは、よくある誤解です。
「やる気がないなら給料を上げればいい」という人がいるのですが、給料とやる気は相関しないと言われています。
給料をもらうと、一瞬嬉しいのですが、すぐに慣れてしまって本質的なやる気にはつながらないからです。
内から湧き上がるやる気を引き出すには、外から与えられたご褒美では長続きしません。

→<次ページ:部下の「やる気」を上げようとすると、かえってやる気が出ない!「やる気のメカニズム」とやる気の引き出し方~やる気にアプローチせずやる気を引き出すシンプルな3ステップとは~>

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プロフィール

高野俊一
高野俊一

組織開発コンサルタント。
1978年生まれ。日本最大規模のコンサルティング会社にて組織開発に13年関わり、
300名を超えるコンサルタントの中で最優秀者に贈られる「コンサルタント・オブ・ザ・イヤー」を獲得。
これまでに年200回、トータル2000社を超える企業の組織開発研修の企画・講師を経験。
指導してきたビジネスリーダーは累計2万人を超える。
2012年、組織開発専門のコンサルティング会社「株式会社チームD」を設立、現代表。
部下に仕事を任せ、1人ひとりが目標に燃える「最強のチーム作り」技術に定評がある。
2019年より、アルファポリスサイト上にてビジネス連載「その仕事、誰かに任せなさい」をスタート。
累計100万PVを記録する反響を呼び、このほど改題を経て出版化。

著書

その仕事、部下に任せなさい。

その仕事、部下に任せなさい。

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