上司1年目は“仕組み”を使え!

「部下が辞めない新任上司」になる、たった1つの大切なこと

Getty Images

部下が辞めたがっている!
何でオレの部下はすぐ辞めるんだ?

あなたの部下は、仕事にやりがいを感じていますか?
それとも、今すぐにでも辞めたいと思っていそうですか?

もし、自分の部下が仕事を辞めたいと思っていたなら、ショックですよね。

部下を辞めさせる上司というのは、会社から評価されません。
「あの人はすぐ部下を辞めさせる」
そういう人には部下をつけてもらえなくなり、最悪の場合、降格もありえます。

部下をやる気にさせられない人、部下を育てられない人として、マネージャー失格の烙印を押されてしまうわけです。

はじめて部下をもった新任上司にとって、部下を辞めさせてしまうか、そうでないかは重要な問題です。

私は実際、多くのリーダーを見てきましたが、「部下を辞めさせる上司」と「辞めさせない上司」の違いは、明確に存在します。

それは、どこにあるのでしょうか。

この違いを理解するには、まず、部下がなぜ辞めるのか、このメカニズムを理解する必要があります。

行動心理学に基づけば、人が辞める理由は2つに分かれます。
①衛生要因(外的要因)
②動機付け要因(内的要因)

衛生要因とは、賃金が低い、職場環境が悪い、労働時間が悪いなど、仕事の中身ではなく、外から与えられる喜びのことで、外的要因とも言います。

部下を辞めさせる上司は、部下が辞める理由を「衛生要因」だと考えます。

実際、「給料が低いから」「職場が家から遠いから」「労働時間が長いから」と衛生要因を退職理由にあげる人が多いのですが、それは見せかけの理由です。

終身雇用の時代では、人は「辞める理由」がないと辞めませんでした。
しかし、今は「辞める理由」がなくても辞めてしまいます。
逆に、「続ける理由」がないから辞めてしまうのです。

続ける理由に当たるのが、「動機付け要因」です。

内から湧き上がる欲求である「動機付け要因」を引き出せていないから、部下が辞めてしまうわけです。

部下が仕事を辞めなくなる心理学!
「5つの動機付け要因」

では、具体的に「動機付け要因」とはどういうものなのでしょうか。
<5つの動機付け要因>
① 達成感……目標を達成した喜び
② 成長感……過去の自分から変化し、成長している喜び。
③ 有意味感……仕事に意味を感じる、充実感がある
④ 有効感……自分の力が組織に貢献している喜び、やりがい
⑤ 自己決定感……自分で決めたことだと感じている喜び、自発性
主なものはこの5つです。

同じ仕事や作業でも、動機付け要因を感じるときと、感じないときがあります。
例えば、パチンコは、多くの人がのめり込み、わざわざ朝早くから列に並んででもやりたいと、人が集まる人気の娯楽です。
普段、仕事では全くやる気のない人も、パチンコには通う……。その情熱を仕事に向けてくれたらいいのに、という人、周りにいませんか?
パチンコも、動機付け要因がなければ全く面白くないはずです。

「作業」だけを見れば、パチンコという作業は退屈です。
それでお金がもらえるかといえば、むしろ負けて、時給換算したらマイナスになったりするわけですから、衛生要因で見れば、最悪な作業ということになります。
ところが、パチンコには動機付け要因があります。
球が入ったという「達成感」、「7が揃った」という「有意味感」、自分の台の選びがうまくいったという「有効感」、負けていたとしても「あと1万円だけ」と自らお金を投入する「自己決定感」……。

動機付け要因がなければ「お金をもらってもやりたくない作業」が、動機付け要因によって「お金を払ってでもやりたい作業」に変貌するわけです。

あなたの部下は、パチンコにのめり込む人のように仕事に熱中できているでしょうか?

部下の仕事が、ただこなすだけの「作業」になっていたら、それは「苦痛で退屈でお金をもらわないとやってられない仕事」ということになります。

仕事が面白くないので、いつも辞める理由を探すことになります。

部下を辞めさせる上司は、部下が辞める理由を衛生要因(外的要因)だと考えがちですが、実は、動機付け要因(内的要因)を与えられていないのです。

では、どうすれば動機付け要因を与え、部下が辞めない上司になることができるのでしょうか?
能力が未熟な新任上司でも動機付けをすることができるのでしょうか?

実は、非常にうまく行く仕組みがあります。

それは、「感謝の仕組み」です。

→<次ページ:部下が「やる気」になり、辞めなくなる「感謝の仕組み」~感謝できない上司の特徴と具体的アプローチとは~>

ご感想はこちら

プロフィール

高野俊一
高野俊一

組織開発コンサルタント。
1978年生まれ。日本最大規模のコンサルティング会社にて組織開発に13年関わり、
300名を超えるコンサルタントの中で最優秀者に贈られる「コンサルタント・オブ・ザ・イヤー」を獲得。
これまでに年200回、トータル2000社を超える企業の組織開発研修の企画・講師を経験。
指導してきたビジネスリーダーは累計2万人を超える。
2012年、組織開発専門のコンサルティング会社「株式会社チームD」を設立、現代表。
部下に仕事を任せ、1人ひとりが目標に燃える「最強のチーム作り」技術に定評がある。
2019年より、アルファポリスサイト上にてビジネス連載「その仕事、誰かに任せなさい」をスタート。
累計100万PVを記録する反響を呼び、このほど改題を経て出版化。

著書

その仕事、部下に任せなさい。

その仕事、部下に任せなさい。

通算100万PVオーバーを記録した、アルファポリス・ビジネスのビジネスWeb連載の書籍化。「部下に仕事を任せられないリーダー」をテーマに、いかに...
出版をご希望の方へ

公式連載