上司1年目は“仕組み”を使え!

新任上司が目指すべき「育てない育て方」とは?

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「育てない方が育つ」って本当?
あなたの部下が育たない理由

はじめて部下をもった新任上司は、優秀な人ほど「部下を育てよう」と意欲に満ち溢れていることでしょう。
ところが、育てようとすればするほど、部下が育たなくなるとしたら、恐ろしいことだと思いませんか?

私は実際、多くのリーダーを見てきて、「育てない方が育つ」という驚愕の事実を目の当たりにしてきました。

私自身もそうです。
新卒でコンサルティング会社に入り、よい上司と素晴らしいクライアントに恵まれ、入社3年目の頃には「人気コンサルタント」と呼ばれるようになり、部下をもった私は、「育てよう」とやる気満々でした。

クライアントに「育成技術」を教えていたので、部下の育て方には自信がありました。
ところが、全然育たなかったのです。
育てようとすればするほど、「私は高野さんのようにはなれないです」と部下は自信を失くし、やる気も失い、進んで仕事に取り組もうとしなくなりました。

自分で考えようとせず、「どうしたらいいですか?」と聞いてくる「指示待ち人間」になり、指示を出しても指示どおりに仕事ができず、より細かく指示を出さなければいけなくなり、育成に時間と手間が取られていました。

私は、「なぜやる気を持って働いてくれないんだろう?」「どうして自分で考えて行動できないんだろう?」と疑問でした。

一方で、私より人財育成が苦手そうに見えた、ほとんど部下に指導していないように見える同僚の部下が、みるみる成長し、受注をバンバン取るコンサルタントに成長させていたのです。

私は当時、コンサルティング技術に関しては「誰よりも上手に教えられる」と思っていました。ところが、教えれば教えるほど、育たないのです。

そこで、その育成がうまくいっている同僚に、なぜ部下が育つのかを尋ねました。

その答えが私に衝撃を与え、その後の育成方法を一変させることになったのです。

「育てるんじゃなく、育つんだよ」

「育てる」と「育つ」の違い
なぜあなたの部下は育たないのか?

最近ではテレワークも一般化しており、手取り足取り仕事を教えることができない場面も増えています。
今や、背中を見せて育てる時代でもなくなっています。

そんな中、育てずに育つ育成が可能だとしたら、今の時代にマッチした育成ができるようになることでしょう。
ではこのリモート時代に、どうすれば部下を育てることができるのでしょうか?

上司にとって、部下を育てようとする姿勢は、もちろん素晴らしいことです。

しかし、育てようという想いの強い人は、以下のような育成スタイルになりがちです。
①部下の意見を聞く前に、細かく指示を出す
②指示通り動かないと叱る
③代わりに自分がやってしまう

部下を育てようとしても育てられない上司は、得てして仕事がデキる人です。

自分がデキるので、部下を育てようとしたときに、部下の意見を聞いたところで大した答えが出てこないので、「自分が指示を出すしかない」と考えます。
これが日常化すると、「部下の意見を聞く」ということをだんだんしなくなり、毎日毎日、部下に意見を聞いて考えさせることなく、指示出しをし続けるようになります。

せっかく「正しい指示」を出したのに、指示通りに動かないと、「なんで言われた通りにやらないんだろう?」と疑問を持ちます。
自分で答えを考えられないのに、与えられた指示もこなせない部下に苛立ちを覚えたりもします。

そして最後にはシビレを切らし、「自分がやるしかない」と部下の仕事を奪い、自分がやってしまうわけです。

部下の立場に立ってみると、たとえ細かい指示を上司から受けたとしても、自分で考えなければいけない部分は出てきます。
そこで自分で考えたやり方をやってみると、上司から怒られてしまう。
部下は、自分で考えて仕事をするよりも、上司に怒られないことをゴールにしてしまい、上司の指示を言われた通りにやることに集中し、自分で考えることを諦めてしまうのです。

上司は自分で考えようとしない部下に、「なんで自分で考えないんだろう?」と悩むようになります。
しかし、考えない部下にしているのは、実は上司自身なのです。

多くのリーダーが陥る、
育てようとすると育たない罠

皆さんも思い当たることはありませんか?

これは、私も含め、多くのリーダーがやってしまうプロセスです。

上司は、悪気は一切ありません。

仕事をうまく行かせたい、部下を育てたい、その想いをどう実現してよいかわからず、指示を出し、行動を後追いし、できていなかったら叱り、それでもできなければ自分がやってでもやり遂げる。

この「姿勢自体」は、素晴らしいものです。

ところが、これでは部下が育たない。

どうすればよいのでしょうか?

ここで重要なのが「育てない育て方」です。

→<次ページ:部下を「育てずに育つ」具体的な3つのアプローチ~「手段先行」を脱却し、「ゴール指示法」をマスターせよ!>

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プロフィール

高野俊一
高野俊一

組織開発コンサルタント。
1978年生まれ。日本最大規模のコンサルティング会社にて組織開発に13年関わり、
300名を超えるコンサルタントの中で最優秀者に贈られる「コンサルタント・オブ・ザ・イヤー」を獲得。
これまでに年200回、トータル2000社を超える企業の組織開発研修の企画・講師を経験。
指導してきたビジネスリーダーは累計2万人を超える。
2012年、組織開発専門のコンサルティング会社「株式会社チームD」を設立、現代表。
部下に仕事を任せ、1人ひとりが目標に燃える「最強のチーム作り」技術に定評がある。
2019年より、アルファポリスサイト上にてビジネス連載「その仕事、誰かに任せなさい」をスタート。
累計100万PVを記録する反響を呼び、このほど改題を経て出版化。

著書

その仕事、部下に任せなさい。

その仕事、部下に任せなさい。

通算100万PVオーバーを記録した、アルファポリス・ビジネスのビジネスWeb連載の書籍化。「部下に仕事を任せられないリーダー」をテーマに、いかに...
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