上司1年目は“仕組み”を使え!

「自ら考える部下」を育てる、新任上司の「質問力」

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なぜ「質問」できないのか
「質問力」を活かす「仕組み」

部下の主体性を引き出すには、上司の質問力が重要だとお伝えしましたが、それでもやっぱり質問できない人がいます。

私もそうでした。

質問が大事だとわかっても、「全く考えてくれない部下」を目の前にして、悠長に質問をする余裕などありませんでした。

そもそもやる気も意欲も覇気もない部下に対して、質問をぶつけたところで「わかりません」とそっけなく返されたり、「質問はいいから教えてください」と言い返してくることもあるでしょう。

上司の質問力を高め、部下の主体性を引き出すには、質問をする「仕組み」が必要です。

質問をせざるを得ない「場」を設定し、そこで「質問」について「考え」ざるを得ない状況を作ってしまえばいいのです。

質問の目的を成り立たせるための仕組みとして、以下の2つのシーンで考えてみましょう。
① 「会議・ミーティング」での質問
② 1on1面談での質問

① 「会議・ミーティング」での質問
皆さんの会議・ミーティングは、参加者がイキイキと発言し、積極的に参加する場になっているでしょうか? もしくは、みんな無関心で、場合によっては会議とは関係ない仕事を処理する場になってしまっていないでしょうか。
もしも、参加者の多くが「この会議、意味ないな」「早く終わらないかな」と感じるような状態なら、「質問」を見直すべきです。

会議は、「質問設計」が命です。
会議を開こうと思うと、何を伝えようか(伝達)、何をやらせようか(指示)ばかりに意識がいって、「質問」を設計していないことが多いのです。
多くの会議が、上司からの「伝達」と「指示」出し、部下からの「言い訳」の場になり、実行したかどうかの「確認」も不十分で、会議を実施する意味を著しく低下させてしまっています。

これらも全て、上司の「質問力」によって変えることができます。
会議とは、その議題について、参加者1人ひとりが主体的に考え、これからどうしていくかを提案する場であるべきです。
そのためには、以下のような質問が有効です。

・先月の業績がいくらだかわかる?
・どうしたら達成できたと思う?
・来月はどうしたら達成できると思う?
・具体的には何をすべきかな?
・その取り組みが徹底できたらどうなると思う?

こういった質問を毎回投げかけられると、部下は自分で考えるようになります。

② 1on1面談での質問
1on1面談でも、「質問」を設計している新任上司は稀でしょう。
多くの場合、何を話そうか(伝達)に意識がいっており、用意している質問は「最近どう?」くらいしかない、というケースがほとんどです。

1on1も「質問設計」が命です。
例えば、以下のような質問を用意しておきます。
・今の業績状況はどう?
・目標と現状とのギャップはどのくらい開いている?
・どうやって目標達成に近づこうと考えている?
・何かサポートできることはないかな?
・誰かに相談した方がいいことはない?
・今仕事は楽しめている?
・もっと仕事を楽しむためには何をすればいいと思う?

など、1on1面談の少し前に「質問設計」をしておいて、面談の前に部下に質問項目を渡しておくとよいでしょう。

「質問」の目的を捉え直そう
「知っていることを質問する」衝撃

上司が「質問」をうまく使えない理由は、上司も部下も、「質問」の目的をはき違えていることです。

通常、質問は「知らないこと」のためにします。
知らないことを知るために質問をするのが、一般的な質問の仕方です。

ところが、部下を持ったら、まず上司は「知っていること」を質問しなければいけません。
・コピーのとり方を教えたかったら、「どうやってコピーを取るの?」
・仕事の仕方を確認したかったら、「どうやって進める予定?」
・来月の目標を考えさせたかったら、「来月の目標はどうやって達成する?」

上司は、質問をしなくとも、部下よりも正しい「正解」がわかることでしょう。
正解がわかるからといって、それを「指示出し」してしまうと、水の泡です。

質問形式で部下に接しないことで、部下の成長の機会を奪っているのです。

あえて、「知っていること」を質問する。
「伝達」の前に質問を入れて関心を高める。
「指示」を質問に変えて考えさせる。
「確認」を質問に変えて復唱させる。

上司になったら、「伝達」するとき、「指示」を出すとき、「確認」をするとき、注意してください。

あなたは、部下への指示を「質問」に変換できていますか?
多くの新任上司が、この「質問設計」=「質問変換」ができていないのです。

これだけで、部下は見違えるほど考えて動いてくれるようになります。

「質問」への固定観念を覆せるかどうか。
今まで「知っていることを質問」したことがない人は、その違和感と効果に衝撃を受けると思います。ぜひ踏み出してみてください。
ここに「主体的」な部下を育てるカギがあります。

次回に続く

 

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プロフィール

高野俊一
高野俊一

組織開発コンサルタント。
1978年生まれ。日本最大規模のコンサルティング会社にて組織開発に13年関わり、
300名を超えるコンサルタントの中で最優秀者に贈られる「コンサルタント・オブ・ザ・イヤー」を獲得。
これまでに年200回、トータル2000社を超える企業の組織開発研修の企画・講師を経験。
指導してきたビジネスリーダーは累計2万人を超える。
2012年、組織開発専門のコンサルティング会社「株式会社チームD」を設立、現代表。
部下に仕事を任せ、1人ひとりが目標に燃える「最強のチーム作り」技術に定評がある。
2019年より、アルファポリスサイト上にてビジネス連載「その仕事、誰かに任せなさい」をスタート。
累計100万PVを記録する反響を呼び、このほど改題を経て出版化。

著書

その仕事、部下に任せなさい。

その仕事、部下に任せなさい。

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