上司1年目は“仕組み”を使え!

チームに重要な「ビジョン」を語れる新任リーダーになる方法

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MUST・CAN・WANTで
ビジョンを描く

では、具体的にビジョンの描き方をお伝えしましょう。

ビジョンは描く「順番」が重要です。
順番を間違えると、うまく描くことができません。

では、どういう順番かというと、MUST・CAN・WANTの順番で考えます。

①MUST:やるべき将来像
②CAN:できる将来像
③WANT:やりたい将来像

「ビジョンを描く」となると、「WANT:やりたい将来像」から考えてしまいがちです。
皆さんもビジョンを考えようとすると、「どんな未来にしたいか=WANT」から考えてしまうのではないでしょうか。

そうすると、やりたいことなんてない……、となって未来が描けなくなりますし、何も材料がない状態でWANTを見つけるのは、実は非常に描きにくいアプローチなのです。

ビジョンは、MUSTでもあり、CANでもあり、WANTでもある状態が重要です。

やるべきだし、やれるし、やりたい。
将来像がこの3つを満たした状態で描けたら、かなり魅力的なビジョンになります。

繰り返しますが、このとき描くべき順番は、①MUST→②CAN→③WANTの順番です。

①MUST:やるべき将来像
まず、MUSTのビジョンを考えてみましょう。
MUSTとは、「やるべき将来像」ですから、会社から期待されていること、顧客から期待されていることがMUSTになります。
つまり、MUSTのビジョンは「自分で考えなくてよい」のです。

このMUSTに大きなヒントがあります。

自分がやりたいかどうかは一旦脇に置いておいて、自分たちが何を期待されているのか、何を求められているかを知ることで、ビジョンの材料が集まります。

自分たちへの要求を知ることで、自分たちのやるべきことが見えてくるわけです。

非常にカンタンなことなのですが、意外と自分たちのMUSTを把握していないことが多いのです。

まず、会社から求められていることは、直属の上司に確認しましょう。
「私たちのチームに求めていることは何ですか?」
「いつまでにどんな状態になってほしいと思っていますか?」
と、こちらも具体的に、ストレートにヒアリングしてみてください。

直属の上司の回答で納得がいかなかった場合は、さらにその上の上司に聞いてみてもいいでしょう。

上司にMUSTをヒアリングするのは、思わぬ副産物があります。
皆さんも想像してほしいのですが、もし皆さんの部下が「自分に何を期待していますか?」と質問してきたら、どう感じますか?
上司の期待を知りたい部下というのは、上司からみると、かわいいものです。

成長意欲も感じますし、自分との期待をすり合わせようとする姿勢に嬉しくなるのではないでしょうか。
まさに同じ感情が、あなたの上司にも生まれるということです。

自分のビジョンを明確にするプロセスで、上司にも可愛がられる状態を手に入れられるわけです。

MUSTを考えるうえでは、顧客にヒアリングすることも有効です。
一番のお得意様に、「私たちにどんなことを期待していますか?」「私たちがどんなふうになったら嬉しいですか?」と未来をヒアリングしてみてください。

自分たちで描かなくても他者から教えてもらえる。
MUSTを掘り下げることで、自分たちの進むべき未来のヒントがたくさん得られるはずです。

②CAN:できる将来像
次に考えるのは、「CAN:できる将来像」です。

自分たちの「強み」に着目する必要があります。
自分たちにはどんな可能性があるのでしょうか?
どんな未来があり得るのでしょうか?

やりたいかどうかは、ここでも一旦置いておいて、できる未来が何かを考えていきます。
これは、部下と一緒に考えたり、上司と一緒に考えるといいでしょう。
このとき重要なのが、WANTかどうかを「考えない」ことです。

「こんな未来もありえるよね」
「こんな可能性があるんじゃないか」

そうやって議論していると、ついつい、それはやりたくないな、とCANの話をしているのにWANTの話にすり替わってしまうことが多いのです。

そうやっていろいろな可能性を、取り掛かる前から潰してしまいがちです。

WANTかどうかを考えるのは後です。

自分たちがどんなことができうるのか、CANという選択肢を洗い出すようにしましょう。

③WANT:やりたい将来像
ここまでくれば、WANTを見つけるのはカンタンです。
本当のWANTはMUSTとCANの中にあります。

MUSTでもCANでもないものに、強いWANTはなかなか湧いてきません。

せいぜい、もっと楽しみたいとか、休みを増やしたいとか、小さいWANTしか出てこないのです。

強いWANTを見つけたければ、まずMUSTとCANを明確にします。
ここに魅力的なビジョンを描く近道があるのです。

ビジョンは「ビジョンを描くプロセス」が
もっとも重要になる

実は、ビジョンは、「ビジョンを描くプロセス」がもっとも重要です。
ビジョンを語れているかどうかを確認したり、MUSTとCANを明確にするプロセスの中で、部下や上司と「ああでもない、こうでもない」と未来について語り合うこと自体が、ビジョンを語ることに他なりません。

ビジョンとは、上司が正解を告げることではありません。

自分たちの未来のMUST・CAN・WANTを語り合い、ピンボケしていた将来像のピントが徐々に合ってくるプロセスそのものです。

難しく考えすぎず、会話の未来比率を上げ、ビジョンを語るリーダーになりましょう。

次回へ続く

 

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プロフィール

高野俊一
高野俊一

組織開発コンサルタント。
1978年生まれ。日本最大規模のコンサルティング会社にて組織開発に13年関わり、
300名を超えるコンサルタントの中で最優秀者に贈られる「コンサルタント・オブ・ザ・イヤー」を獲得。
これまでに年200回、トータル2000社を超える企業の組織開発研修の企画・講師を経験。
指導してきたビジネスリーダーは累計2万人を超える。
2012年、組織開発専門のコンサルティング会社「株式会社チームD」を設立、現代表。
部下に仕事を任せ、1人ひとりが目標に燃える「最強のチーム作り」技術に定評がある。
2019年より、アルファポリスサイト上にてビジネス連載「その仕事、誰かに任せなさい」をスタート。
累計100万PVを記録する反響を呼び、このほど改題を経て出版化。

著書

その仕事、部下に任せなさい。

その仕事、部下に任せなさい。

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