上司1年目は“仕組み”を使え!

上司1年目の「自己肯定感」の高め方

2021.09.16 公式 上司1年目は“仕組み”を使え! 第10回
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自信、ありますか?
部下に自信を持たせられていますか?

自信、ありますか?
上司になりたての人は、これから上司としてやっていけるのか、自信満々な人もいれば「自分にはムリかも……」と、不安でいっぱいな人もいると思います。

「自信」は、皆さんがこれからリーダーとしてうまくいくかどうかを左右する、非常に重要なテーマです。
皆さんの自信、皆さんの部下の自信、両方ともに極めて重要です。

こんなことは思い当たりませんか?
部下に仕事を任せようとしたら、「私にはムリです」と拒否された。
部下に仕事のミスを注意したら、言い訳をしたり、他人のせいにして逃げようとする。
部下に「できそう?」と言うと、「やれます」と自信満々で言うが、全然できない。

部下に自信を持たせられないと、仕事をやりたがらなかったり、弱みに向き合えなかったり、逆に自信過剰で自分の実力を見誤って大きな失敗を繰り返したりします。
これらは、「自信」の持ち方に問題があるのです。

自信は、「ありすぎ」ても「なさすぎ」ても問題を起こします。

リーダーの皆さん自身についてもそうです。

リーダーとしてビジョンを示しても、自信なさげでは部下はついていきたいと思えないでしょう。
部下育成に自信がなければ、部下の成長のために仕事を任せる決断ができなかったりします。
部下に対して、「あなたならできる」と言ってあげられなくなります。

自分は部下の成長に貢献できているんだろうか?
自分は上司でいる資格があるんだろうか?

不安が積み重なると、こうしてメンタルがやられてしまうリーダーは少なくありません。

部下にはどう自信を持たせたらいいのでしょうか?
リーダーは、どう自信を持ったらいいのでしょうか?

今回は、上司一年目の自信の持ち方、持たせ方を解説します。

本物の自信、ニセモノの自信

まず、「自信」とは何かを定義したいと思います。

本物の自信とニセモノの自信があります。

それを理解するために、過去、現在、未来の時系列で分けて考えます。

過去と現在への自信は、極端に言えば、必要ありません。

過去の実績が素晴らしかったかどうか、今実力があるかどうか、ここにこだわるとドツボにハマります。
自信がない人も、ありすぎる人も、実はこの点でズレてしまっています。

過去の実績に自信を持とうとすると、誰と比較するかで左右されてしまいます。
県大会2位の人は、3位以下の人よりは優れていますし、1位と比較すれば劣ります。
1位を取ったとしても全国大会や世界大会に行けば、全然歯が立たない、ということになってしまうわけです。

過去の実績は、自信を持つのではなく、事実として受け止めることが重要です。

県大会2位であれば、3位以下の選手やチームも素晴らしかったし、1位以上も素晴らしかった。
その優秀なライバルの中で、2位という実績を残したのは、誇らしい。
ライバルたちよりここは優れているし、ここは劣っている。

こうして、過去に自信を持つのではなく、事実として受け止めます。

逆に、自信は、「未来」に持つべきです。

自分は素晴らしいリーダーに、必ずなれる。
自分は目覚ましい成果をあげられる。
自分は社会に役立つ人物になる。
自分は部下を著しく成長させることができる。

未来の自分には、絶対の自信をもつことが、あるべき自信の持ち方です。

「現在」についても、今の自分が通用するのか、今の自分がデキる人なのかどうか、そこに「自信」を持とうとする必要はありません。

多くのビジネスマンが、「今の自分」を大きく見せようとします。
10段ある階段の3段目にいるときに、周りの人から2段目にいると見られると、「オレはそんなにできない奴じゃない」と怒りが湧いたり、4段目にいるように見せたりします。
上司に「君仕事できないね」なんて言われようものなら、「上司が評価してくれない」とひどく落ち込んだり、評価してくれない上司に怒りが湧いたりします。

現在の周囲の評価が、自分が思っているより高かろうが、低かろうが、それを事実として捉える方が前に進むエネルギーが湧きます。

現在の自分は、出来ないし評価されていない。それが事実。
だけれど、未来の自分を見ていてくださいね、としたたかに切り替えます。
現在の自分には謙虚に事実を受け止め、未来の自分には尊大に自信を持つ。

この状態を、私は「自己肯定感」と呼んでいます。
自己肯定感は流行りの言葉ですが、過去と現在の自分は事実として捉え、肯定でも否定でもなくあるがまま受け入れる。
そのうえで、未来に対して絶対の肯定感を持っている状態が、本来のあるべき自信であり、自己肯定感と呼ぶべきものだと考えています。

過去や現在に自信を持っているのは、「ニセモノの自信」です。

「自信がありすぎる」といわれる人は、過去や現在に自信を持ちすぎているのです。
過去の実績を自慢されても周囲は評価してくれません。
上には上がいますから、過去の実績に謙虚ではない姿に、「もっと上がいるでしょ」と突っ込みたくなります。
現在の自分に自信を持ちすぎる人は、自分の弱みに目を向けず、仕事の抜けが出たり、ただ単に基準を下げて自己満足しているように見えます。

過去や現在に自信を持とうとする人は、あるがままの事実を受け入れられていないということでいうと、実は本当の意味で自分を肯定できていないのです。
その結果、「自信過剰」とか、「現実に目を向けない」とみられてしまうわけです。

過去や現在への自信には、今の自分の弱みやリスクを向き合おうとしない「逃げ」の気持ちが隠れています。

「過去と現在は謙虚に事実を受け止め、未来には絶対の自信を持っている状態」

「絶対にやれる、やりきれる!」と信じていながら、現在の弱みやリスクにも向き合い、どうしたら達成できるかを慎重に考える。

そんな人、素晴らしいと思いませんか?

→<次ページ:新米リーダーでもできる自己肯定感の高め方~自己肯定感を高める具体的な方法~>

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プロフィール

高野俊一
高野俊一

組織開発コンサルタント。
1978年生まれ。日本最大規模のコンサルティング会社にて組織開発に13年関わり、
300名を超えるコンサルタントの中で最優秀者に贈られる「コンサルタント・オブ・ザ・イヤー」を獲得。
これまでに年200回、トータル2000社を超える企業の組織開発研修の企画・講師を経験。
指導してきたビジネスリーダーは累計2万人を超える。
2012年、組織開発専門のコンサルティング会社「株式会社チームD」を設立、現代表。
部下に仕事を任せ、1人ひとりが目標に燃える「最強のチーム作り」技術に定評がある。
2019年より、アルファポリスサイト上にてビジネス連載「その仕事、誰かに任せなさい」をスタート。
累計100万PVを記録する反響を呼び、このほど改題を経て出版化。

著書

その仕事、部下に任せなさい。

その仕事、部下に任せなさい。

通算100万PVオーバーを記録した、アルファポリス・ビジネスのビジネスWeb連載の書籍化。「部下に仕事を任せられないリーダー」をテーマに、いかに...
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