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マイナンバーの攻勢

2年前に、マイナンバーが導入されたことを、覚えておられますか。

鳴り物入りで導入され、その時には大騒ぎになりましたが、いつのまにか忘れ去られたようになっていませんか。しかし、マイナンバーは、導入の目的通りに着実に定着を続けています。そして、今年からは、その活用の範囲を大きく広げ、お金の存在を具体的に紐付けしようとしているのです。

マイナンバーが導入されるとき、我々は大慌てをしました。事業や人生を守るために保全した様々な資産が、債権者に全て把握されてしまうのではという危険があったからです。

しかし、マイナンバー制度が明確になるにつれ、胸を撫で下ろすことになります。制度の開始において適用されるのが、『社会保障』『税制』『災害対策』の3分野に限定されることが明らかになったからです。しかも、その情報を活用できるのは、行政サイドが前記目的のために活用できるだけであり、民間の商取引や金融取引の債権者などが活用することは出来ません。プライバシーの保護に、大きな疑問符のある制度ですから、当然の制約だといえるでしょう。

マイナンバーと、預金口座などそれぞれの資産の紐づけについても、制度開始時点においては具体的な強制はなく、把握の範囲は限定されたものでした。当初、資産を保全する効果が喪失するのではと恐れていましたが、制度の導入開始にあたり、そのような心配はなかったのです。

マイナンバー導入以降、2年が経過しましたが、大きな混乱もなく、想定に沿った動きで心配したような結果は表れていません。想定外の動きとして、しいて挙げるなら、金融機関が預金口座を開設するときに、マイナバーの提示を求めたことです。制度開始段階において、マイナンバーと預金口座の紐付けは何ら規定されていなかったのに、多くの金融機関が前向きに取り組む姿勢を見せたのです。複数の金融機関などは、新規に預金口座を開設されるお客様に、当然の如くマイナンバーの提示を要求しましたから驚きます。知らない人は、それがルールだと理解して、マイナンバーを提示しないと口座は開設できないと思い込む様な説明でした。

実は、これは金融機関としての予行演習であり、今年から現実となるのです。新聞などメディアが、ほとんど報道をしていないのが不思議なのですが、平成30年1月より、ルールとして、預金口座を新規開設するときに、金融機関はお客様にマイナンバーの提示を求めるようになりました。新規の預金口座を開設しようとすれば、当然の如くマイナンバーを確認されて紐付けされるようになるのです。

マイナンバーを導入した建前は、『社会保障』『税制』『災害対策』への対応ということになりますが、本来の意義は、正確な所得を把握して公正な納税に結び付けることでしょうから、これで具体的な導入効果を目指せることになるのだと思います。

ただ、注意していただきたいのは、未だ、義務ではなくて任意であるということです。金融機関は、新規口座開設の条件としてマイナンバーの提示を求めてきますが、現段階においては義務ではなくて任意ですから、断ることが出来るのです。もともと、マイナンバー制度にはプライバシーの問題が指摘されていましたから、この点には十分な配慮がなされており、まずは制度を確立し、次に任意での導入を図り、次に義務化を図るという流れが用意されています。したがって、今回は任意だから断れるのですが、次には義務化して断れなく煮る可能性があるということなのです。

マイナンバーは、徐々に適用範囲を広げ、本来の目的を確保しようとしています。預金口座以外にも、生命保険なども、今年からは全ての支払調書にマイナンバーを記載するようになりました。また、契約者変更した場合も、今年からはマイナンバーで紐づけされ、税務署に把握をされるということになります。 所得や資産の把握は、確実にマイナンバー制度導入の青写真通りに進んでいるといえるでしょう。

この現実は、もはや容認するしかなく、今後は、いかに上手く付き合うかということだと思います。

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プロフィール

菊岡 正博 (トップ経営研究所)
菊岡 正博 (トップ経営研究所)

小零細企業に特化した、会社再生・経営危機コンサルタントです。
経営者自らが取組める、倒産を回避し、経営危機を打開する方法を、全般に亘ってアドバイスさせていただきます。

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