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株価暴落は、景気変調の前触れか

未曽有の大不況といわれた平成20年のリーマンショックも、アメリカ発の不況でした。あれから10年、やはり世界経済の中心は変わらず、今回も金利上昇をキーワードに、アメリカ発で景気が大きく動こうとしているのかもしれません。

景気は10年サイクルで繰り返されるという、フランスの経済学者ジュグラーの説からいえば、タイミングは正しく合致します。この株価暴落は、景気変調の前触れなのでしょうか。

今では歴史となってしまったバブル経済を思い起こせば、景気の転換について面白いことを気づかされます。

戦後の高度成長経済において、日本の経済は右肩上がりで成長するものだと思われていました。国土の狭い日本において、土地などの不動産は資産としての価値が高く、国民は不動産を所有することで好景気を具体的に享受することができたのでしょう。

そんな右肩上がりの安定的な日本経済を決定的に押し上げたのが、公定歩合の引き下げです。昭和62年、公定歩合が対前年比で50%となる2.5%まで引き下げられ、利息の下がった資金が市場に溢れるようになりました。そして、その資金は必然的に不動産や株式市場に流れ、バブル経済を形成することになったのです。

当時は誰もがこのバブル経済が崩壊するとは考えていなかったでしょう。景気が下がると考えていた専門はいたでしょうが、根本から崩壊し、右肩下がり経済に転換させるなどとは考えていなかったと思います。ところが、政府がバブル崩壊の引き金を引いたのです。

平成2年3月に不動産融資総量規制を実施し、銀行から不動産を購入するための資金を借りるのが難しくなりました。また、公定歩合も、2.5%から6%に引き上げられたことから、資金自体が借りづらくなってしまったのです。これで、バブル崩壊です。実体経済からかけ離れた高値で取引されていた不動産市場や株式市場は、政府の想像をはるかに超える規模で一気に崩壊を始め、収拾がつかなくなってしまいました。

今だから冷静に振り返り、平成2年3月がバブル経済の転換期だといえますが、当時は誰も判っていなかったように思います。一時的な景気のはざまだと捉えている専門家が多く、『この秋には、底を打つだろう・・・』や『来春には回復するだろう・・・』などと、甘い論評がされていました。平成2年の当時は、まだ暴落ではなく、上げ止まりをして停滞をしている状況でしたので、『調整局面であり、過剰に反応する必要はないだろう・・・』と著名な経済学者が説明されていたのを覚えています。

しかし、バブル崩壊は始まったばかりだったのでした。これから、失われた10年に向かうプロローグ段階だったのです。

現在のこの経済の局面を、どの様に捉えるのかは様々だと思います。大企業は空前の業績を創出し、失業率も大幅に改善して労働力不足であり、好景気であることは間違いないでしょう。政策的にターゲットとされた大企業は、栄華を思うがままに堪能しているようですが、小さな事業者や一般消費者はその様な訳にはいきません。実態とかけ離れた景気だと感じている国民がほとんどであり、低迷する消費動向がそれを証明しています。

バブル崩壊を経験した消費者は、将来に不安を抱き、無駄な消費を謹んで、引き際のタイミングを間違えないようにしているのだと思います。その結果、昨年の11月頃から、不動産市況の変化が具体化したと聞くことが多くなりました。都心の好立地を除き、不動産市場は天を打って調整局面に入ったというのです。

一部には、損をしないように売り逃げが見られるようになったとも聞きます。そしてこの株価の暴落です。上場企業の好業績を考えれば、この暴落は過剰反応だという専門家もおられます。しかし、今までの異常に高い株価を考えれば、企業の好業績を過剰に評価した、実体のない反応だったという方が正しいのかもしれません。

メディアでは、過剰反応や調整局面などといったキーワードが踊ります。バブル崩壊でもみられたキーワードですが、今回はどちらを向くのでしょうか。

政策的には当時とは真逆の方向を向いていますから、バブル崩壊のような状況に陥るとは思えません。一時的な停滞になるのかもしれませんが、アベノミクスの終焉は、ひょっとするとあるのかもしれません。

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プロフィール

菊岡 正博 (トップ経営研究所)
菊岡 正博 (トップ経営研究所)

小零細企業に特化した、会社再生・経営危機コンサルタントです。
経営者自らが取組める、倒産を回避し、経営危機を打開する方法を、全般に亘ってアドバイスさせていただきます。

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