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仮想通貨の新ステージ

2018.02.27 ピックアップ 外から見る日本、見られる日本人

仮想通貨の議論をみていると様々な長所短所が見えてきます。その中で現在市場で取引されているビットコインなどが第一期とすればそろそろ次のステージにバトンタッチする頃かな、と思っていたところ、面白いものが出てきました。ベネズエラ発の「ペトロ」です。

ベネズエラといえば南米の石油の国、実質国家破たんしている国、アメリカなどから制裁を受けている国といったろくでもないイメージが付きまといます。昔はもう少しまともだったのですが、大統領が二代続けて酷く、国家をぶち壊してしまいました。世界でも最悪国家の一つであります。

ちなみに同国のインフレ率だけ見ると2015年が112%、16年が254%だったのですが、17年には2616%であります。数字だけ並べられてもピンとこないでしょうが、1年で物価が27倍になる世界は世の中から定価が消えることを意味します。私もかつてハイパーインフレ時代のブラジルを訪れたことがありますが、価格は一日に何度も作り変えられ、レストランでは昼と夜で価格が変わります。

そんなベネズエラ政府が苦肉の策として打ち出した仮想通貨「ペトロ」は同国で産出される石油を裏付けとし、ドル、ユーロ、ビットコイン、イーサのみで購入できるそうですが、裏付けとは何でしょうか?よくわかりません。ベネズエラ政府が期待する発行額60億ドルが生み出せるか疑問符が付きますが発想としては明らかに次のステージ入りをしています。

価値の裏付けという点では先日、米ドルにリンクされているとする仮想通貨「テザー」の管理者が米当局の呼び出しを受けたことで話題になりました。「本当に仮想通貨の発行額相当の米ドルを資産の裏付けとして所有しているのか」を確認するためです。テザーは中国人が国内資金の海外持ち出しルートとして活用していたため、注目をされていました。調査ではどうもプエルトリコに何か裏付け資産があるらしいという話は聞こえてきますが、多分、政治的圧力で潰される気がします。中国政府が放置するとは思えません。

流出したNEMも結局いまだ、決定打はありません。本来、ブロックチェーンは流通の足跡が残る=取引の全容がわかるはずでした。しかし、そこがクリアできなかった痛手は現在流通している仮想通貨の安全レベルが稚拙であることを裏付けてしまったと言えるのかもしれません。

話を元に戻しますが、ベネズエラ政府が仮想通貨を発行することはある意味、新時代を迎えたかもしれません。ロシア政府は仮想通貨「クリプトルーブル」の発行手続きを進めていますが、現在、「障害」にぶつかっているようでしばらく保留される可能性が高い模様です。クリアできない不正使用などへの対応が思ったより複雑なのだろうと思います。ただ、今後、政府発行の仮想通貨は様々な国が追随する可能性はあります。私が思う仮想通貨の第2ステージとはまさに「聞いたことがない国家や街や地方政府があたかも地方国債の如く発行する通貨」であります。

例えばスペインのカタルーニャ地方が万が一、独立宣言をした場合、同地方が仮想通貨を街の資産を担保に発行することは論理的には可能で、それは一種の起債であって、広く一般人を巻き込みながら普及させるということと同じになります。これを逆手に捉えれば国家の秩序をいくらでも乱す手段がそこに生まれつつあるということでもあります。

仮想通貨の発行者は一定の担保なり裏付け資産をもつことが今後の仮想通貨発行の最低限の前提になるかもしれません。今、日本のメガバンクが発行準備をしている仮想通貨も1コイン=1円の交換という担保がついています。つまり、これが本来あるべき仮想通貨の姿への移行期ともいえるでしょう。

さて、ここで大きな疑問符が付きます。担保価値なり裏付け価値があるとすれば仮想通貨という相場が成立するのか、であります。私の頭ではどうしてもここは解明できません。テザーは中国人が国内資金を海外に持ち出すための手段だという特殊事情がありました。つまり、テザーに一旦変えることが主目的であり、テザーそのものの利用を考えているわけでもテザーの値上がりというわけでもなく、あくまでも媒介であったような気がします。

ベネズエラのペトロは国債と何ら変わらず、持つことによる割引率が何%か、という話になりはしないでしょうか?つまり、基準価格の1ペトロ=1バレルの原油価格を越える積極的理由があるのか、であります。専門的には原油価格の先物に対するレバレッジ効果という側面でペトロが大きく上昇するシナリオは考えられますが、余りにもマニアックで一般受けしません。

こう見てくると仮想通貨は今後、時間と共に新しい通貨が品を変え、形を変えて出てくるとみています。但し、ビットコインにみられるようなボラティリティはなく、時間と共に落ち着きのある相場付きになるような気がします。

ビットコインは数年もたてば「お前、まだ、ウィンドウズ95、使ってんの?」というレベルと同じ話になるのではないでしょうか?

では今日はこのぐらいで。

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プロフィール

岡本裕明
岡本裕明

バンクーバーと東京で不動産事業を展開しています。カナダ在住25年、外から見る日本や世界の様子をブログを通じて8年間毎日欠かさず発信。ユニークな視点で経済、政治、社会、日本人論を攻めます。

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