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アメリカ巨大IT企業は何処に行く?

2018.04.06 ピックアップ 外から見る日本、見られる日本人

最近メディアを賑わしているのはアメリカIT巨大企業同志の別次元のバトル。それはフェイスブックの個人情報が米大統領選に流用された可能性に端を発し、トランプ大統領もアマゾンを個別にののしり始めたことにあります。特にフェイスブックの問題については巨大IT企業間でも亀裂を起こしています。例えばアップルのティムクックCEOがフェイスブックのビジネス構造そのものを批判する発言したことに対してザッカーバーグ氏が反論。また、テスラのイーロンマスク氏が「フェイスブック何それ?」と発言してその5分後にテスラ社とスペースX社からフェイスブックのリンクが消えました。

アメリカの巨大IT企業の略称はかつてFANGでした。フェイスブック、アマゾン、ネットフレックス、グーグルであります。が、今、巨大と言われるIT企業はこんなものではなく、最近ではCAAFANNG(コムキャスト、アマゾン、アバコ(ブロードコム)、フェイスブック、アップル、ネットフレックス、エヌビィディア、グーグルであります。個人的にはCAAの後にテスラを入れてCAATFANNGにしたいと思います。これでもマイクロソフトが落ちている言われそうですが。

これらの会社が何処に向かうか、トランプ大統領がどれだけ吠えようとも欧州委員会がどれだけ課税対象の方法を変えたとしてもその成長は止まらないのかもしれません。

例えばこっぴどく言われているテスラですが、私は以前、今は酷いけれどあの生産ラインが出来たら驚異的なものになる書かせていただきました。自動化された生産ラインから本当に週5000台もクルマが生産されたとすればそれは他の自動車会社にとって脅威以外のものではないでしょう。事実、その道のりに徐々に向かっているようで1-3月の製造台数は10-12月期の4割増で直近の1週間では2020台生産しています。テスラはもうもたないというのは過去のものとなりつつあります。

アメリカ企業は失敗を糧にして巨大化します。投資家はエンジェルと言われるのは天使のように優しく、大きな懐を持っているということかと思います。日本では株価が不祥事で下がると集団訴訟が起きたりしますが、エンジェル投資家は10本投資のうち、1本が大当たりで2-3本まずまずの成績があれば元が取れるという考えです。つまり、失敗しないことには価値を置いていないのであります。

日本で大ヒットしている米倉涼子演じるドクターXの大門未知子の決め台詞は「私、失敗しないので」でありますが、ザッカーバーグもイーロンマスクもティムクックも失敗だらけであります。「失敗しない」という完全主義となるといざ失敗した時の立て直しが極めて困難なります。理由は「自己否定された感じになる」からであります。日本企業にはこの傾向が強く、それが謝罪文化につながります。失敗しないはずだという過信が引き起こす失敗はとてつもなく大きな代償を払うことになりかねません。

自動運転のクルマについてもアメリカでの実験は比較的開放的であります。先日は確かに死亡事故を起こしていますが、一部報道によると「あれは人間が運転しても避けられない直前の飛び出しだった」とされます。これだけの情報で判断することは危険ですが、人間が運転して日々刻々事故を起こしていることは大して報じられないのに自動運転だと非難ごうごうとというのもバランスを欠いた報道でしょう。

フェイスブックが引き起こした問題とはフェイスブックがどうやって稼ぐのか、という基本的問題に立ち返ります。アップルのティムクック氏はそこを指摘し、自分たちはスマホというハードを売っているとビジネスモデルの正当性を指摘しています。この禅問答のようなバトルこそIT企業をより強くしなやかなものに変えていくと私は考えています。

言い換えれば誰もやったことがないビジネスを開拓するにはあらゆる批判、問題、困難、事故と背中合わせでありますが、それを乗り越えた時の果実は創業者のみならず、世界中の人々のライフを変えます。それこそ50年後には交通事故がなくある社会が到来するならば「あの時は大変だったがやってよかった」と称賛されるのでしょう。

アマゾンが矢面に立っていますが、それは当たり前になったネットビジネスがいまだ法規制、税規制の隙間にあるからです。言い換えれば技術の進化が人間が作るルール設定よりはるかに早いとも言えるのでしょう。

我々は遠いアメリカの話、と思ってはいけません。日本でなぜ、このような巨大企業が生まれなくなったのか、世界企業の時価総額ではトヨタは30番台です。日本企業がもっと大きな夢を売らねばならないことに我々は気がついているのでしょうか?

では今日はこのぐらいで。

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プロフィール

岡本裕明
岡本裕明

バンクーバーと東京で不動産事業を展開しています。カナダ在住25年、外から見る日本や世界の様子をブログを通じて8年間毎日欠かさず発信。ユニークな視点で経済、政治、社会、日本人論を攻めます。

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