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かぼちゃの馬車問題で考える「詐欺」

2018.04.19 ピックアップ 外から見る日本、見られる日本人

シェアハウス「かぼちゃの馬車」では所有者に自殺者が出たとの報道を受け私のところにも「大丈夫か?」と連絡を頂きました。かぼちゃの悪事からシェアハウス事業全般が悪いと心配されたのでしょう。その運営会社のスマートデイズは民事再生が認められず破たんとなりました。

本年度の大きな話題となりそうな勢いのこの問題、スマートデイズ、サブリース、スルガ銀行のキーワードの中で700名にも上る投資家は「被害者ではないか?」という意見も数多く出ています。つまり騙されたというわけです。

子細に見ていけば今後、金融庁の調査結果も出てくるのでもう少し明白になると思いますが、私の経験から推測するとスマートデイズは継続性をもって儲かる事業になるとは考えていなかった可能性は極めて高いとみています。つまり、短期に一気にボリュームを膨らませてそこで「とんずら」するパタンです。その場合、何処にも表向き名前が出てこない実質オーナーの佐藤太知氏が逃げ切れる可能性はあります。この全体スキームは佐藤氏が仕組んだと考えてよいでしょう。やり方の手口が80年代の手法で同社の若い傀儡社長や幹部クラスが思いつく技とは思えません。

次にスルガ銀行ですが、書類改ざんによる不正融資が噂され株価は昨日だけで2割も下げています。頭金がほとんどないのに融資をした噂とか、運営者のスマートデイズの運営能力は初めからほとんどなかったにもかかわらず融資スキームに便乗したあたりが懸念材料でしょう。銀行側に法的問題はなかったとするには社会通念的に無理だと思います。むしろ、銀行側の上層部が本件に噛んでいたとみるべきで厳しい処分が下されると予想しています。

では、残された投資家は詐欺にあったのだから救済されるべきだ、という一方的論理も私は通用しないと思います。

一般的にこれだけのお金を投資する場合にそれほど高い利回りがなぜ生まれるのか、どう運営するとそれだけのリターンが生まれるのか、シェアハウスビジネスが未来永劫ずっと安定的成長を遂げるのか、投資リスクはあるのか、といったごく基本的な投資家としてのスタディをほとんどしていなかった姿勢は裁判になっても投資家側の失点になるでしょう。

想像するにビットコインなどで儲け話が巷に溢れる中、「金儲けって結構簡単なんだ」と思ったり「あいつが儲けたなら俺もやってやる」ぐらいの勢いではなかったかと思います。

多くの方は詐欺にあうことなどないでしょう。私はビジネス上、ある詐欺案件に絡んだことがあります。具体的にはとても書けませんが、当時はマスコミにも一部すっぱ抜かれたとんでも事件で犯人は逮捕されましたがカネは戻ってきませんでした。先日、積水ハウスが詐欺にあってトップが辞任しましたがそれよりはるかに大きな額であります。

その時の実感として騙される心理とは騙されているような気がするけれど「騙されてないよね」と言い聞かせる状態になります。我々は「騙されていない」という無理やりの理由を探し、自分にも回りにも安心させるのです。その微妙な気持ちの中で事実が一枚ずつベールを剥がすように明らかになると精神的ダメージは日々重くなり、最後に分かった時、頭が真っ白という感じでした。

その際、思ったのは騙した詐欺犯に対する悔しさと同時に騙されているかもしれないと薄々感じているのにどうしてそれを信じ込まされたのか、その検証で自分らのはかなさを知ったということでしょうか?もちろん、誰も助けてくれません。救済などありません。

日本は性善説が主流かと思います。オレオレ詐欺も自分に騙されるという認識がない場合がほとんどです。私が海外でビジネスをするようになって一番先に性悪説を学びました。20歳の時、ローマで小さな詐欺に引っかかった悔しい経験も糧となっています。

今回の問題、30-40代の一般人がとてつもない借金だけ残され人生設計を狂わされました。バブルの頃も皆同じ思いをしたのですが、今回の事件は傷が深いと思います。全面救済は無理としても何らかの支援策がないとあまりにも悲惨なシナリオが待っているように思います。スマートデイズが消滅する以上、スルガ銀行がそれなりの配慮を示すしかないのではないかと思います。

では今日はこのぐらいで。

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プロフィール

岡本裕明
岡本裕明

バンクーバーと東京で不動産事業を展開しています。カナダ在住25年、外から見る日本や世界の様子をブログを通じて8年間毎日欠かさず発信。ユニークな視点で経済、政治、社会、日本人論を攻めます。

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