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つながるクルマ、起爆剤になるのか?

2018.06.28 ピックアップ 外から見る日本、見られる日本人

トヨタがクラウンとカローラの一部に通信できる仕組みを取り入れ、発表しました。クルマに専用通信機、DCMという機器を搭載することでクルマそのものがあたかも人格を与えられた状態になります。これにより、メンテナンス情報、運転の診断、自動車保険とのリンク、更にはLINEを通じて自分のクルマとのやり取りができるという触れ込みであります。また、同社では2020年までに発売するすべての新型車にこの通信機を取り付けるとしています。

さて、この技術はいわゆるIoTの一環でありますが、テクノロジーそのものは別に新しくも何ともありません。ただ、今まである技術をトヨタ流に汎用化させたということだと思います。

以前、私が経営するレンタカーのクルマに車載通信機をつけているという話を紹介させていただきました。中国の広東省広州でゲットした1つ2000円ぐらいの通信機を入手したのは1年半ほど前。これが優れモノでSIMをカナダのセブンイレブンで一枚1000円ぐらいで買い、それを機器に装着。立ち上がりの設定をした後、車のトランクの後ろやスペアタイヤを収納しているあたりに強力マグネットでつけるだけです。

主目的は盗難防止と指定の時間までに車が返却されない場合の居場所を確認することですが、それ以外にクルマが指定区域を外れた場合の警報、スピード超過の警報などいろいろな用途があります。SIMの電話番号にスマホから電話をすると地図上で位置を示してくれたり、各種警報が登録しているスマホに送信されるというものです。

つまり、営業目的の場合、IoTは非常に有益であります。大量に車両を抱えている運送、運輸関係の業界には運行管理システムとして大いなる使い勝手があるでしょう。ただ、すでに何らかの形で既存の技術で管理しているはずでトヨタの今回の技術が業界をあっと言わせるほど特に目新しいものとは思っていません。

また位置情報と運行管理システムもスマホアプリにいろいろあると思います。例えば私は自転車に乗るのですが、アメリカで出ている無料スマホアプリで位置情報、走行軌跡、スピード、高低差、管理、集計などすべてできるものを使っています。(もちろん、日本で日本語でも使えます。)これも結構な優れモノです。

今回のトヨタの売りはクルマのメンテの警告やドライブ診断機能がついているようですが、こんなのはどちらでもいいおまけだと思っています。ではトヨタは何故、これを売り込み始めたか、といえば車同士のコミュニケーションをとらせるための手段だと思います。

将来、自動運転車が普及すると思われる中でクルマ同士がつながることで事故を未然に防ぐという仕組みを考えているのではないでしょうか?例えば高速道路の追い越し車線を他車より速いスピードで走っている時に前の車をよけさせる、あるいは信号機で止まらないよう自動スピード調整を行い、ストップアンドゴーが起きにくくなるようにする、など思い当たる節はいくらでもあります。

日本の既存のナビゲーションシステムは素晴らしい機能を持ち、多くのクルマに搭載されています。渋滞情報と近道情報は便利でしょう。しかし、北米では案外普及していません。ナビは英語でGPSというのですが、(ナビでは通じません)渋滞情報は基本的に出ないのでグーグルで必要に応じてチェックするかラジオの交通情報を聞いて対応策をとります。

つまり人はどこまでの情報を求めているか、案外もう腹いっぱい、という感じがしないでもありません。今回のトヨタのアピールはそれよりもクルマ同士のコミュニケーションによる全く新しい通信システムを構築する第一歩と考えたらいいのかと思います。

では今日はこのぐらいで。

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プロフィール

岡本裕明
岡本裕明

バンクーバーと東京で不動産事業を展開しています。カナダ在住25年、外から見る日本や世界の様子をブログを通じて8年間毎日欠かさず発信。ユニークな視点で経済、政治、社会、日本人論を攻めます。

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