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フェイスブック情報流出事件の懸念

2018.10.16 ピックアップ 外から見る日本、見られる日本人

自動運転の自動車からEコマースまでビックデータに頼ることがごく普通になってきました。日経には日立製作所の東原敏昭社長インタビューで「購買にまつわるあらゆるデータは消費者が欲するものと欲しないものの線引きを明確にし、そこにメーカーもサービス事業者も集中する。メーカーとそれ以外の垣根が崩れる」と述べており、データが作り出す新しいビジネス像について熱く語っていらっしゃいます。

一般社会ではいつの間にかデータに基づく「嗜好判断」が「指向判断」、挙句に「思考判断」にまで広がりつつあるように感じます。恐ろしい話ですが、人間から「思考」部分を取り除いてくれるわけですから楽ちんであると思える半面、人間が人間らしさを無くすリスクも当然抱えます。

株式や為替の世界ではプログラム売買が主流となり、勝手に売買が成立していきます。そこにはあらゆるデータと共に人間の心理も読み取り「人間より賢い」判断をしてくれるようです。それでも先日のようにクラックが生じて大きな株価変動が起きるということはプログラムそのものが十分にその異変の予知が出来なかったとも言えます。

自動車もそのうち、自動運転になるのでしょう。業界では必死にデータを集めています。同時に人間から運転能力という才能を除去させるのでしょうか?となればいざというとき、マニュアル(つまり人間が運転する)モードに変えた時、運転能力をそもそも持っていなかったり、技能が落ちてしまっている人の場合はどうするのか、という対策がまだ十分議論されていない気がします。

自動車の専門家の一部では「自動運転に対する技術的問題はクリアしつつあるが、各国の法整備等の問題がクリアにならない」とされています。自動車に乗ることを電車やバスに乗るのと同様、運転に全くかかわらないというスタンスに常識を変えるのはなかなか時間がかかりそうです。

さて、表題の「フェイスブック情報流出事件への懸念」でありますが、同社がサイバー攻撃を受け、被害者が2900万人に被害が及んでいると発表しています。また、グーグルもソフトの不具合から最大50万人の情報流出の可能性を発表しています。

フェイスブックほどの企業となれば相当のサイバー対策はしていると想像します。その会社に対してでも、銀行の金庫破りと同義のサイバーアタックができるのであります。技術の進化と共に必ず悪いやつも一緒に成長していることを裏付けており、アタッカーからすればおいしそうなところ、敵対心を引き起こすところ、社会的影響を及ぼしやすいところなどを対象に責めの手を緩めないとも言えます。

数年後に量子コンピューターが普及した場合、既存のセキュリティは簡単に打ち破ることが可能になるとみています。つまり、例えばIoTにしろ、自動運転のデータにしろ、消費者向けビックデータにしろ悪意を持った第三者は悪事を働くことが理論上容易になる、とも言えます。

先日読み物をしていた中に自動運転のプログラムにハッキングすれば事故を引き起こすことは技術的に可能と記されていました。これは恐ろしい話で高度に発達した社会に代替手段がなくなるというリスクが生じるのかもしれません。

我々は今、マニュアル操作の選択肢が無くなりつつあります。先日の北海道の地震では電源が無くなったことでコンビニなどでの客の決済が出来なくなる問題が発生したようです。クレジットカードはマニュアル決済が可能なのですが、そんなことを知っているスタッフがいないでしょう。

高度に進化した現代社会において代替手段を持たないと全く機能しなくなる社会がやってくる、ともいえるのでしょう。自動車でも運転できる技術が必要、お金も確かに電子マネーだけではダメそうな気がします。問題は自分だけその対応をしても相手方がそれを受け入れなければ意味がない、ということです。道路に運転できない車が立ち往生するかもしれないし、現金を受け付けない店舗もあります。お釣りもありません。つまり、緊急時の対応に社会構造がキャッチアップしていないとまるで役立たず、ということになります。

フェイスブックの情報流出事件は今の段階では被害が甚大なものとはなっていませんが、10年後の世界には驚くべき事件が発生する余地があるのかもしれません。

では今日はこのぐらいで。

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プロフィール

岡本裕明
岡本裕明

バンクーバーと東京で不動産事業を展開しています。カナダ在住25年、外から見る日本や世界の様子をブログを通じて8年間毎日欠かさず発信。ユニークな視点で経済、政治、社会、日本人論を攻めます。

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