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スマホの行方、アップルの行方

2018.11.22 ピックアップ 外から見る日本、見られる日本人

アップルほどストーリー性のある会社もそうないかもしれません。スティーブジョブズという天才が同社に復帰し、携帯電話市場でiPhoneというスマホ革命を引き起こすものの若くして他界する中、会社はどこに向かうのか、実に興味深いものがあります。

アップル社は大成功している会社と思われていますが、実はしょうもない製品もずいぶん開発し、中には失笑を買った製品もあります。初期のアップルのコンピューターは高すぎて売れなかったし、アップルTVも第4世代まで来ていますが、使ったことある人が少ないぐらいでしょう。バンダイと共同開発したピピンアットマークというゲーム機は世界一売れなかったゲーム機としてギネス入りしています。世界初という意味では携帯情報端末機「NEWTON」なるものも発売したのですが、専用ペンがないと使えない代物でした。

今でも音声入力のSIRIがよいとは思わないし、アップルのマップ機能はグーグルのそれと比べ、使い勝手を含め決してポピュラーとは思えません。

それでもiPhoneを買うのはブランドとしての確立感があるから、ということでしょうか?

スマホはコモディティ化すると言われています。これは自動車がそうであったようにある程度技術的に成熟してくるとモデルチェンジしてもそのインパクトは時がたつほど低くなり、買い替え意欲をそこまで盛り立てなくなります。もちろん、自動車も見えない部分、例えば安全性能、パワーや燃費、制動などは確実に進化していますが消費者からすればどうしても今でなくてはいけない理由が希薄になってきます。

スマホも同じで買い替えサイクルはどんどん長くなってきています。例えば日本ではその買い替えサイクルは2002年は平均2年ちょうどでした。それが2018年には4.3年にまで延びているのです。多分ですが、耐用年数を考えるともう1-2年延びてもおかしくない気がします。またこれも自動車と同じなのですが、価格がどんどん高くなっていることで消費者がおいそれと新型を求めにくくなっていることもあるでしょう。

ではこの市場は飽和なのか、といえばまだ新興市場への浸透が残されていますので例えばアップルが別ブランドを立ち上げて新興国向けの格安スマホを売り出すというマーケティングは選択肢としてはありますが、多分、同社の社風からしてそんなチープな戦略はとらないでしょう。

成熟化した自動車については10年程度で激変する可能性があります。自動運転と電気自動車時代の到来で人間の心理から買い替え特需が生まれる可能性があるからです。(例えば一定年齢では自動運転の方が安心だと信じられれば無理してでもそれを買うでしょう。自動車保険が自動運転の方が安いとなれば若い人は飛びつくでしょう。そういう付随的ギミック(手品)が市場心理を支配するものです。)

ではスマホはどうなのか、といえば5Gやらデュアルカメラ(イメージセンサーやレンズの数が増える)、ディスプレーの進化といったことがあげれるのでしょうが、正直、ピンとくる進化ではありません。思うに人間が通常生活で必要とする情報、記憶、アシストについてスマホとそのソフト群がほぼ充足している段階まで来ているのだろう見ています。

今後、アップルはブランド力強化を図り、関連商品であるスマートウォッチやiPadのような製品を引き続き開発し付随的消費を促進させるような戦略をとらない限りスマホオンリーでは大きな成長は望めない気がします。(もちろん買い替え需要が一定数あるので廃れることもないと思いますが。)

冒頭、数々の失敗作を紹介したのは同社も相当、悪戦苦闘しているという意味です。iPhoneのサイズも試行錯誤が続きました。ある意味、同社もユニクロのような1勝9敗的なビジネスをしている点はほとんど指摘されていませんが、個人的にはそんなものなのだろうと思っています。

iPhoneは世界販売では第3位に落ちています。販売台数では今後も新興勢力にはかなわないと思いますが、アップルのその質感、サービス、潜在的能力である程度の高価格戦略は当面は維持できると思います。ただ同社のラインアップがレクサスのように手が届くレベルに抑えるのか、ベントレーのようなごく一部の趣味の世界にしてしまうのか、そろそろ岐路にあるように感じます。

では今日はこのぐらいで。

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プロフィール

岡本裕明
岡本裕明

バンクーバーと東京で不動産事業を展開しています。カナダ在住25年、外から見る日本や世界の様子をブログを通じて8年間毎日欠かさず発信。ユニークな視点で経済、政治、社会、日本人論を攻めます。

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