意地でもお花見したいニューヨーカーたち、桜祭りが大ブーム 人口1万人ほどの小さな島に2万人が訪れパニック状態

2019.04.17 WEDGE Infinity
NYでも大人気の「Sakura」(撮影:筆者、以下同)

 日本人は、なぜこれほどまでに桜を愛でるのだろうか。

 昔から和歌にも詠われ、桜を美しいと思う心が大和民族の遺伝子に入っているのだろうか。などと思っていたら、いつの間にやらそんなことを言ってる時代ではなくなった。

 かつては、春にオランダに行ってチューリップを見るというのが世界中の観光客の憧れだった時代もあったけれど、今ではお花見の時期に合わせて、世界中から観光客が日本に押し寄せてくる。いまや日本のSakuraは世界の人々の憧れなのである。

 いつの間に、こんなに桜が世界的人気になったのだと思っていたら、ニューヨークでも気がついたらSakura Matsuri, Cherry Blossom Festivalが大盛況だ。Sakuraという言葉自体もすでに Anime やMangaと同じように、英語になりつつある。

 桜祭りといえば首都ワシントンが有名だけれど、ニューヨークも負けてはいない。

 中でもブルックリンのボタニカルガーデンで行われる桜祭りは、ニューヨークの春の一大イベントだ。その歴史も規模も、そして催し物の数とバラエティも、他を寄せ付けないニューヨークの桜祭りの王者である。今年は4月27日と28日の二日間で、東京のお花見よりもおよそ1カ月遅れだが、時期的にはおそらくもっとも華やかな八重のカンザン桜に合わせたのだろう。

意地でもお花見したいニューヨーカーたち

市内には意外にもお花見スポットは存在している

 ところがこのボタニカルガーデンの桜祭りのチケットは1枚30ドルで、しかも発売後あっと言う間に売り切れてしまった。

 ニューヨークの地元の情報誌には必ず春になると、Sakura Matsuri, Cherry blossom Festivalの特集が大きく組まれる。トレンドに敏感なニューヨーカーたちは、何が何でも春に一度はオハナミをしないと気がすまない。ではボタニカルガーデンのチケットを買いそびれたニューヨーカーたちはどこでお花見するのか。

 実はニューヨーク市内には、意外なほどお花見のスポットは存在している。リバーサイドパークにも、セントラルパークにも結構な量の桜が植わっていて、その中には1921年にワシントンに植樹されたものと同じ苗が成長したものも残っているという。いずれも桜祭りではないが、勝手に行ってピクニックをするには十分見ごたえのある桜が見られる。

 桜祭りにこだわるのなら、クイーンズにある1964年万博会場跡に作られた公園でも、ブルックリンボタニカルガーデンよりも一週間早い小規模な桜祭りがある。

 そして気がつくと何と、著者の住んでいるルーズベルトアイランドにもいつの間にやら桜祭りが催されるようになっていたのだ。

小さな住宅街の島に溢れかえる観光客

ルーズベルトアイランドのミニ桜祭り

 マンハッタンの東側、イーストリバーの中洲にあるルーズベルトアイランドは、長さ3キロ、幅500メートルほどの細長い島で住宅街になっている。この島の両側には各種の桜が植わっていて、以前から日本人コミュニティの間では秘密のお花見スポットになっていた。ここには600本ほどの桜の木があり、一ヶ所での本数でいうとニューヨーク市内でもっとも多いのだという。

 この桜の歴史は意外と新しく、1975年にメアリー・ラスカーという慈善家の女性によって植えられたという。ニューヨーク市内の街の景観に大きな役割を果たした彼女は、国連の敷地内にある桜や、ウェストサイドハイウェイ沿いの桜の植樹にも貢献をした。

 第一回の桜祭りは2011年東日本大震災のチャリティとして開催され、およそ1000人が参加して日本円にして100万円弱の寄付が集まった。