甲子園、習志野の「美爆音」を批判する理不尽な人たち

2019.08.13 WEDGE Infinity

 今年も甲子園球児たちが熱い戦いを繰り広げている。第101回全国高等学校野球選手権大会は甲子園球場で10日の第3試合から2回戦に入った。白熱の好勝負の中、注目はグラウンド上だけではなくアルプス席でのブラバン応援にも注がれている。

 9日の1回戦では今や習志野(千葉)の名物となった「美爆音」を奏でる同校吹奏楽部・約170人の部員たちも野球部の選手たちに負けじと"活躍"。今年から応援に取り入れたTHE ALFEEの名曲「星空のディスタンス」を披露するなど習志野の初戦突破を後押しした。

(mountnmama/gettyimages)

 ただ、この「美爆音」には一部でどうもケチをつけたい向きがあるようだ。気になったのは、10日掲載された「沖縄尚学『美爆音』にやられた 中継への指示届かず…9回1死から同点許す」という一部メディアによる記事である。

 この記事でクローズアップされていたのは、9日の試合で延長10回に習志野が沖縄尚学に勝ち越しを決めた場面だ。中越えの当たりで二塁走者のスタートが遅れていたことに気付かないまま中継プレーに入った沖縄尚学の二塁手は間に合ったかもしれない本塁ではなく三塁へ送球。

 そのシーンを試合後に振り返り、歓声で自軍の指示が聞こえなかったことを悔やんでいたという内容だった。ただ、あくまでもこの二塁手が口にしたのはスタンドの「歓声」であって習志野吹奏楽部の「美爆音」ではない。

 このシーンを見ていた人ならば誰でも分かるが、ブラバンの演奏は打者が打ってからしばらくするまで一時的に止まっており、球場全体はスタンドの大歓声一色に染まっていた。見出しでインパクトを与えたかったのかもしれないが、沖縄尚学の敗戦と「美爆音」を結びつけた記事にはどうしても強い違和感を覚えざるを得ない。

 同じ学校の野球部の勝利を願い、灼熱の太陽のもとで懸命になって演奏を繰り返しながら熱い声援を向け続けている。そんなブラバンの演奏に対し、批判を誘導するかのように仕向けるのはやはりメディアの姿勢として疑問を投げかけたくなってしまう。

 しかも相手は高校生たちだ。ちなみにネット上でも「習志野、沖縄尚学のどちらに対しても失礼過ぎる記事」「応援団が非難されるのはおかしい」などと書き込まれるなど否定的なコメントが散見された挙句、この記事は11日深夜の時点で削除されている。

音量が明らかにスケールダウン

 一方で、この習志野の「美爆音」は今春のセンバツ高校野球(甲子園)で確かに物議を醸したことがあった。大会本部の高野連(高校野球連盟)に近隣から習志野ブラバンの大音量応援に関して苦情が数件入り、それがニュースで報じられるとネット上でも賛否両論の大論争に発展。

 結局、習志野のブラバンは高野連側の要望を受け入れ、今夏の甲子園でも春のセンバツと同様に演奏で使用する太鼓を今までの4台から半分の2台に減らし、規模を縮小して応援を続けている。

 つまり、今夏の甲子園では「うるさい」とクレームを入れられたセンバツ開幕当初の試合時よりも音量が明らかにスケールダウンしているということだ。そう考えると「『美爆音』にやられた」とする前出の記事の内容はますますつじつまが合わなくなる。

 高野連関係者の1人は「『美爆音』にケチをつける人たちは、おそらく習志野をヒールに仕立て上げたい気持ちが強いのだろう」と分析し、次のように続けた。

 「習志野は今春のセンバツで準優勝したにもかかわらず、大会期間中に対戦した星稜(石川)の林和成監督からスパイ行為疑惑を向けられ、否応なしに悪いイメージが残ってしまっている。だから批判したい側は習志野がやることに対して何でもかんでも”どうせ悪いことをやっている”として、スケープゴートにしやすいと考えているのでしょう。