部下を変えるのではなく、自分が変わるしかない

2021.06.14 WEDGE Infinity

 今回は、精神障がい者の雇用に熱心に取り組むメンバーズギフテッド事業部長 兼メンバーズ執行役員の小峰正仁さんに取材を試みた。

 2000年、デジタルマーケティング業のメンバーズに入社し、02年8月に取締役就任。人事や総務、経理、財務などバックオフィス部門の責任者を務める。18年6月、取締役を退任。特に精神障がい者の活躍を推進するため、18年10月、メンバーズギフテッドを設立。現在、同社として雇用支援サポートをしている障がい者の内訳は精神が47人、身体が2人、知的は1人。

 小峰さんにとっての「使えない上司・使えない部下」とは・・・。

(metamorworks/gettyimages)

同じ目線で接すると、心を開いてくれる

 厚生労働省の調査を見ると、精神障がい者の雇用者数は身体障がい者のそれと比べると少ないのです。メンバーズギフテッドの設立時(2018年)にまずするべきは、精神障がい者の方が安心して働ける機会を増やすことではないか、と考えました。

 メンバーズは創業時からITデジタルのサービスを得意としてきました。現在に至るまで長年にわたるネットワークがあります。全国にデジタルスキルを持つ精神障がい者は多数いることを知っています。ところが、それを発揮する機会が少ないのです。それで、ITデジタル分野で精神障がい者の就労支援のサービスを始めました。例えば、弊社で審査のうえ、登録をしていただき、ご依頼のある企業に条件が合えば紹介します。地方にいてもオンラインツールを使い、首都圏の企業の仕事ができるようにしたのです。何かしらの障がいを持つ「ギフテッド」がデジタルクリエイターとして活躍できる社会の実現を大きな目的 としています。

 メンバーズで役員として新卒採用を担当している時に気づいたことがあります。理系の高度な知識を身につけた学生の中の一部に、人と接することを苦手としている方がいます。私が知る限りではその多くが入社後、それぞれの職場で活躍をしているのです。その時の経験から、精神に何らかの障がいがあったとしても、ともに働くことは十分にできると思うようになりました。障がいは特性であり、特別視することではないのです。

 就労支援サービスの観点から言えば、「こういう障がいがある」と必要以上に主張する人は入社時に、あるいは入社後にうまくいかない場合がありえます。もちろん、障がいの部位や程度、就労の条件を雇う側に伝えることは必要です。

 弊社にご依頼のある企業は、ベンチャーや成長系の企業が多いのです。自分で乗り越えることができるタイプや、乗り越えようとする人が採用されやすい傾向はあります。本人に無理をさせてはいけないのですが、高いレベルのスキルを持っている人がいて、十分な活躍ができるのも事実です。活躍する人が増えると、障がい者のイメージが変わってくるように思います。それを期待しています。

 私が障がい者の雇用に力を入れたい、と思った経験があります。15年ほど前から、小学生にバスケットボールを教えているのです。ADHD(注意欠如・多動症)の男子がいて、4年生からキャプテンをしてもらっています。3年目になり、今ではチームをうまくまとめてくれます。

 時々、キャプテンらしくない行動をとっていると、私は言います。「キャプテンは何をするの?」。彼が答えます。「みんなの手本になります」。「そうだ。模範にならないといけないよね…」と言うと、行動をすぐにあらためる。同じ目線で接すると、心を開いてくれるのです。信頼関係の始まりは、このあたりにあるんだろうと思います。訓練をすれば、ある程度は改善するのだと私は信じています。