ジェフ・ベゾズ氏に「地球に戻るな」コール

2021.06.29 WEDGE Infinity

 アマゾンCEOジェフ・ベゾズ氏、と言えば世界一の大富豪として知られている。7月には自身の宇宙開発会社、ブルー・オリジンが行う初の宇宙旅行の第一号旅客となることも発表されている。

 この旅行は7月20日に地球を飛び立ち、地上からおよそ100キロ上空の宇宙を10分程度飛行した後地上に戻る、というもの。使用されるロケットはブルー・オリジンが制作したニュー・シェパードで、カプセルは6人乗り。うち2人はベゾズ氏と弟であるマーク氏だ。

(Swillklitch/gettyimages)

 残りの座席はオークションにかけられたのだが、これがとんでもない値段がついた。発表された当初に280万ドル、320万ドル、と次々に競り価格が上昇、最終的に落札された価格はなんと2800万ドルで、世界中から7000人以上がオークションに参加した、という。

 わずか1日の宇宙旅行に2800万ドル、というのも驚きだが、人類初の民間宇宙旅行に参加、というのはそれだけの価値があるのかもしれない。日本のZOZOタウンの前澤社長が参加するイーロン・マスク氏のスペースX、リチャード・ブロンソン氏の英国バージン・ギャラクティック社も同様に自社ロケットでの宇宙旅行を計画しているが、実現はブルー・オリジンが一番乗りになった。

 ところが、この宇宙旅行について、米国では今「ベゾズを地球に戻すな」という署名運動が起きている。一つはオンラインでキャンペーンを立ち上げているChange.orgで、「ジェフ・ベゾズが地球に戻ることを許すな」というキャンペーンにこれまで4万人以上の署名が集まった。もう一つは同じくオンラインキャンペーンで「ジェフ・ベゾズが地球に再突入することを阻止することを求める」というもので、こちらも2万人が署名した。

 ベゾズ氏は米国ではレックス・ルーサーによく例えられる。レックス・ルーサーとはスーパーマンに登場する悪役で、スキンヘッドで鋭い顔つきがどことなく本人に似ていることもあるが、漫画の世界ではレックス・コープという大企業の会長で世界征服を企んでいる、というキャラクターにも共通性を感じる人が多いようだ。

 今回キャンペーンを興したグループも「ベゾズはレックス・ルーサーであり、世界を牛耳ろうとしている」と主張している。また未成年の買春で実刑判決を受け、獄中で自殺したジェフリー・エプスタイン被告との交友があった、という批判もある。ちなみに別の米国の億万長者、ビル・ゲイツ氏の離婚の理由がこのエプスタイン氏との交流に夫人が反発したため、とも報道されている。

なぜ少額納税で許されるのか?

 米国ではこうした陰謀説は後を絶たないが、ベゾズ氏が反発される理由はそれだけではない。総資産2000億ドル、とも言われ小さな国家予算なみの財産を持つベゾズ氏だが、実はその資産から計算すると考えられないほど少ない税金しか支払っていないことがこのところ立て続けに暴露されている。

 米国の非営利団体ProPublicaの調査によると、米国で大富豪として知られる4人の2014年から18年の納税額と収入の比較は驚くべきものがある。

 まず、投資会社バークシャー・ハサウェイ会長で投資の神様、と呼ばれるウォーレン・バフェット氏の場合、この4年間で増えた資産は243億ドル、本人が申告した所得額は1億2500万ドル、支払った税金は2370万ドル。資産に対する納税額比率は0.1%。

 イーロン・マスク氏の場合、増えた資産は139億ドル、本人の所得は15億ドル、所得税支払いは4億5500万ドル、実際の納税額比率は3.27%。そしてベゾズ氏の場合は増えた資産990億ドル、本人の所得は42億ドル、所得税支払いは9億7300万ドル、納税額比率は0.98%。