部下がシラける「面倒見がよい」だけの二流リーダー

2016.12.21 公式 mybookfactory

「他人力」の使い手は格上の人をも動かす

よきリーダーは、よきフォロワー(部下)であるという。ビジネスパーソンが動かすべき人とは、必ずしもフォロワー(部下)ばかりとは限らない。場合によっては、自分よりも格上の上司を動かす力も、一流の人になるためには求められる力なのである。よきフォロワー(部下)とは、ときにリーダー(上司)をも動かして結果を出すことのできる人であるということだ。
つまり、人を動かして結果を出す力は、リーダーだけでなくビジネスパーソン全体に求められる力なのである。

人を動かす力、他人の力を使うことを新将命氏は「他人力」と呼んでいる。では、部下の立場で上司を動かす「他人力」を身につけるにはどうすればよいだろうか。部下が上司を動かして、結果を出すことをボス・マネージメントという。新将命氏は、ボス・マネージメントの要諦とは、上司の頭の中と心の中を理解して、認めることにあるといっている。たとえ相手が部下であろうとも、自分を理解し、認めてくれる人に対しては、好意を抱くのが人間という動物である。

「人間の根本を成すものは、何とかして人に認められたいという渇望である」とデール・カーネギーがいうように、理解されたい、認めてもらいたいという欲求はすべての人に共通することだ。それは、上司、部下という立場とは関係ない。相手を理解し、認めることで、相手もこちらに近づいてくる。お互いの心の距離が縮まるのである。ボス・マネージメントという他人力は、上司との心の距離を縮めなければ十分に力を発揮することはできない。

では、上司の頭の中と心の中を理解し、認めるためには、部下はどうすればよいか。その方法のひとつとして、新将命氏は「相手の靴をはく」ことを挙げている。「相手の靴をはく」とは、相手の立場に立って物を見、物を考えるということだ。立場を変えて物を見れば、同じ事象であっても、景色が違って見える。相手の立場に立って物を考えれば、相手の心の内を理解することができる。

とはいえ、うまく上司との心の距離を縮められない、どうも相性が合わないということも人間関係ではありがちなことだ。こういうときによくあるのは、部下が上司に完璧さを求め過ぎているというケースである。上司といえども人間である。人間である以上、欠点もあれば弱点もある。上司に完璧な人間像を求めれば、必ずほころびが目立つものだ。

そのほころびばかりに目が行くようでは、打算的にしか上司を理解し、認めることができなくなる。しかし、それでは心の距離は縮まらない。「相手の靴をはいて」考えるとは、上司の立場になって、上司の都合や気持ちを推し量ることである。相手の立場になってみれば、自ずと上司に完璧さを求めるという自分の考えが、些か一方的で無理な点があるということもわかってくるはずだ。

孔子は、こうした相手に歩み寄る心の動きを「恕(じょ)」といった。進んで「相手の靴をはいてみる」ことが、ボス・マネージメントの第一歩であるとは、以上のような理由からである。
「相手の靴をはく」次にやるべきことは、上司に対し、「自分はあなたのことを理解している」、「あなたのことを認めている」ということを伝えることだ。

どれだけ上司を理解し、認めていても、それが相手に伝わらなければボス・マネージメントはできない。コミュニケーション・スキルはビジネスパーソンにとって、必要不可欠の能力なのである。では、伝え方のポイントは何か。

「六分ほめて、四分で意見を主張」が、その心得である。まず上司を積極的に評価すること、これが導入部である。その後に、論理的に納得できる説明を行うこと。このとき、相手が理解しにくいような言葉は極力使わない。相手の立場に立ち、相手をリスペクトする姿勢があれば、相手がどんなに格上の人であっても、必ずよろこんでその力を貸してくれるものである。

文=亀谷敏朗