仕事が遅い人は「着手する順番」が誤っている

思ったような成果を出せない…どう改善すればいいのでしょうか(写真 : miya227 / PIXTA)
決してサボっているわけではないのに、「仕事ができない」と評価される人がいます。「それは投資対効果の低い働き方をしているから」と日本IBMのシニア・プロジェクト・マネジャーとして数百人のメンバーを抱える木部智之氏は言います。『仕事が速い人は「見えないところ」で何をしているのか?』の著者である木部氏に、投資対効果の高い仕事の進め方について教えてもらいました。

いつも忙しそうにしているのに、仕事で成果を出せない人がいます。
残念ながら、ビジネスにおいては、結果がすべて。どんなに一生懸命頑張っていたとしても、「仕事ができない人」という評価を受けてしまいます。

怠けているわけではないのに思ったような成果を出せない人の共通点として、「ボトムアップ思考」があります。(ここでお話しする「ボトムアップ」と「トップダウン」は、組織の意思決定の話ではなく、個人の思考法に限定して言及します)。

・ボトムアップ思考
行動する→状況に応じて方法を策定しながら進む→ゴールに到達する
・トップダウン思考
ゴールを明確にする→ゴールに最速で到達するための方法を策定する→行動する

一見すると、すぐに行動にとりかかる「ボトムアップ思考」のほうが、先にゴールに着けるように思えるかもしれません。

けれども、「即・行動」は「無計画」とも言い換えられます。今、自分が歩き出している道が間違った道であったり、ひどく遠回りの道である可能性もあるからです。

ボトムアップ思考では、フルマラソンを走りきれない

フルマラソンを走ろうとするとき、最初の1kmを自分の出しうる最速スピードで走ろうとする人はいませんよね。それはなぜかというと、目の前にある1kmが、42.195kmのうちの「たった1km」だとわかっているからです。

自分の能力を見極め、最適なペース配分を策定し、その計画に忠実に従って走らなければ、長丁場のフルマラソンを完走することはできません。逆に、1000mのレースをフルマラソンのスピードで走れば、もちろんビリになってしまいます。

自分がこれから走るレースが、フルマラソンなのか? 10kmのレースなのか? 1000mのレースなのか? それぞれのレースに最適なペース配分を考えてから走り出さなければ、いい記録は生まれません。

仕事も同じです。一生懸命に重箱の隅をつついている人の多くは、そこが「重箱の隅」であることすら気づいていません。仕事をしている本人は、まったく気づいていないのです。

仕事の細部にこだわりすぎて、本筋を見失ってしまうと、必ず、ヌケやモレが発生します。たとえば、作成している資料のデザインに凝りすぎて、最も重要なグラフが抜け落ちてしまうなど……。その結果、一生懸命やっているにもかかわらず、「あの人は仕事ができない」ということになるのです。

仕事をするうえで大切なのは、まず、全体と総量、さらには重要度を見極めることです。仕事の全体像をおさえたうえで、到達すべきゴールを決めます。そこから逆算して、手段や到達方法を決めてようやく、「さあ、仕事に着手!」という流れが理想です。

まどろっこしく感じられるかもしれませんが、これが最も効率的な方法であり、「トップダウン思考」という考え方です。

緊急時にこそ、立ち止まって全体を見る

人は本来、目の前のことに手をつけようとします。それが動物の本能だからです。

ポップコーンが1個落ちているのを見たハトが、それに手をつける前に「ほかにもポップコーンが落ちているかもしれない!」とキョロキョロ探しまわることはありませんよね。必ず目の前のポップコーンに直行します。