マイクロソフトがほれた「GitHub」とは何者か

マイクロソフトのサティア・ナデラCEO(中央)とギットハブのクリス・ワンストラス現CEO(左)は、オープンソースに対する考え方で意気投合したという(写真:マイクロソフト)

こうしたオープン戦略で先行するのが、米アマゾンが展開する業界シェア首位のクラウド事業、アマゾン・ウェブ・サービス(AWS)だ。「AWSは使いやすいツールやサービスを常に出し続け、エンジニアを引き付けてきた。コミュニティ作りもうまい」(亦賀氏)。

マイクロソフトのアジュールも、売上高は四半期ごとに前年同期比2倍の成長を続けている。取り組みが株式市場で評価され、株価も上り調子。5月末には米グーグルの親会社アルファベットを株式時価総額で一時追い抜いた。これはアルファベットにとって、設立以来初めてのことだった。

マイクロソフトにとってギットハブを傘下に加えるということは、“マイクロソフトびいき”の開発者を増やす狙いがあるといえる。また、ギットハブの法人ユーザーにアジュールのクラウドサービスを提供し、顧客として取り込むといったことももくろむ。

一方、オープンソースの聖地が一企業の傘下に入ることに懸念を示すエンジニアは少なくない。実際、ギットハブからのユーザー流出が起き始めているようだ。日本企業で働くあるエンジニアは、「ギットハブが自由を失って失望した人たちがいるのは確か。ギットの技術を持つサービスはほかにもあり、流動が大きくなればギットハブ1強の勢力図が変わるかもしれない」と指摘する。

これに対しギットハブのワーナー氏は、「買収されたことによる変化はほぼゼロ。自社データセンターも維持するし、同じくマイクロソフトに買収されたリンクトインや(ゲーム会社の)マインクラフトのように彼らのサービスとは統合しない。独立性を最重視する」と強調した。

マイクロソフトはギットハブ買収で自らの信頼性を高め、エンジニアを引き付けることができるか。今後の動きに注目が集まりそうだ。

(文=中川 雅博:東洋経済 記者)