「仕事のできない上司」を出世させるべき理由

「ボトルネック上司」をどうするかは重要な問題です(撮影:今井康一)
「この上司がいるから仕事がうまく進まない!」と思ったことがある人はいるのではないでしょうか。森川亮氏に言わせれば、「意外とできない上司のほうが、物事は思いどおりに進むかもしれませんよ」とのこと。『すべての仕事は10分で終わる』の著書もある森川氏に、身近な「できない上司」の対処法を紹介します。

足を引っ張る人たちからどう逃げるか

私が大企業勤めをしていたときによく悩んだのが、足を引っ張ろうとする人たちの存在です。

世の中的には当然「できるだけ仕事をしたくない人」がマジョリティです。そういう人からすれば仕事が速い人がそばにいると、自分の仕事の遅さやアウトプットの少なさが目立つので、なるべく遅くやってほしいわけです。

なので昼休みなどに私だけ仕事をしていると、なるべく仕事をしないでくれという態度をされたり、当時まだ労働組合が元気な時代でしたから「森川も組合に入れ」と執拗に誘われたり、露骨な抵抗勢力がいたものです。

最近はそういう露骨な人たちは減ったと思うのですが、動きの遅い組織にいると、どうしてもそういう人種に遭遇します。そんな人たちからどうやって逃げるかということも、自分の仕事の速度を上げるためには重要なことでしょう。

特に自分の上司をいかに抵抗勢力にしないかは大事なポイントだと思います。実際には面倒な上司がいたら本心ではなくてもへりくだって、上司に花を持たせ、できるだけ出世してもうらようにしていました。

外資系だとそういう場合は上司を飛ばしてもっと権限のある人と直接話をつけるという攻め方もありますが、多くの日本企業のように指揮系統を乱すことを一切認めない組織でそうしたことをすると、上司が激怒して事態がややこしくなり、かえってスピードが遅くなる可能性すらあります。

むしろ上司の上司と仲良くなって上司を褒めるとか、上司がいかにも仕事をしているように見せるとか(ダメな上司ほど仕事をしたくないので、自分がやってしまったほうがクオリティが高くなります)。そうやって貸しを作ることで自分のやりたいように仕事が進められます。本当に出世させられれば人事異動でいなくなります。

そう考えると、意外とダメな上司のほうが楽かもしれません。できる人ほど、できる部下を潰そうとする傾向もあるように思います。

それでも理不尽な指示が降ってきたりするのですが、大半は、やり過ごしていました。「わかりましたー」「忘れましたー」の組み合わせで、ひたすら無視をしてきた感じです。スルー力とでも言いましょうか。

スピードが遅い組織にいると、周りが遅すぎて感覚がおかしくなってくるので、自然と自分もスローダウンしがちです(撮影:今井康一)

でも同僚などを見ていると、そうした上司に振り回されている人がほとんどで、つくづくまじめさや従順さを美徳とする日本の教育のあり方は問題だなと感じていました。

なお、スルー力を鍛えても、どうしても自分の成長を阻害する環境だと感じているなら転職を考えるべきでしょう。今の日本は、スピードが速い組織と遅い組織の差がどんどん広がっていくばかりです。スピードが遅い組織にいると、周りが遅すぎて感覚がおかしくなってくるので、自然と自分もスローダウンしがちです。

仕事の速い人としか仕事をしない

仕事を進めるうえで部下なりパートナーを選べるときは、仕事が速い人だけと組むことがこれからの時代、絶対に必要になってきます。

大企業勤めをしていたときも、私はなるべく新しいものが好きな人たちのそば(新規事業系の部署)にいるようにしました。新しいものが好きな人はリスクを怖がらないので仕事が速いからです。