日清食品、「eスポーツ大会を協賛」の舞台裏

eスポーツの運営や参加する選手、配信動画を視聴したり、会場に観に行ったりするオーディエンスにしてみれば、日清食品グループの協賛はこれ以上になく、ありがたい存在です。それと同時に日清食品グループにとってのメリットは多いにあると言えます。

EVO Japan 2018は、参加者が7000人以上、来場者が約1万4000人と規模の大きな大会で、配信動画の視聴者数も国内のみで延べ人数で360万人を超えていました。それらの多くの人たちと、これまでにない濃密なコミュニケーションをとることができ、日清食品グループ側にとってもメリットは大きかったのではないでしょうか。

その先にある感動体験

広告やほかのスポーツやイベントなどの協賛と比べて、eスポーツへの協賛は効果があるのかどうかも伺ってみました。

「当社は“HUNGRY TO WIN 世界に、食ってかかれ。”の精神で、さまざまなスポーツの参加者や選手の挑戦する心を応援してきました。私どもはスポーツ=競争ととらえており、ゲーミングやeスポーツについても同様です。実際に体を動かしているか、画面の中でアバター的に動かしているかの違いはありますが、その先にあるものはどちらも同じで、勝ったらうれしい、負けたら悔しいという感情につながります。勝負の世界があり、そこに挑戦とエモーションがある。それを観客が観て、疑似体験する点も同じです。フィジカルスポーツで選手の一挙手一投足に注目するとき、そこには常人では到達できないレベルの技術や表現があります。ゲーミングにおいても肉体の限界を越えた表現が無限に可能です。プロの技術をもってして勝利が決まったとき、ほかのスポーツと同様の驚きや感動があると思います」(同広報担当者)

eスポーツを語るとき、どうしてもスポーツの定義が問われがちになってしまいます。日清食品グループにとってみれば、その定義はささいなことであり、eスポーツにしろ、リアルスポーツにしろ、そのこと自体が重要なのではなく、その先にある感動体験に重きを置いていることがわかります。それがeスポーツに協賛する最大の精神なのでしょう。

eスポーツシーンは、まだまだ黎明期でこれから発展するカテゴリーです。そのeスポーツを今後も日清食品グループは支えていく予定とのことです。特定のジャンルやタイトルにこだわらず、広い意味でゲーミングシーンの盛り上がりを後押ししていきたいと考えており、ファンや選手の熱量があるかぎり、応援していくのでしょう。

イベントの協賛としての参加だけでなく、eスポーツチームの運営や既存のチームや選手へのスポンサード、オーディエンス向けのキャンペーンなど、さまざまな面からの支援があれば、eスポーツシーンはより一層発展していくのは間違いないので、日清食品グループの今後に期待したいところです。

ブランドイメージとマッチするか慎重に精査

最後に日清食品グループと同様にeスポーツ関連への協賛を考えている非ゲーム系企業に対して、アドバイスや注意点を確認しました。

「ブランドイメージとゲーム内の表現がマッチするのかは、慎重に精査しなければいけないと思います。たとえば、リアルすぎる戦争表現や過剰な暴力、差別表現などがあるゲームの場合は、弊社としてはサポートできません」(同広報担当者)

多くの人の目に触れる機会が増えることを目的と考えすぎてしまうと、ブランドイメージを傷つきかねないのは、多くの人が会場に集まったり配信動画を視聴するeスポーツイベントだけでなく、すべての広告や協賛でも同じことが言えます。タイトルの人気だけに引きずられないように注意しなくてはなりません。

多くのリアルスポーツの大会に協賛しているメーカーの多くは、直接的にかかわりが強いものばかりではありません。eスポーツもゲームとはまったく関係ない企業だからと考えず、その先にある感動やプレイする選手のドラマを見てもらいたいものです。

(文=岡安 学:デジタルライター)