インスタグラムは「映え」の限界越えられるか

インスタグラムのビジネス&メディア部門グローバル責任者を務めるジム・スクワイヤーズ氏は、「ストーリーズ」機能に手応えを感じている(撮影:山内信也)
個人情報流出が相次ぎユーザー数の成長に陰りが見える米フェイスブック。それとは正反対に好調なのが、同社傘下の写真・動画共有SNS、インスタグラムだ。月間アクティブアカウント数は全世界で10億を突破。日本では2900万アカウント(2018年9月時点)と約1年で900万増え、フェイスブックとほぼ同規模まで成長している。
躍進を支えるのが、2016年にインスタグラムのスマートフォンアプリに組み込まれた「ストーリーズ」機能だ。時系列や関連度の順に表示される投稿一覧(フィード)とは別枠で写真や動画を縦型フォーマットで投稿できる。それらは24時間で自動削除される。後に残らない気軽さから、利用者は必ずしも“インスタ映え”しない日常も発信するようになった。
フェイスブックと同様、インスタグラムの収益は広告収入に支えられている。サービス機能の拡大に合わせ、広告主との関係はどう変化しているのか。一方、10月には2人の創業者が突如退社。背景にはフェイスブックのマーク・ザッカーバーグCEOとの意見対立があったといわれるが、経営には影響はないのか。インスタグラムでビジネス&メディア部門グローバル責任者を務めるジム・スクワイヤーズ氏に聞いた。

みんながストーリーズを使っている

――ユーザーも広告主も昨今、インスタグラムの活用の幅をかなり広げている印象です。特にストーリーズの投稿内容はこの1年で多様性が増しました。

ストーリーズ機能はまず使っている人自体が増えた。ストーリーズを毎日利用するアカウント数は全世界で4億に達している。一般ユーザーのトレンド変化を目の当たりにした企業が、広告をはじめとするビジネス目的で使うケースも増えている。

ストーリーズの広告は、スマホの画面いっぱいに表示できるのがメリットだという(画像:Instagram)

広告主の顔ぶれもバラエティに富んできた。日本の例で特徴的なのは、NTTドコモが行った学割キャンペーン。フィードとストーリーズの両方に広告を展開した結果、広告記憶、つまり「こんな広告があったな」と覚えてもらえる確率が従来より10ポイント上がったという。

「Wantedly People」という名刺管理アプリの場合は、1インストールあたりの販促コストを従来より28%削減できた。ブランド認知獲得だったり、アプリのインストール促進だったり、いろいろな目的で活用してもらっている。

――ストーリーズに関しては、親会社のフェイスブックも取り入れており、機能の利用促進に積極的です。米国ではすでにフェイスブックのストーリーズにも広告枠を設けています。一方、直近の決算電話会見では、ストーリーズ広告はフィード広告より収益率が低いという言及がありました。

ストーリーズでは「インスタ映え」を考えず、気軽に投稿する人が多い(画像:Instagram)

ストーリーズの利用は一般ユーザーの中でかなり広がってきたものの、広告主はまだその後追いをしている段階。フィード広告に比べ、ストーリーズ広告を使っている広告主はまだ少ない。密度が低ければ、当然(広告の価格を決める)入札でも価格が上がりにくく、それが収益性に現れている。ただ逆に見れば、広告主側にとっては好機だ。今のうちに始めれば、低いコストで高いパフォーマンスを出しやすい。

ストーリーズならスマホ画面をフルに使って広告を見せられるし、見ている人の60%以上が音声をオンにしているので聴覚にも訴えられる。一方でストーリーズは、コンテンツを見るスピードがフィードよりかなり早い。だからここで広告を展開するなら、最初の2、3秒で心をつかむようなインパクト、ノウハウが必要になる。