「こぐまのケーキ屋さん」作者が送る快活な人生

ツイッターに投稿されるやいなや、人気となった漫画『こぐまのケーキ屋さん』。カメントツさんが語る、作品の生まれた意外なきっかけとは?(イラスト:『こぐまのケーキ屋さん』)
これまでにないジャンルに根を張って、長年自営で生活している人や組織を経営している人がいる。「会社員ではない」彼ら彼女らはどのように生計を立てているのか。自分で敷いたレールの上にあるマネタイズ方法が知りたい。特殊分野で自営を続けるライター・村田らむと古田雄介が神髄を紡ぐ連載の第59回。

2017年11月、ツイッターに1つの4コマ漫画が投稿された。

『こぐまのケーキ屋さん』だ。

ケーキ屋さんを営む、かわいらしいこぐまとお客さんとのやりとりを描いた、ほほ笑ましい漫画だ。

作品が投稿されるやいなや、爆発的にリツイートされ、拡散されていった。

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すぐに複数の出版社からオファーがあり、なんと6日後には書籍化が決定した。現在3巻まで発売されており、累計50万部を超えている。

人気はとどまるところを知らず、渋谷・ロフトではコラボレーション企画でカフェが開催され、ローソンではローソンのスイーツブランド「ウチカフェ」とコラボレーションしてオリジナルのスイーツなどが販売された。

小さい頃は一人遊びをしながら物語を作った

これまでにもツイッターから人気が出た作品はあったが、これほどまでに劇的に広がり浸透した作品はなかったのではないだろうか?

そんな奇跡の作品の作者はカメントツさん(32歳)だ。彼の名前は“仮面をつけて、突撃する”からきている。名前のとおり、公の場に現れるときは、自作の仮面をかぶって登場する。

彼はどのような人生を経て「仮面の漫画家」になり、そして『こぐまのケーキ屋さん』を描くに至ったのだろうか。

カメントツさんは、愛知県の刈谷市で生まれた。

「小さい頃から絵を描くのは好きでした。あと、それ以上に物語を作るのも好きでした」

持っていた、仮面ライダー、リカちゃん人形、怪獣、ぬいぐるみ……などで一人遊びをしながらオリジナルの物語を作った。

母親に

「ごはんよー!!」と呼ばれても、

「まだ怪獣が倒せてないからダメなんだ」

と断ったこともあった。

誰も見てないんですけど、見せ場を作りたがる子でしたね。つねに観客を意識していました。

幼稚園では園児を集めて、みんなで影絵の劇団をつくったことがあった。

「ティラノサウルスがサンタになってみんなにプレゼントを配りにいく」

そんな物語を作ろうとした。

しかし、すぐに人を動かす難しさにぶち当たった。

みんな本当に言うこと聞かないんですよ。急に、女の子が

「ウサギちゃんを出したい。お花屋さんをやるの!!」

って言い出したりして。それだと物語が壊れちゃうんで、

「ダメ!!」

って言ったら、幼稚園の先生に、

「仲良くしなさい」

と怒られちゃいました。

そうして、劇がつまらなくなっていくのを目の当たりにして、ガッカリしました。他人はアンコントローラブル(操作不能)だと感じました。

自分の脳内にある“やりたいこと”や“面白さ”を人に伝えることは、とても難しいと思った。

その悩みが解消され「人に面白さを伝えられた」と感じたのは、実に27歳になってからだった。

そのエピソードは、のちほど語るとする。

アメリカの学校で理不尽な暴力を受けた

小学校に進学したカメントツ少年だったが、父親の仕事の都合でアメリカに引っ越すことになった。

渡米したのは小学校2年生のときでした。入学した初日に黒人の同級生にボッコボコにいじめられました。

アメリカの小学校は、日本とは違い私物を持っていくのは自由だった。カメントツさんは、『週刊少年ジャンプ』を持って学校に行った。