プレゼンがダメな人は伝えたいことが不明確だ

「おみやげ」を持って帰ってもらうことが必要なのです(写真:kou/ PIXTA)

職種や職場によっては、プレゼンを避けては通れない人は多いと思います。そんなプレゼンですが、日米で比べてみたときに、いかんともしがたい「悲しい事実」が存在します。

私はマイクロソフト時代、プレゼンの場によく出席していたのですが、アメリカ人のほとんどが、聞いている私たちの目を見ながら堂々とプレゼンする一方、日本人はというと……。ほとんどがスライド上にある文字を順番に読んでいくだけ。こんな姿を見るたび、悔しい思いをしていました。

これはプレゼンをする人が優秀かどうか、という話ではないようです。私の感覚では、全体のトップ20%に入るような優秀なビジネスパーソンやプログラマーを日米で比べたとき、アメリカ人のほぼ全員がプレゼンに長けています。しかし、日本人だとプレゼン下手な人の割合がぐんと高くなってしまいます。

シンプルに、わかりやすく、情熱的に

では、"良いプレゼン"とはいったい何か。

拙著『結局、人生はアウトプットで決まる 自分の価値を最大化する武器としての勉強術』でも詳しく解説していますが、それは、「もっとも伝えたいメッセージをシンプルに、わかりやすく、情熱的に伝えること」にほかなりません。

プレゼンや講演を聞いていても、多くのことは心に残りません。これは観客としてプレゼンや講演に参加したことがあるなら、誰もが経験しているはず。ほとんど忘れられてしまう中で、最低一つだけでもメッセージを家に持って帰ってもらえれば「御の字」なのです。逆に、「いや~、今日はいい話が聞けました」という抽象的な感想では、何も得られていないのと同じです。

これまでに参加したプレゼンや講演を思い出してみるといいでしょう。その大半が「おみやげ自体がない」または「立派な箱だけ」だったのではないでしょうか。もちろん、登壇者は一生懸命話す内容を考え、一生懸命練習し、話したことでしょう。しかし、残念ながら聞いたあとに「何か」が残るプレゼンや講演は、最近あまり見かけません。

テクニックうんぬんは二の次です。いくらイケているスライドや流暢なトークを駆使しても、伝えたいメッセージを用意し、おみやげとして持って帰ってもらえないのであれば、そのプレゼンや講演は「時間とお金と労力のムダ」なのです。

まずは、どういうプレゼンが正しいのかを知ること。そして、プレゼンの本質にしたがって、良いプレゼンをすべきだという認識を持ってください。それが良いプレゼンのためのスタート地点。練習やスライドの準備はその後に行うものです。

見方を変えれば、多くの人ができていないのだから、これを読んでプレゼンの本質をつかんだあなたは、今日からすぐに差別化が図れるというわけです。

スライドの文字を順番に読んでいくのではない

ここまでの話を踏まえて、冒頭にお伝えした悪いプレゼン例を思い出してみてください。日本人のほとんどが、スライド上にある文字を順番に読んでいくだけでした。これでは、聞いている人にきちんと伝わっているのかがわかりませんし、そもそも、データや書かれた文字を読み上げるだけでは、聞いている人の記憶にすら残りません。

そして、プレゼンが評価されない多くの人に共通するのが、「プレゼンはスライドが主役」と勘違いしていることです。主役は、あくまでプレゼンをしている本人。社内の企画会議であれ、顧客に対するセールスであれ、一番強く印象づけるべきは、提案する企画や商品ではなく、「プレゼンする自分自身」なのです。

「プレゼンの主役は自分である」ということに気づかされたのは、アメリカで受けたプレゼンの授業がきっかけでしたが、同じような話を、先日お会いしたチェロ奏者の方からも聞くことができました。たまたま彼のパフォーマンスを耳にしたのですが、とてもすばらしい演奏でした。彼はチェロの演奏がうまいだけでなく、表情を巧みに変えたりして、とても表現力が豊かだったのです。そんなことを彼に伝えていたら、私にこう言ったのです。