転職で引く手あまたな人に共通する30代の経験

なぜコンセプトが重要かと言えば、キャリアの行先は誰も示してくれないし、示してくれたとしても、誰もあなたの人生に責任はとってくれないからだ。

コンセプトを決めるときは、目先のキャリアや給与、タスク内容といった枠組みで考えると視野が狭くなり、自らの心を奮い立たせるような目標にはなりにくい。そもそもの生き方など、自分の人生を通しての目標として定めると、動機として明確になる。

また、未来軸でのありたい姿を考えるにあたっては、業界や会社といったセグメントで考えるよりも、社会に対してどんな価値を発揮すべきかという「ソーシャルバリュー」を意識することも非常に重要だ。

そもそも、○○業界のような定義は、例えばグーグルが何業と呼ぶべきかわからないように、すでに曖昧になり始めている。広く社会に対して価値を見いだすことを意識すると、ささいな変化に一喜一憂するのではなく、大局を捉えた本質的な決断がしやすい。もはや看板で働く時代は終焉を迎えているだろう。

これを、自分1人で明確にするのは容易ではなく、他者、とくに自分とは異なる視点を持つ他者との対話(Coaching)によって、未来軸で具体化することが有効だ。

4. “誰とするか”を軸にキャリアを選択する(Collaboration)

最後の4つ目のCこそ、多くの人が見落としがちだが重要な要素。それは、キャリア選択の基準に「誰とやるか」を取り入れる、Collaborationだ。

転職を考える際、多くの人は「どこで(どんな会社で)」や「何をする(どんな仕事)」を基準にするが、実はそれらと同等もしくはそれ以上に重視したいのが、「誰と」である。例えば、「この人のようになりたい」と自分が憧れられるような人や、お互い刺激を与え合えるような人と一緒に働けるか否かは、仕事のモチベーションや成長スピードを大きく左右する。

実際の転職者が入社先を選んだ理由に「人事や面接官の印象がよかったから」を挙げる人も多いが、これはリスクがある。面接は会社の「顔」となる人材であるため、標準的な社員の姿とは距離がある場合も多いからだ。採用担当と現場がまったく異なり、入社後誰と働くかまったくわからないという選択は大きなリスクになりうる。

しかし、それは逆もしかり。あなた自身も、会社や肩書の看板を外したときに他社から選ばれる存在か否かが強く問われるようになる。はたしてあなた自身は社外から固有名詞で指名されるような力を身に付けているだろうか?

「誰とやるか」が重要

そういった意味でも、転職前の段階で、より多角的な視点でキャリアの決断においても、一緒に伴走・アドバイスできるようなパートナーを見つけることは大切。キャリアを考えるときにも「誰とやるか」は重要なのだ。

本来は、転職した後も、エージェント事業者は、一人ひとりとコミュニケーションを取り続けるべきだが、実際はそうではないケースが多い。転職すればサービスは完結するため、入社後に待ち受けている具体的なエピソードについて、実際の先輩社員がどう活躍しているかをリアルに知らないケースも少なくない。これからは「誰とキャリアを考えるか」、がスタンダードになっていくだろう。

以上、TURNING POINTで、筆者にご相談いただく事例から、大切なポイントを紹介してきた。

さあ、これからのキャリアは皆さん自身が選んでいく時代だ。ぜひこれらを参考にしながら、2020年代を新しい時代で力強く生きるためのターニングポイントにしていただければ幸いだ。