武漢の新型肺炎専門病院「建設10日間」の軌跡

火神山医院の総建築面積は6万平方メートル。そのうち新しく建設された隔離地区は約3.4万平方メートルで419の病室と1000のベッドを備える(写真:財新)
新型肺炎の発生源である武漢では、急増する患者を受け入れるための医院が10日間ほどで完成した。その驚くべきプロセスを生々しい写真で追う。撮影したのは、武漢から特報を連発して世界から注目されている独立系メディア、「財新」の取材班だ。

2月2日、新型コロナウイルスによる肺炎の患者を専門的に受け入れる武漢市の「火神山医院」がおおむね完成。

本記事は『財新』の提供記事です

翌3日から感染者を受け入れはじめた。建設が始まったのは1月25日。工期は10日間ほどと驚異的な短さだ。

火神山医院の建築面積は約3.4万平方メートルで、1000台のベッドを収容できる。感染拡大を防ぐため、雨水や汚水の処理システムや、病室から出る空気を消毒するシステムを備えている。

1400人の医療スタッフは人民解放軍のさまざまな専門チームから派遣される。このほかに政府の疾病予防控制センターや軍事科学院軍事医学研究院から15人の専門家が特別チームを組織し、現地で指導に当たる。

雷神山医院も2月5日引き渡しで建設中

火神山医院に加えて「雷神山医院」も、武漢市内の別の地区で建設中だ。建築面積は約7.5万平方メートルで、最大1600台のベッドを収容できる。引き渡し予定日は2月5日だ。

この2つの病院のモデルとなったのは、SARS(重症急性呼吸器症候群)が大流行するさなかの2003年4月に北京郊外で建設された「小湯山医院」だ。

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わずか7日間で完成し、その後2カ月間で当時の中国国内の患者の7分の1を受け入れた。

2月に入ってからも新型コロナウイルスの感染者は、1日3000人近いペースで増え続けている。中国全体の半数近い感染者を抱える武漢市で、病魔の拡大を防ぐ取り組みが急ピッチで進む。

春節2日目に当たる1月26日、武漢市内の高速道路には車両が見当たらない。当局は1月23日10時から全市内の公共交通の運行を取りやめさせた(写真:財新)
がらんとした武漢市内の通り、救急車のそばに防護服を着た医療スタッフが立っている(写真:財新)
1月28日、武漢火神山医院の建設現場。プレハブ建築の形式で1000床の医療ベッドを用意する。数十台の建機が同時に作業を始めた(写真:財新)
火神山医院の建設地は、武漢市蔡甸区知音湖に位置する。2003年にSARSが流行した際にわずか7日間で建設された北京の「小湯山医院」をモデルにコロナウイルス患者の治療を行う(写真:財新)
火神山医院は病室と診察室、ICU、インターネット室、救護車両洗浄室などを備える(写真:財新)
施工現場では大型建機が急ピッチで作業している(写真:財新)
武漢市は感染拡大に対応するため、雷神山医院の医療ベッド数を当初計画していた1300床から1600床に拡大することを1月29日決定した(写真:財新)
雷神山医院の建設現場で構造物を組み立てる様子(写真:財新)
建造物内部で据え付け作業をする作業員(写真:財新)
建築資材を運ぶ作業員。若い女性のようだ(写真:財新)
モジュール化された構造物を次々に運び込む(写真:財新)
作業は24時間、休みなく続けられた(写真:財新)
2月2日、火神山医院の基礎工事と建屋の建設がすべて終わった。次は医療設備の導入を進める(写真:財新)
2月2日早朝、火神山医院はほぼ完成を迎えた(写真:財新)